- 著者
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雨宮 有里
高 史明
杉山 崇
- 出版者
- 日本グループ・ダイナミックス学会
- 雑誌
- 実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
- 巻号頁・発行日
- pp.1804, (Released:2019-07-19)
- 参考文献数
- 25
自伝的記憶の意図的想起と無意図的想起の検索過程についての主要な研究は,無意図的想起は抽象度が低い想起手がかりに対して直接に特定的記憶が検索される特殊な過程であると主張している。一方で,雨宮・高・関口(2011)は,無意図的想起は単に意図的想起と無意図的想起に共通の過程の産物であり,意図的想起では固有の生成的検索によってより高い特定性の記憶の想起がもたらされるとするモデルを提案している。本研究では,手がかり語法により,単語が表す出来事の経験頻度と想起意図の有無を操作し,雨宮らのモデルを検証した。その結果,無意図的想起は想起手がかりの抽象度に関わらず生じること,その抽象度に応じて想起される出来事の特定性が変化すること,意図的想起の方が無意図的想起よりも特定性が高いことが示され,雨宮らのモデルが支持された。またこのモデルは,先行研究との一見矛盾に見える相違を統合的に説明しうるものであった。