著者
山本 宏義
出版者
関東学院大学文学部人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
no.128, pp.43-53, 2013

公の施設に対して指定管理者制度が創設されて10年になる。公立図書館においても約10%の図書館が導入している。この制度の功罪についてはいろいろ言われてきたが、それはほとんど制度設計に起因するものである。しかしそれ以外に運営上の課題があるかどうかを探るために、人権上問題があるとされた図書の扱いについてアンケート調査を行い、全国的な動向をつかむこととした。結論を端的に言えば、指定管理者が適切な運営ができるかどうかは、しかるべき経験と知識をもった図書館長を配置できるかどうかにかかっているといえよう。
著者
山本 宏茂 市橋 則明 吉田 正樹
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.270-273, 1997-07-31 (Released:2018-09-25)
参考文献数
13
被引用文献数
2

本研究の目的は,大腿筋膜張筋において最大の筋活動が得られる股関節の角度を探り,また,訓練で用いられる動作の筋活動を調べることである。被験者は男性6名,女性4名とした。各股関節角度における股関節外転時の最大等尺性収縮及び4つの動作(椅子からの立ち座り,フルスクワット,膝屈曲60度での片脚起立,両足および片足のブリッジ)を行なったときの整流平滑筋電図を求めた。最大等尺性収縮においては,仰臥位および側臥位において,股関節屈曲0度・45度と股関節外転0度・15度のそれぞれにおいて調べた。その結果,同じ肢位,股関節外転角度において股関節屈曲45度よりも0度の方の筋活動が有意に大きかった。一方,動作の中でもっとも大きな筋活動を示したのは,片足ブリッジ(79%)であった。
著者
山本 宏樹 Hiroki YAMAMOTO 一橋大学大学院 Graduate School Hitotsubashi University
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 = The journal of educational sociology (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.129-148, 2008-12-15

Researchers seem to agree unanimously on the unreliability of official statistics on futoko children (school refusers), making it difficult to uncover the social factors behind the phenomenon. Though many researchers have questioned whether the official statistics can explain the reality of futoko, there has been no verification of the reliability and validity of the statistics. The aim of this study is to examine this issue and formulate an alternative plan for statistics. To achieve this aim, the author used the "School Basic Survey" from 1966 to 2006 and examined futoko rates within the "Long absentee" data from 47 prefectures, which is divided into subclasses by the following reasons: "Illness," "Economic reason," "Futoko" and "Others." The actual differences between areas were then analyzed using a five-number summary. As a result, the two following facts were clarified. Firstly, it is impossible to compare the data on "Futoko," "Illness" and "Others" between prefectures because of differences in the investigation methods. From the beginning, the classification standards differ from prefecture to prefecture, and this leads to local differences. Secondly, the method for sorting data was changed in 1998, comparisons across time periods invalid. In conclusion, the author recommends using data on "Long absentees" as a measure for the futoko phenomenon because the official statistics on futoko have already lost validity. Statistics on long absentees are much better than those on futoko to show the reality of the phenomenon. Finally, the author discusses both the advantages and disadvantages of using data on "Long absentees," confirms the existence of differences among regions at the prefectural level for long absentees, and considers future prospects and tasks.
著者
山本 宏 下里 功 岡田 正紀
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.26-32, 1998-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
5
被引用文献数
4

我々は, 官能評価, 毛髪表在脂肪酸分析, 頭のヘッドスペース分析結果より, 通常生活者の頭のニオイ原因物質は, 皮膚常在菌が産生する脂質分解酵素リパーゼにより皮脂中のトリグリセライドが分解されて生じる主に低級から高級にいたる脂肪酸類であると考える。我々は, 微生物及び試薬リパーゼによるトリグリセライド分解による脂肪酸生成モデルを開発, このモデルを評価法として用い, 種々の香料について, 脂肪酸生成に与える影響を調べた。その結果, 脂肪酸生成を抑制する数多くの香料を見いだし, それらの香料を賦香したシャンプー及びリンスの実際使用における頭のニオイ抑制効果を確認した。また, 微生物やリパーゼの作用により, いくつかの香料が脂肪酸と反応してエステルを生成することを見いだした。
著者
山本 宏子 武鑓 夏美
出版者
岡山大学大学院教育学研究科
雑誌
研究集録 (ISSN:18832423)
巻号頁・発行日
no.161, pp.95-104, 2016

ジェンベdjembe は,ギニア共和国とその隣国のマリ共和国,コートジボワール共和国,セネガル共和国などの西アフリカ諸国で伝承されている打楽器である。ジェンベ音楽は,ジェンベと他の打楽器によるリズムアンサンブルであり,舞踊と共に演奏される。 ジェンベ音楽と舞踊には深い関わりがあることが指摘されているが,その具体例は明示されていない。本稿ではギニアの農村部であるハマナ地方で伝承されているドゥンドゥンバ様式の楽曲「ドゥヌンベdunungbe」を例に,ジェンベ音楽の中で演奏者と踊り手が互いにどのように働きかけ,音楽と舞踊が一体となったパフォーマンスを作り上げているかを明らかにする。
著者
佐々木 眞敬 佐野 光一 角 明美 本山 径子 矢野 讓次 松本 一彦 山本 宏
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.2412-2421, 1989-11-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
10

Miporamicin (MPM) 並びにその微量成分, 分解物及び代謝物のマウス, ラットにおける急性毒性試験を行った。1. MPMの経口投与によるマウス, ラットにおけるLD50値は最高用量においても死亡が認められなかったことから, それぞれ2,500mg/kg及び2,000mg/kg以上と推定された路。投与経によるLD50値は静脈内く皮下く経口投与の順に高くなり, 性差は認められなかった。2. MPMを経口投与されたマウス, ラットの一般症状に異常は認められなかった。皮下投与では, 投与部位の腫脹, 皮下充出血, 脱毛, 痂皮形成等の炎症性反応が認められた。静脈内投与では, 投与直後に運動抑制及び呼吸抑制又は停止, 振戦, 痙攣等が観察された。3. MPM投与による死因は呼吸抑制, チアノーゼ, 更に, 呼吸停止の後, 心拍の停止がみられることから, 呼吸機能麻痺によると推定された。4. MPMの微量成分, 代謝物及び分解物の急性毒性試験ではMPMとほぼ等しい毒性発現を示した。
著者
山本 宏 木村 真一 永井 康史 鈴木 健治 橋本 英一 高橋 伸宏 加藤 松明 高山 慎一郎 河原 宏昭
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.19-26, 2006 (Released:2006-09-27)
参考文献数
18
被引用文献数
2

研究開発活動を発展させていく上において,その意義,内容,基本的な考え方などをわかりやすく説明し,研究内容に親しんでもらう,いわゆる教育啓蒙活動は欠くことのできない重要な課題である.NICTではマイクロラブサット1号機での実験により撮影された地球画像を直接メールで配信する「マイクロオリーブ実験写真のメール配信」実験を実施してきた.本論文では,我々が実施したメール配信実験の概要を紹介する.また,配信状況と実験開始からの登録数の遷移について検討する中で,本実験の参加者がインターネットにおいてどのように広がっていったかについて考察する.さらに,アンケートなどで得られた一般の方々からの生の声から,一般の人々が本実験に対してどのような関心を持ったのかについて検討する.これらの情報には,インターネットを用いた情報提供について何が効果的か,また一般の人々が宇宙開発についてどのような関心を持っているのかといったことについての,重要なヒントが含まれていると思われる.
著者
星野 敢 永田 松夫 渡辺 一男 山本 宏 田崎 健太郎 渡辺 敏
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.2668-2673, 2002-11-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
24
被引用文献数
2 1

症例は50歳,女性.心窩部不快感,黒色便出現にて近医受診となった, 1998年8月11日上部消化管内視鏡検査施行され,易出血性の腫瘍を認めたため,同8月14日精査加療目的にて当科紹介入院となった.上部消化管造影検査・内視鏡検査にて,胃穹窿部後壁に基部を有する腫瘤性病変が,幽門輪を越えて十二指腸球部に脱出しており,腫瘤は体外からの圧迫により胃内に容易に還納された.また前庭部後壁にO-IIc病変を認めた.生検の結果はそれぞれ,過形成性ポリープ(group II)と,低分化腺癌であったため, 1998年8月27日,幽門側胃切除術およびポリープ切除術を施行した. 胃内の腫瘤が十二指腸に脱出する報告は多数認めるが,自験例のように胃の上部に発生した腫瘤が十二指腸に脱出することは比較的稀であり,若干の文献的考察を加えて報告した.
著者
小林 亮介 山本 宏 貝沼 修 趙 明浩 鍋谷 圭宏 伊丹 真紀子
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.743-748, 2015

症例は33歳,男性.労作時のめまい・動悸を自覚し,近医受診しHb 7.3g/dlと貧血を指摘された.十二指腸水平部に2型腫瘍を認め,十二指腸癌の診断で,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織診断では,小円形細胞の増殖を認め,免疫染色では,MIC2,NSE陽性で,筋原性マーカーや上皮性マーカーは陰性であった.さらに,Ewing肉腫と同じ染色体転座も認め,末梢性未分化神経外胚葉性腫瘍peripheral primitive neuroectodermal tumor(pPNET)と診断した.術後は化学療法を行い,現在術後4年無再発生存中である.pPNETは四肢や胸壁などに発生する軟部腫瘍で,近年,Ewing肉腫と共通した染色体転座を有することが判明し,Ewing肉腫ファミリー腫瘍と総称される.腸管原発の発生は非常に稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
著者
野中 洋一 福本 勲 山本 宏 高梨 千賀子
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.299-314, 2018-12-27 (Released:2020-01-31)
参考文献数
6

This article reported on the latest industry-level activities and national policies of Industrial IoT in US, Germany and Japan.All of the three countries positioned the development of Industrial IoT in the higher-level policies to make solutions toward social challenges, but their approaches are different. US takes an approach from IT, based on their remarkable IT competency and data analysis techniques. On the other hand, Germany and Japan take an approach from manufacturing, based on their manufacturing factories in the world. Those Industrial IoT-related activities establishes a partnership with each other and also with other players like China to bring their own advantages together.It is considered that there are at least two common elements among the activities. One is the marketing that the function is much more enhanced to reduce uncertainty of market and technology and explore partnership. The other is "value co-creation scheme" such as reference architecture and test bed which enables members to design a new ecosystem beforehand from the perspective of open and close strategy.
著者
磯部 宏 西村 正治 稲葉 秀一 山本 宏司 神島 薫 川上 義和
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.535-538, 1987-05-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
19

症例は28歳女性で, 咳嗽, 喘鳴を主訴に当科に入院した. 約5年前より上記症状を繰り返し, 気管支喘息として通院加療を受けていたが, コントロールは不十分であった. ペットとして猫を飼育している. アロテック吸入による1秒量の改善率は24.4%であり, 皮内テストでは猫毛, 犬毛, ハウスダストが陽性, IgE-RAST score は猫毛4, 犬毛3, ハウスダスト3であった. 猫毛抗原による吸入誘発試験を施行したところ二相性喘息反応を呈した. 以上より猫毛による気管支喘息と診断し, 猫を遠ざけた生活を指導し良好なコントロールが得られている. 我々の知る限りでは, 我が国での猫毛, 猫毛皮屑による気管支喘息の報告は少なく, また二相性喘息反応を呈した報告例は認めない. 猫毛による気管支喘息の臨床像とともに, 特に二相性喘息反応での臨床的, 肺生理学的変化について報告した.
著者
鍋谷 圭宏 永田 松夫 齋藤 洋茂 滝口 伸浩 池田 篤 貝沼 修 早田 浩明 趙 明浩 外岡 亨 有光 秀仁 栁橋 浩男 河津 絢子 實方 由美 掛巣 孝則 羽田 真理子 福原 麻后 近藤 忠 佐々木 良枝 前田 恵理 吉澤 直樹 内山 友貴 上野 浩明 高橋 直樹 山本 宏
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.1299-1305, 2014 (Released:2014-12-20)
参考文献数
12
被引用文献数
2

食道がん外科治療は「高リスク患者に対する高度侵襲手術」であり、特に高齢者では、日本外科代謝栄養学会ESSENSEプロジェクトの基本理念である「侵襲反応の軽減」、「身体活動の早期自立」、「栄養摂取の早期自立」、「周術期不安軽減と回復意欲の励起」を心掛けた手技と管理が必要である。近年、高齢食道がん患者に対する根治切除術も低侵襲化され、「身体に優しい」治療になりつつある。しかし、70歳以上の高齢者では、術後合併症が多い傾向で、食事開始後退院まで時間を要し、経腸栄養継続の意義が高いことが示唆された。高齢者では、oncological(がん治療としての有効性を踏まえた手術選択)、physical(肉体的)、mental(精神的)、social(社会的)な援助が適切に行われ、全人的支援があってこそ、「心にも優しい」術後早期回復が可能になると思われる。そのためには、NST・精神科医や医療ソーシャルワーカーなどを含めた多職種連携が必須である。