著者
浅井 拓己 大槻 麻衣 柴田 史久 木村 朝子
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.3_32-3_44, 2018-07-25 (Released:2018-09-25)

仮想現実 (Virtual Reality; VR)空間や複合現実 (Mixed Reality; MR)空間のような3次元空間では,仮想データを空間上に提示し,操作することが可能である.しかし,その操作のために必要となるメニューの3次元空間上の表示位置や操作方法についてはしばしば問題となる.既存研究では腕や手など身体上に表示する手法が提案されているが,項目数や配置に制限があった.本研究では,手を開くというジェスチャによって,非利き手に追随するメニューを手掌の前の空間に表示し,それを利き手で操作するというOpenPalmMenuを提案する.表示領域を空間とすることで身体上に表示するよりも多くの項目を様々なレイアウトで表示できるほか,手掌の傍に表示することで空間中の操作しやすい位置への移動や円滑な操作を可能にする.本研究では,実験によって提案メニューの有用性,および設計指針を確認した後,その結果を考慮して設計したメニューをモデリングアプリケーションに導入し,提案メニューの使用感に関する調査を行った.
著者
田村 秀行 柴田 史久 木村 朝子 坂井 陸一 横江 祥吾 濱田 純也 家崎 明子
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.567-576, 2007
被引用文献数
2

Mixed-Reality, a technique to superimpose CG images on the real scene, is expected as a new way of information visualization and presentation. We take up "Disaster Prevention Studies and Disaster Measures" as new application field of MR technology, and develop a system of visualizing simulations of the disasters that have occurred previously or have a possibility for occurring in the future. First, we developed a system of superimposing CG images on a diorama (geographical miniature model). Next, we implemented the application to observe the flood or fire simulation results or subsurface construction, and confirm the effectiveness. We also built an application to observe the history of fire disaster on the PC or MR space. Furthermore, we offer another suggestion that is the way to expand this system to mobile type to use it outdoors.
著者
橋口 哲志 柴田 史久 木村 朝子
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.503-511, 2016 (Released:2016-10-31)
参考文献数
25

In Mixed-Realty (MR) space, the visual appearance (shape, texture, etc.) of a real object can be changed by superimposing a virtual object on it. Therefore, by creating systematic differences between visual and haptic perceptions using MR technology, we can analyze their influence on temperature perception. In our research group, we defined the changes in the visual information of a real object in MR space as “MR visual stimulation” and examine the influence of the haptic sense using MR visual stimulation. For our research, we focused on the temperature perception of the skin. In the first step, we verified the influence presenting MR visual stimulation has on the perceived position of the temperature perception. In the experiment, we presented MR visual stimulation and temperature stimulation in different positions. We confirmed the influence this difference has on the temperature perceived position. Our results demonstrate that temperature perception is strongly affected by visual stimulation.
著者
山崎 賢人 柴田 史久 木村 朝子 田村 秀行
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.413-422, 2014

This paper describes prototyping of a mixed reality (MR) order picking system which is used for a warehouse. Recently, MR, a technology that superimposes computer generated images (CGI) onto the real world in real-time, is used in various fields. MR technology has a variety of practical uses including assistance in machine maintenance and repair, parts assembly for industrial products, and so on. Especially, giving instructions to a worker using MR technology is used for wide range of applications. In this study, we try to make an MR based order picking system as one of the practical applications of MR technology. First, we analyze a conventional order picking system which employs colored lights mounted on racks for indicating picking items. Then, we design a prototype MR order picking system based on the result of the analysis. In our system, it is possible to provide intuitive information to the worker by displaying CGI such as an arrow through an HMD. We conducted experiments using both the conventional system and MR system to make a comparison of them and found some challenges for the future.
著者
柴田 史久 松田 祐樹 レ ヴァン ギア 川端 大輔 山崎 賢人 木村 朝子
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.215-225, 2014

This paper describes design and implementation of a distributed framework for creating mobile mixed reality (MR) systems. The goal of the framework is providing the same MR space for a variety of mobile devices which connect via wireless network. This paper discusses the following three topics which are essential for designing our framework: system architecture for supporting diverse mobile devices, an easy-to-implement script language for developing applications, and a communication method which takes into account the operability of the users. We implemented our framework based on the proposed design and investigated its performance empirically. As a result, we confirmed that various kinds of mobile devices can share the same MR space using our framework.
著者
山﨑 賢人 岡原 浩平 木村 朝子 柴田 史久
雑誌
情報処理学会論文誌デジタルコンテンツ(DCON) (ISSN:21878897)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.34-42, 2021-02-26

本論文では,視野角によって生じる死角と遮蔽物によって生じる死角を,複数視点のカメラ映像を接合することで同時に解消する画像接合手法を提案する.視野角によって生じる死角は特殊な光学系を採用する方法や複数視点からのカメラ画像を接合する方法などで解消できる.一方,遮蔽物によって生じる死角については,隠背景を観測して,遮蔽物が占める領域に投影・合成する隠消現実感技術によって解消できる.しかし,これらの死角は同時に発生しうるため,各々を個別に解決すると非効率になる可能性がある.そこで我々は,画像接合技術と隠消現実感技術に共通する考え方を整理し,両者を同時に解決する手法について検討した.その結果,画像接合のための境界線決定時に,遮蔽物を基に生成したマスク画像を用いることで,広視野画像から遮蔽物を除去した画像を生成できることを確認した.
著者
馬 寧 杜若 大樹 山田 泰己 柴田 史久 木村 朝子
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.93-94, 2019-02-28

本研究は仮想物体の色彩刺激が実物体の硬軟感に与える影響を分析することを目的とする.具体的には,仮想物体の明度,色相,彩度を変えることで,実物体の硬さ知覚にどのような錯覚が起きるかを実験,分析した.実験では,実物体の下部に感圧センサを設置し,体験者が実物体を押下することで,その圧力に応じてHead Mounted Display上に提示された仮想物体が変形する.既存研究では,赤色のような暖色は軟らかく,青色のような寒色は硬く知覚され,明度が高いほど軟らかく知覚するといわれていた.しかし,本実験を通して,人間が知覚する明るさが硬軟感に影響を与えていることが示唆された.
著者
山﨑 賢人 柴田 史久 木村 朝子 田村 秀行
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.34, pp.1-6, 2015-01-15

我々の研究グループでは,商品物流における仕分け作業への複合現実感 (MR) 技術の応用に取り組んできた.本取組みが目指すのは,いきなり仕分け作業を支援する既存の商用システムを置き換えることではなく,MR 化によるシステム設計の自由度向上や作業者が関与する他のシステムへの発展的な展開であり,まずは第 1 ステップとして,作業者への情報提示デバイスとして光学シースルー型 HMD を使用した試作システムを開発した.試作システムを評価・分析する過程で様々な問題点が顕在化したが,とりわけ,システムが提示する CG の奥行き方向の距離感が掴みにくいため,作業者が目標の商品に隣接する商品を誤って把持するという事象が頻発した.そこで本稿では,この問題を解決するために,光学シースルー型 HMD に適した注釈情報提示法を検討した結果を述べるとともに,システムの改良点についても述べる.
著者
森 尚平 一刈 良介 柴田 史久 木村 朝子 田村 秀行
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.239-250, 2011
参考文献数
80
被引用文献数
3

Compared to Augmented Reality/Mixed Reality, which refers to technologies to superimpose Computer Graphics to real environments to enhance the real world, Diminished Reality (DR) refers to visually diminishing or eliminating obstacles in the real world, or seeing through objects such as walls. The techniques and difficulties to implement DR will vary to adapt to various environments. Hence, we first set one clear goal of DR to completely eliminate existences in the real environment from observed scene. Then, we conducted a survey to show guidelines for researchers to achieve the goal. We systematically arranged existing papers with some concerns for DR implementation.
著者
木村 朝子 柴田 史久 鶴田 剛史 酒井 理生 鬼柳 牧子 田村 秀行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1327-1339, 2006-04-15
参考文献数
21
被引用文献数
16

近未来社会のヒューマンインタフェースのあるべき姿として,映画『マイノリティ・リポート』に登場する広視野ディスプレイとジェスチャ操作の組合せを考える.本研究ではまず,広視野電子作業空間に適した作業の想定・分類から始め,これを実現する基幹システムと基本ジェスチャコマンドを開発した.そのうえで,このシステムに立体映像表示,実物体の導入,複合現実感へと発展する体系「MRキューブ」を提唱する.その試作実現例として.ビデオ映像編集と医用画像の閲覧・管理を題材としたシステムを開発し,その操作性と有用性について検証した.
著者
橋口 哲志 片岡 佑太 柴田 史久 木村 朝子
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.635-644, 2016 (Released:2017-02-01)
参考文献数
25

In Mixed-Reality space, it appeared that the sense of weight can be affected by a MR visual stimulation with a movable portion. We named this psychophysical influence caused by the difference between dynamics of the real object (R) and the virtual object (V) movement, the “R-V Dynamics Illusion”. There are many combinations of experiments that can be conducted. Previously, we conducted experiments of the case where the real object is rigid and the virtual object is dynamically changeable. In this paper, we conducted experiments of the case where the real object is liquid and both the real and the virtual objects are dynamically changeable. The results of the experiments showed that the subjects sensed weight differently when virtual object with a movable portion is superimposed onto a real liquid object.
著者
大槻 麻衣 大下 勉 木村 朝子 柴田 史久 田村 秀行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.381, pp.75-80, 2011-01-13
参考文献数
9

本研究では,立体視可能な複合現実空間において,多数のパーツから構成される仮想の3Dオブジェクトを分解し,その内部や個々のパーツ同士の接続関係,位置関係を至近距離で観察できるシステムを構築する.こうした分解・観察というタスクにおいて誤操作を回避し,操作の快適性,応答の心地よさを向上させるために,実世界で互いに接合・接着された物体の挙動や応答を模倣する3種類のメタファを導入する.本論文では,提案手法の基本概念,それを具現化するメタファとその物理計算モデル,ユーザ・インタフェースとしての実現に関して述ペ,実運用から得た知見や今後の発展させるペき方向性に関して論じる.
著者
大槻 麻衣 大下 勉 木村 朝子 柴田 史久 田村 秀行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.382, pp.75-80, 2011-01-13
参考文献数
9

本研究では,立体視可能な複合現実空間において,多数のパーツから構成される仮想の3Dオブジェクトを分解し,その内部や個々のパーツ同士の接続関係,位置関係を至近距離で観察できるシステムを構築する.こうした分解・観察というタスクにおいて誤操作を回避し,操作の快適性,応答の心地よさを向上させるために,実世界で互いに接合・接着された物体の挙動や応答を模倣する3種類のメタファを導入する.本論文では,提案手法の基本概念,それを具現化するメタファとその物理計算モデル,ユーザ・インタフェースとしての実現に関して述ペ,実運用から得た知見や今後の発展させるペき方向性に関して論じる.
著者
田村 秀行 西浦 敬信 木村 朝子 柴田 史久 大島 登志一 柴田 史久
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

視聴覚併用複合現実空間の表現力を向上させる研究開発を推進し,聴覚的には新しい3D音像提示方式の提案・実装を,視覚的には実時間光学的整合技術の体系化を行った.特に「音像プラネタリウム」と名付けた前者は全く独自の新方式であり,当初の計画以上の有望な研究成果を生み出した.このため,本研究を1年短縮して終了し,2012年度から基盤研究(S)としてさらに発展させることになった.
著者
木村 朝子 大町 英之 柴田 史久 田村 秀行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.68, pp.9-16, 2007-07-06
被引用文献数
6

近年,公共設備や家電製品などでタッチセンサやタッチパネルを利用した入力装置をよく見かけるようになった.しかし,一般のメカニカルなスイッチと比べ押下感がなく,LEDやGUI画面の変更,簡単な電子音で入力状態を確認するというものがほとんどであり,正しく操作できたという実感や安心感に欠けるという問題がある.そこで本研究では,タッチセンサの操作時に,メカニカルスイッチの動作音を効果音として再生することで,利用者に擬似的に押下感を与えることができるかどうか実験を行った.実験の結果,押しボタン型スイッチの動作音を利用者の入力動作に対してタイミングよく再生することで,押下感提示が可能であることを確認した.Recently, a touch sensor and touch panel are often used for public equipments and home appliances, because of their convenience. However, they do not have enough tactile feedback, such as "push touch," to operate comfortably. In this paper, we propose the presentation of "push touch" with an action sound of mechanical switch to the touch sensor, and we report the results of experiments in which whether or not user can recognize the sound as push touch sense.
著者
柴田 史久 田村 秀行 木村 朝子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

可搬移動型複合現実感システムに適した幾何位置合わせ手法の研究開発を推進し,複数の幾何位置合わせ手法を状況に応じて切り替えて利用できるような機構を提案・実装した.また,可搬移動型機器を用いた複合現実感システムを構築するための機能分散型フレームワークを設計・実装した.これを利用することで,コンテンツの動きが同期したMR空間を同時に複数のモバイル機器で共有可能なMRシステムを構築できる.
著者
吉田 友祐 天目 隆平 柴田 史久 木村 朝子 田村 秀行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.470, pp.7-12, 2007-01-12
被引用文献数
7

複合現実感システムで現実・仮想両空間の幾何学的整合のために用いるマーカは,これまで検出・同定しやすい人工的なパターンが用いられてきた.こうしたマーカの利用が美観を損ねているとの苦情・批判も少なくない.本研究では「美観と頑健性を両立させた半人為的マーカ」の利用を推奨し,そのようなマーカ・セットを場合に応じて使い分けること提唱する.その第一歩として,対象領域と同系色のマーカ群を用いる「ツートンカラー方式」を考案したので,そのデザインと幾何位置合わせを試みた結果を報告する.
著者
木村 朝子
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

操作デバイスの形状を日頃使い慣れた道具の形にすることで,その道具に対するユーザの過去の使用経験を利用し(メタファ),操作デバイスの使い方をよりスムーズに理解することが可能となると考えられる.そこで,本研究では道具の形状をした入出力デバイスシステムとその操作環境を構築し,その有用性,道具型入力インタフェースにおける触覚提示の効果などについて調査することを目的とする.最終度は,以下の研究を行い,対外発表を行った.・道具の形状および使用時の触感を利用する道具型入力インタフェースにおいて,どの程度現実に即した触覚が必要なのか,触覚のリアリティとユーザの操作感覚との関係について調査した.具体的には,現実に近い重力感,実物の触覚を連想できる衝撃感といった触覚,振動のような実物を連想しない信号的な触覚を提示し,どの程度リアリティのある触覚を提示する場合に,データを道具型入力インタフェースに取り込んだ瞬間,およびデータがインタフェースに入っている状態を,自然に知覚することができるのかを調査した.・道具型入力インタフェースに触覚を付加することの有効性を評価する実験を行った.操作内容に即した触覚が提示されることで,初めて利用するユーザがその形状・触覚ゆえにインタフェースに興味を持ち,ユーザ自身の過去の経験を当てはめながら試行錯誤することを確認した.・一方,携帯端末のような一般的な携帯機器の操作に,現実のメタファを利用した触覚を適用する試みを行った.姿勢入力と現実触覚提示を組み合わせたインタフェースを構築し,ユーザが端末を傾けると,画面上に表示されているデータがスクロールされ,データが端に達したときに「衝突感」を提示し,データが携帯端末の壁に当たってそれ以上進まないことを,ユーザが触覚として実感できるようにした.