著者
笹月 健彦 黒木 登志夫 渋谷 正史 黒木 登志夫 宮園 浩平 高井 義美 月田 承一郎 笹月 健彦 田原 栄一 菅村 和夫
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

「がん生物」領域は、がんの基礎研究からヒトがんを材料とする臨床研究まで広い範囲をカバーし、計画研究(1)5班、計画研究(2)28班、公募研究63班の計96班、研究者数229名と総括班より構成された。この特定領域では、がんの生物学的特性を明らかにすることによって、がんの予防、診断、治療に貢献することを目的とする。遺伝子発現の調節、シグナル伝達、細胞の増殖と分化、細胞死、細胞の構造と機能、細胞間相互作用、生体内ホメオスタシス維持機構など、生命科学のもっとも基本的な問題、およびヒトがんの特性、浸潤・転移などのがん固有の問題を、以下のように研究対象として設定し、研究を推進した。A01. 細胞の増殖・分化・細胞死 A04. 浸潤・転移A02. 細胞の構造と機能 A05. ヒトがんの特性A03. 細胞間相互作用平成11年度は、以下のような活動を行った。(1)「がん生物」ワークショップ:「がん生物」に属する全ての研究代表者が参加して自由に討議し、研究の一層の進展をはかり、さらに研究資料の交換、共同研究の設定を促進することを目的として、ワークショップを開催した。平成11年度は、「がん特定領域研究(A)代表者会議に連動して、7月12日、研究代表者による研究発表を行った。これを一つの機会として各研究者間の交流、研究協力の実がはかられた。(2)研究成果の公表「がん生物」の分野で卓越した研究成果を挙げている研究者を選び、文部省がん重点公開・合同シンポジウムでその成果を発表した。本年度で、平成6年より開始された「がんの生物学的特性の研究(がん生物)」は、6年間が終了することになったが、「がん生物」で行われてきた研究は卓越しており、来年度より開始される新しい特定領域研究の方向性を与えることとなった。
著者
野々村 禎昭 高井 義美 清水 孝雄 柴田 宣彦 小林 良二 尾西 裕文
出版者
東京大学
雑誌
特定研究
巻号頁・発行日
1986

血管平滑筋は内皮細胞との関連では病変時特異的増殖, 脱分化を行い, いわゆる動脈硬化性変化をもたらす. この際の形態変化等は詳しく調べられているが, 生化学, とくに収縮蛋白質レベル, 及び分子生物学的レベルの研究は遅れている. 本研究班はその弱点をおぎない, 新らしい展開をはかる為に我国の平滑筋生化学者を結集した.本年は平滑筋のミオシンの構造については尾西が中心になり, 公募班員の岡本と共に一次構造と機能の関連について, ATP結合位等を明らかにさせた. 下等動物平滑筋のCatch機構については八木がミオシン重鎖のリン酸化でかなり明らかになった. 一方細いフィラメント側の調節機序に影響した因子によってラッチ機構が生じるが, この説明に野々村は大動脈からとったゲルゾリンファミリーが働く可能性を示し, その進んだ精製で86K, 84K, 45Kダルトン蛋白質が存在することを明らかにした. 一方, 丸山はこの45Kが84Kの中心分解物である可能性を示し, その精製を行った. 柴田は血管においてカルデスモン様蛋白質の存在を明らかにし, 祖父江はカラデスモンに2種類あり, 非筋細胞, 未分化型のものと筋, 分化型の違いを明らかにした. 小林は平滑筋膜よりカルパクチンをとり, 山本はCa-ATPアーゼをとって膜でのCa調節への足がかりを求めた. 高井は血管培養細胞のC-キナーゼ存在様式が成長因子との関係から異ることを示し, 清水はロイコトリエン連関酵素系の精製とその機能への結びつきを示した. 野島はCM(カルモジュリン)遺伝子クローニングをcDNAクローニングから進め, 高血圧との関係を追究している.本年は班員全ての研究が具体化し, すでに病態との関係へと入ってきた班員もあり, 来年度に向けての一層の具体化が期待される.
著者
鶴尾 隆 笹月 健彦 高井 義美 中村 祐輔 田島 和雄 谷口 維紹
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

総括班:研究期間内の毎年2回のがん特定領域6領域合同での研究代表者会議、夏、冬のシンポジウムを行った。また、がん、ゲノム、脳のミレニアム3領域合同でのシンポジウム、トランスレーショナルリサーチワークショップ、がん特定国際シンポジウムを開催した。総括班会議を開催し各領域の研究調整及び推進を行った。平成17年度には、「特定領域研究がん」の主要な成果を、次代を担う学生、若い研究者などを対象とした「がん研究のいま」シリーズとして、「発がんの分子機構と防御」「がん細胞の生物学」「がんの診断と治療」「がんの疫学」の4冊にまとめた本を刊行した。研究資材委員会:総分与数9300に達する腫瘍細胞株の供給を行ってきた。DNAバンクを設立し発足させる準備が進んでいる。スクリーニング委員会:9種の異なるスクリーニング系からなる抗がん活性評価系によって、これまでに約1500個の化合物を評価した結果、様々な特徴を持つ新規抗がん剤候補物質を見出した。研究交流委員会:290件の派遣を行い、日独、日仏、日韓、日中のワークショップを開催した。若手支援委員会:若手研究者ワークショップを開催し、延べ542名の参加者を得、18件の共同研究を採択した。がんゲノム委員会:臨床がん検体988症例、ヌードマウス移植腫瘍85検体(9臓器由来)、がん細胞株39株について遺伝子の発現情報解析を終了し、データベース化を行っている。腫瘍バンクについては、合計8000症例近い腫瘍組織とDNAが収集されて、平成14年度より研究者に配付している。動物委員会:末分化リンパ球NKT細胞の核を用いてのクローンマウスの作製に成功した。また、新しい遺伝子トラップベクターを開発した。分子標的治療委員会:耐性克服の研究を進めるとともに、イマチニブ、ゲフィチニブについては、その臨床効果と遺伝子発現パターンについての研究が進展し、臨床効果予測に有効な遺伝子群の同定に成功した。
著者
野田 哲生 田矢 洋一 石川 冬木 花岡 文雄 山本 雅之 下遠野 邦忠 中村 卓郎 石川 冬木 花岡 文雄 山本 雅之 畠山 昌則 中村 卓郎 高井 義美 丹羽 太貫 廣橋 説雄 下遠野 邦忠 佐谷 秀行
出版者
財団法人癌研究会
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

本総括班は、特定領域研究「遺伝情報システムと発がん」において、計画班と公募班からなる研究組織の立ち上げから、各研究班の研究成果の評価までを行い、さらに研究代表者会議の開催などを通じて情報交換の促進を図るなど、本領域の研究活動の効果的な推進のため、各種の支援活動を行った。その結果、がんの発生と進展の過程の分子機構に関し、がんの予防法の確立と治療法の開発に貢献する多くの新たな知見が得られた。