著者
高橋 善隆
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.A77-A90, 2009-09-15

アメリカ合衆国で最大のマイノリティ集団となったヒスパニックは政治の世界にどのような影響を与えているのか。2008年の大統領選挙ではニューメキシコ、ネバダ、フロリダなど民主党が共和党から奪った多くの州でヒスパニックの動向が重要であったとされている。2004年には必ずしも民主党支持を明確に示さなかったヒスパニックが2008年にはオバマの勝利に貢献したのはなぜなのか。 また人口構成の上でのシェアの拡大ばかりでなく社会的内実や質的変容においてヒスパニックはアメリカ社会にどのような変化を及ぼしているのか。 移民法改正をめぐる政治過程、移民に敵対的なカリフォルニア州の住民提案との対抗関係、西海岸にみられる新たな労働運動の担い手としてのヒスパニックの活動、などの検討を通じてヒスパニックが現代アメリカに与えているインパクトと更なる潜在的可能性について考察してみたい。
著者
高橋 善隆
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 = Journal of Atomi University, Faculty of Literature (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
no.54, pp.145-157, 2019-03

米国政治の中長期的トレンドは、人口構成の変化を反映したマイノリティのエンパワーメントとこれに対抗するホワイト・バックラッシュで彩られている。2018年の中間選挙も下院でラティーノ・アフリカ系・働く女性・若者などの進歩的勢力が民主社会主義を掲げ躍進を見せる一方で、トランプ支持者や共和党は上院で多数を維持するなどの結果を残した。移民政策の迷走や中西部の動向を手掛かりに中間選挙の背景を分析する。
著者
高橋 善隆
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF LITERATURE (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
no.41, pp.A77-A92, 2008-03

2005年にAFL-CIOは分裂し、1955年以来統一されていたアメリカ労働運動のナショナル・センターが大きく分断されることになった。1995年のスウィニー執行部成立以来、ソーシャル・ユニオニズムの復権が評価されていたが、ソーシャル・ユニオニズム内部の対立が鮮明化した構図となっている。本論では(1)ビジネス・ユニオニズムとソーシャル・ユニオニズムの対立というアメリカ労働運動の歴史的背景、(2)戦後期に優位を確立したビジネス・ユニオニズムがアメリカ社会の制度設計に残した負の遺産、(3)ビジネス・ユニオニズムの失墜、ソーシャル・ユニオニズムの復権という状況下で活力の中心となっている「ヒスパニック系移民の動向」について検討する。さらにアメリカ労働運動の変容とナショナル・センターの分裂が、アメリカ政治全体にどのような影響を及ぼすことになるのか考察してみたい。
著者
高橋 善隆
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.A113-A126, 2010-09-15

デモクラシーや市場経済について、世界各国にひとつのモデルを提供してきたアメリカ合衆国だが、福祉国家に関しては様々な問題点を露呈している。公的皆保険の欠如、社会的扶助の受給者に対するスティグマ(焙印)、資産状況を反映する福祉供給の格差などである。世界で最も豊かなアメリカのなかに想像を絶する貧困と格差が存在する現実は「もうひとつのアメリカ」として考察の対象とされてきた。その鍵を握るのは福祉レジームの特異性であると考える。本論では、福祉政治の主要な理論として、パワーリソース理論、新制度論、言説理論を紹介し、これらの枠組みがアメリカの社会的内実を理解する上でどこまで有効であるのか検討する。国民皆保険をめぐるアメリカ政治のジレンマや、"いまあるような福祉の終焉"と呼ばれるクリントン改革の帰結を分析することによって、福祉をめぐるアメリカ政治の問題状況を明らかにしたい。
著者
加藤 哲郎 田中 ひかる 丹野 清人 堀江 孝司 小野 一 岡本 和彦 井関 正久 大中 一彌 高橋 善隆 鳥山 淳 島田 顕 許 寿童
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、研究代表者が長年進めてきた現代国家論研究と近年取り組んでいる情報政治研究の結節点で、経済のグローバル化と共に進行する国内政治の国際政治化、国際政治の地球政治化を解析した。モノ・カネ・ヒトが国境を越える「帝国」型グローバル政治の形成と、そのもとで進行する民衆の移動・越境・脱国家化の動きに注目し、既存の概念の変容と新しい課題を実証的な国際比較と歴史的・思想的系譜から考察した。