著者
金子 泰徳 池田 寛人 藤島 雄磨 梅田 亜友美 小口 真奈 高橋 恵理子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-11, 2022-04-27 (Released:2022-04-27)
参考文献数
29
被引用文献数
2

本研究の目的は,日本語版Pure Procrastination Scale (PPS-J)を作成し,その信頼性と妥当性を検討することであった。本尺度の原版は,行動の遅延によって事態がいっそう悪化することが予想されるにもかかわらず自発的に遅らせる事象である先延ばしを測定するものとして開発されている。本研究では,大学生195名を対象に確認的因子分析を行った結果,「実行の先延ばし」「決断の先延ばし」「非適時性」からなる12項目3因子構造が示された。十分な内的整合性と構成概念妥当性を有することが確認された。また,大学生57名を対象として,再検査信頼性を検討した結果,許容範囲の値が得られた。大学生44名を対象とした日常生活の調査から,PPS-Jの十分な構成概念妥当性が示された。これらの結果から,PPS-Jは国内においても先延ばしを測定する尺度として使用可能であることが示された。
著者
高橋 恵理 樋口 満 細川 優 田畑 泉
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.241-247, 2007-10-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
21
被引用文献数
4 3

The basal metabolic rate (BMR) of Japanese females in their twenties (F2006) was compared with that of females of the same age measured in the 1950s (F1950; Nagamine and Suzuki, 1964). The subjects measured during 2004-2006 were 83 females (F2006) with no exercise habits. BMR was measured by using indirect calorimetry, and the body composition was assessed by dual-energy X-ray absorptiometry (DXA).While the height and weight of F2006 were respectively significantly higher and heavier than those of F1950, BMR of F2006 (1, 110±112kcal/day) was not significantly different from that of F1950 (1, 132kcal/day). In addition, there was no difference in lean body mass (LBM) between the two groups. On the other hand, BMR per body weight of F2006 (21.5±2.1kcal/kg/day) was significantly lower than that of F1950 (23.1kcal/kg/day). BMR per body weight of F2006 was correlated with LBM per body weight (%LBM, r=0.51, p<0.001), although BMR per LBM of F2006 was not different from that of F1950.These data suggest that BMR per body weight of the current young females of Japan is lower than that of the young females of the same age measured in the 1950s, during which data for establishing the BMR reference value in “Dietary Reference Intakes for Japanese, 2005” was obtained. Furthermore, the difference in BMR per body weight between the two groups can be explained by the difference in %LBM.
著者
井上 啓子 清水 和栄 平賀 恵子 吉川 妙子 梅村 聡美 大瀧 香織 高橋 恵理香 徳永 千賀 古田 久美子 若山 真規子 水野 晴代 松村 香里 高井 千佳 加藤 静香 宇野 千晴 出口 香菜子 榊原 知世 高橋 宏 伊藤 恭彦
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.493-501, 2016 (Released:2016-07-28)
参考文献数
20

維持血液透析患者のprotein-energy wasting (PEW) の実態とPEWとの関連因子を検討した. 透析導入後6か月以上409例の合併症, 身体計測値, 血液検査, 食事摂取量を調査. 国際腎疾患栄養代謝学会による区分に従いPEWを判定し, Logistic回帰分析により関連因子を求めた. 年齢64±11歳, 透析歴8 (3~14) 年, 高血圧合併74.3%, BMI 21.1±3.4kg/m2, 血清Alb 3.7±0.3g/dL, エネルギー30±6kcal/kg IBW, たんぱく質1.01±0.22g/kg IBWであった. PEWは3項目以上該当17.1%, 年齢, 透析歴, 高血圧がPEWとの独立した背景因子であった. 食品群別摂取量との関連は, 肉類, 魚介類, 砂糖類摂取量が独立因子となった. さらにROC解析によるカットオフ値 (肉類46.7g, 魚介類41.7g, 砂糖類9.0g) 未満の摂取のオッズ比は肉類2.74 (95%CI 1.55-4.85, p=0.001), 魚介類2.04 (95%CI 1.16-3.61, p=0.014), 砂糖類1.88 (95%CI 1.05-3.37, p=0.033) であった. 通院患者の17.1%がPEWであり, 肉類, 魚介類, 砂糖類の摂取不足とPEW発症との関連が示唆された.
著者
高橋 恵理子 根建 金男
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.225-235, 2016-05-31 (Released:2019-04-27)
参考文献数
21

本稿では、青年期女性における身体不満足感への認知行動的介入の効果を検証するために、非無作為化試験を実施した。研究1では、認知行動的介入群において、外見に関する信念に焦点を当てて、自己の身体に対する思いやり/いつくしみを促進する実験課題を実施した。状態的な身体不満足感の得点について、外見に関する信念には焦点を当てずに身体について語る傾聴群、いずれの課題も行わない統制群と比較した。その結果、認知行動的介入群で状態的身体不満足感の得点が最も顕著に低減した。研究2では、研究1の実験課題を実際のカウンセリング場面に近づけて発展させ、認知行動的介入群でホームワークを含む4週間の介入プログラムを実施した。その結果、認知行動的介入群は傾聴群、統制群に比べて、身体不満足感などの得点がより減少する傾向にあり、主観的幸福感の得点はより増加することが示唆された。
著者
宮崎 雄生 新野 正明 深澤 俊行 高橋 恵理 野中 隆行 越智 龍太郎 南 尚哉 藤木 直人 土井 静樹 菊地 誠志
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.357a, 2014 (Released:2014-10-07)

【目的】Sirtuin-1(SIRT1)はヒストン脱アセチル酵素であり,神経保護や脂質代謝などへの関与が報告されている.本研究ではヒト単球のIL-10制御におけるSIRT1の役割を検討した.【方法】健常者末梢血から精製した単球を用いLPSまたはIFNβで刺激後にSIRT1遺伝子発現を定量した.健常者,無治療multiple sclerosis(MS)患者,IFNβ治療MS患者の単球におけるSIRT1発現を定量した.単球のIL-10産生に対するresveratrol(SIRT1活性化剤),EX527(同抑制剤)の作用を検討した.【結果】単球におけるSIRT1発現はLPSで低下した一方,IFNβで上昇した.単球におけるSIRT1発現に健常者と無治療MS患者間で差は確認できなかったが,IFNβ治療患者で無治療患者より高い傾向が見られた.ResveratrolはLPS刺激に対する単球のIL-10産生を増強した.IFNβは単球からのIL-10産生を増強したが,この作用はEX527によりキャンセルされた.【結論】SIRT1は単球のIL-10制御に関与しており,IFNβによるIL-10産生増強にも関与することが示唆された.SIRT1は神経変性疾患動物モデルにおいて神経保護作用が報告されており,神経と免疫双方が関与する疾患であるMSにとって有用な治療標的であると予想される.