著者
山下 仁 丹野 恭夫 一幡 良利 西條 一止 高橋 昌巳
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.599-608, 1998-03-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

灸が末梢血の白血球動態に与える影響を明らかにするため, ウサギに4点各10壮, ヒトに8点各10壮の米粒大透熱灸を行い, 白血球数, 白血球分画の経時的変化を観察した。ヒトにおいてはフローサイトメトリーによるリンパ球サブポピュレーションの解析も行った。ウサギの平均白血球数は施灸群・対照群とも施灸後一過性に増加したが, 施灸群の方が平均増加量は大きかった。ヒト施灸群の白血球数と分画は変化しなかったが, 施灸後24時間の平均T細胞百分率が減少した。また施灸群のCD4/CD8比の平均は施灸後2時間で増加し24時間後に減少し, その変化は有意であった。一方, 対照群のCD4/CD8比に有意な変化は認められなかった。4週間連続施灸は白血球数, 分画, リンパ球サブポピュレーションに影響を与えなかった。このことから灸により生体の免疫機構は少なくとも一過性に影響を受けることが示唆された。
著者
山田 嘉重 木村 裕一 高橋 昌宏 車田 文雄 菊井 徹哉 橋本 昌典 大木 英俊
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.237-247, 2021 (Released:2021-06-30)
参考文献数
55

目的 : SARS-CoV-2感染予防は, COVID-19流行を阻止するために非常に重要である. そのため, 手指の消毒と個人防護器具 (PPE) の装着に加えて新たな予防対策を講じる必要性がある. その予防策の候補の一つとして, エピガロカテキンガレート (EGCG) を代表とするカテキンの使用が挙げられる. 分子ドッキング法により, 選択的にSARS-CoV-2スパイクタンパク質とEGCGが結合することで, スパイクタンパク質とACE2受容体との結合を抑制する可能性が報告されている. 本研究では, SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対してEGCG単独, 4種混合カテキンおよび緑茶が実際にスパイクタンパク質とACE2との結合抑制に効果を有するのかを調べることを目的とした. 材料と方法 : 本研究では, 異なる状態のカテキン (EGCG, 4種混合カテキン, 粉末緑茶) を使用した. 溶液の濃度はEGCG溶液 (EGCG) と4種混合カテキン溶液 (4KC) で1, 10, 100mg/ml, 2種類の緑茶溶液Ⅰ (PWA) と緑茶溶液Ⅱ (PWB) では1, 10mg/mlとした. SARS-CoV-2スパイクタンパク質抑制スクリーニングキットを使用し, TMB基質で発色後の撮影とELISAによる検討を行った. 結果および考察 : 各種抑制溶液において100mg/mlの濃度が最もSARS-CoV-2スパイクタンパク質とACE2との結合抑制効果が強く, 濃度の減少に比例して抑制効果が減少するのが観察された. それぞれの結合抑制率の割合は, EGCGでは12~89%, 4KCは11~88%, PWAでは10~47%, PWBでは11~47%であった. 本研究結果において, EGCGだけでなく4KCやPWA, PWBでもスパイクタンパク質とACE2との結合抑制効果を有することおよび, その結合はカテキンの濃度に依存することが判明した. 結論 : 本研究によりEGCG単独だけではなく, 4種カテキン混合状態および粉末緑茶溶液においてもSARS-CoV-2スパイクタンパク質とACE2との結合に対して濃度依存的に抑制効果を有することが確認された. カテキン配合溶液は, SARS-CoV-2感染に対する新たな予防法の一つとなることが期待される.
著者
高橋 昌一郎
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.103-107, 2002-05-15 (Released:2017-02-10)
参考文献数
4
著者
高橋 昌明
出版者
神戸大学
雑誌
海港都市研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.27-39, 2007-03
著者
高橋 昌明
出版者
神戸大学
雑誌
文化学年報 (ISSN:02868105)
巻号頁・発行日
no.19, pp.33-102, 2000-03
著者
牛尾 哲敏 野間 和夫 松尾 悟 高橋 雅文 浜津 尚就 大西 英雄 増田 一孝 中山 功 宮川 忠士 高橋 昌章
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.538-541, 1994-04-01
被引用文献数
5

以上の実験と結果に基づき私達は, 1)180度収集法では, SPECT収集時のスタート位置, 標的臟器と検出器との距離により画像歪みが生じるために, 画像の信頼性には問題が残る.2)360度収集法は180度収集法と比べ, OUT(前壁部想定)とIN(後壁部想定)の画像の歪みの差が少ないため有用である.3)密度1.0g/cm^3における回転中心(深部)のMTFは, エネルギーの高い^<123>I, ^<99m>Tcが^<201>T1より優れている.そのため, ^<123>I, ^<99m>Tcを用いた心筋SPECTでは, 吸収補正の問題は残るものの, 画像の正確度から360度収集がよい.4)今回実験に用いたファントムおよびLSF, MTF, 歪率, S/N比スペクトルによる解析方法は心筋SPECT画像の画質評価に有用である.と言った知見を得る事ができた.最後に, この機会を与えてくださった核医学分科会会長藤田先生ならびに, 座長先生, 各役員の皆様に深く感謝致します.
著者
辺見 達彦 遠藤 寿男 高橋 昌美 藤井 幸治 安達 永二朗 尾形 直則
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.1644-1649, 1990-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
4

Lumbar disc herniation in teenagers may show a tear at the ring apophysis which may show spur formation. This ring apophysis tear may occur not only in teenagers but also in cases of adults showing lumbar disc herniation. Accordingly, vertebral spur generated after lumbar disc herniation in teenagers and posterior vetebral spur in adult cases were compared by the type of spur in order to investigate the etiology or cause of posterior vetebral spur in cases of adults. Following findings were obtained.1) Bony spur generated after lumbar disc herniation in teenagers and traction spur generated at posterior site of lumbar vertebra in cases of adults cannot be discriminated morphologically.2) The etiology of posterior vertebral spur in cases of adults was considered to be involved greatly with lumbar disc herniation.
著者
山下 仁 高橋 昌巳 西條 一止 一幡 良利
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.457-464, 1996-11-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
16

黄色ブドウ球菌に対する生体の感染防御活性に及ぼす灸の効果を明らかにするため, 黄色ブドウ球菌 Smith 株を用いてウサギに免疫し, 施灸群4羽と非施灸群4羽の血清中の抗体産生能を enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) により比較検討した。施灸群のIgM抗体価は非施灸群よりも有意な上昇 (P<0.05) が認められた。また同株の感染防御抗原である Smith surface antigen (SSA) を用いた ELISA inhibition test では, 初回免疫後9週目における施灸群血清のIgMおよびIgGの抗体活性が有意 (P<0.05) に高かった。このことから灸は黄色ブドウ球菌 Smith 株に対する生体の抗体産生能を昂進させるとともに, 同株に対する感染防御活性も増強させることがわかった。
著者
高橋 昌一郎
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.103-107, 2002
著者
勝沼 信彦 犬伏 知子 高橋 昌江 小川 直子
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
no.75, pp.189-194, 2008-03

[1]骨マトリックスを形成しているのは主にタイプI型コラーゲンであり,タイプI型コラーゲンを良く分解できるのは生体組織内では主にCollagenolitic Cathepsinsと言われているCathepsin LとKである。[2]Cathepsins Lの特異的阻害剤CLIK-148等はin vitroのOsteoclastic骨Pit形成を強力に抑制する。in vivoでのPTHによる骨分解促進も強力に抑制できる。[3]牛乳中には多種にして大量のCollagenolitic cathepsinの阻害剤を含有している。そのうち,Lactoferrinの含有量は一番高く,これは構造上Cytatin family (Cysteine protease inhibitor = Cystatin)である。β-Caseinは次に含有量が高いCathepsin阻害剤である。[4]初乳Colosteriumでは成乳の3倍のLactoferrinを含有しており,β-Caseinは成乳に多いが初乳には極めて少ない。[5]成乳によるCathepsin LとKの阻害は70〜80倍希釈乳で50%であるが,初乳では50%抑制に200倍希釈で充分である。この差は,Lactoferrinの含有量の差に起因するものと考えられる。[6]Osteoclastic骨Pit形成は,成乳では25倍希釈乳で50%抑制であるが,初乳では約250倍希釈で50%阻害が見られる。25倍希釈乳では完全阻害である。新生児への人工乳栄養ではこの差は大切な考慮すべき問題点である。
著者
本間 洋州 高橋 昌稔 兒玉 直樹 岡田 和将 足立 弘明
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.734-739, 2018 (Released:2018-12-01)
参考文献数
9

反復するげっぷと腹部膨満感を主訴とする27歳男性患者に対して, 各種身体検査にて器質的な消化管疾患を除外し, RomeⅢ基準に基づいて空気嚥下症と診断した. 一般的治療に対して反応性に乏しく, 職場不適応といった心理社会的背景をもつ症例と考えられたので, 生物心理社会的な治療アプローチを試みた. 生物学的観点からは, 空気嚥下の動画や腹部X線写真での腸管ガス像の変化といった生物学的変化を明示して病態理解を促した. 心理的観点からは, 失感情症傾向に対して受容的に関わりながら感情表出を促すとともに, 過剰適応傾向に対して自分の趣味に時間を割くことの重要性を説明して行動変容を促した. 社会的観点からは, 患者の知能特性として処理速度が有意に低いことに基づき職場における環境調整を行った. このような多角的治療アプローチを有機的に組み合わせることで, 難治性消化管症状の改善につながった空気嚥下症症例を経験したので報告する.
著者
高橋 昌二 小原 利紀 吉川 美穂 川上 正人 中島 一彦
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.E1131, 2006 (Released:2006-04-29)

【目的】座位姿勢の保持と変換は、健常者や軽度要介護者では少ない労力で済むためあまり意識せずに行える。重度要介護者では運動および感覚機能障害により、骨盤後傾し脊柱後彎した仙骨座りとなる場合が多い。仙骨座りを呈する症例では、身体を動かすあるいは姿勢のバランスを保持するための身体部位の位置決めや力の入れ方がわからなくなることが多く、座位で行う諸活動を拙劣にする要因になる。今回、支持基底面、支持基底面を通る重心線、筋活動など力学原理からなる身体力学(以下、ボディメカニクス)を応用した車椅子座位姿勢の保持と変換の動作練習を実施し、効果を検討したので報告する。【方法】障害高齢者の日常生活自立度B2で、座位姿勢の保持と変換が全介助または一部介助、通常は可でも健康状態低下時に要介助となる患者36名を対象とした。日常生活で使用する車椅子に座り、身体各部を意図的に動かし全身の協調による少ない筋力でも安定・安楽となる肢位が認識できるよう動作練習を実施した。保持は、先ず後傾した骨盤を垂直にするため体幹前面筋群および股関節屈筋群の協調的な収縮で股関節屈曲90度を保持しながら足底を床につける。次に後彎した脊柱を体幹全体で垂直方向に引き上げた最大伸展位から少し屈曲し、安定・安楽な肢位を認識する。変換である座り直しは、先ず安定を図るために上下肢による支持基底面の横幅を広くとる。次に座位バランスの保持を最小限の筋力で行うために、身体重心線が支持基底面内に収まるよう上体前傾を基本に、肩、肘掛けに置く手、床に接する足が側方から見て垂直に近づく位置とする。最後に力の方向として、上体前傾しつつ、手で肘掛けを真下に押すことにより上肢で殿部を挙上し座面との摩擦を軽減、足で挙上している殿部を前後左右に動かす。体幹と上下肢の位置を少しずつ変えて安定・安楽に座り直せる肢位を認識する。【結果】改善25名。不変11名。筋力が全身的に重度低下、活力と欲動が過度に低下した症例では改善が認められなかった。【考察】仙骨座りが改善し、座位姿勢の保持と変換が連動できるようになると、視野が広がる、テーブルや洗面所に体幹と上肢が接近する、上肢を挙上しやすくなる効果があるので、食事や整容を上手で綺麗に行うというニーズに応えることができる。なお、仙骨座りを呈する症例は健康状態が低下しやく、低下した場合は動作練習をその都度実施し改善を図る必要がある。【まとめ】重度要介護者でも心身機能が悪化していなければ、ボディメカニクスを応用した動作練習で仙骨座りを改善し、車椅子座位の活動向上に有効と考えられた。