著者
鹿児島 崇 山﨑 善隆 坂口 幸治 久保 惠嗣 杉山 広 齊藤 博
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.975-977, 2014-04-10 (Released:2015-04-10)
参考文献数
6

ウェステルマン肺吸虫はモクズガニやサワガニを生食することでヒトに感染する.今回,姉妹の感染例を経験した.両名ともプラジカンテルの投与で軽快した.国内で販売されている淡水産のカニの肺吸虫感染率は決して低くなく,加熱なしで淡水産カニを喫食する際には十分な注意が必要と考えられる.また本例はいずれも外国人であり外国人診療においては食習慣の違いによる感染症にも留意する必要があると考えられた.
著者
向井 茂 中山 昇 橋本 光靖 金銅 誠之 齋藤 政彦 藤野 修 行者 明彦 浪川 幸彦 梅村 浩 寺西 鎮男 齊藤 博
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

1)幾何学的不変式論を再構成した。また、曲線状のベクトル束のモジュライ空間をQuotスキームというものを使わずに構成した。両者相まってベクトル束のモジュライ理論は大幅に簡易化され見通しよくなった。多くの発展がこの基礎付けのもとになされると期待する。(例えば、Jacobi多様体の退化)2)放物や安定対のような構造付きベクトル束のモジュライも上と同じように構成が見通しよくなった。おかげで共形ブロックの個数に関するVerlinde公式を不変式環のHilbert級数の明示と捉えることができるようになった。この公式の周辺に集まる多くの数学(アフィンLie環、Hecke環や量子群など)を不変式の観点から純代数的に理解できるようになると期待している。。3)穴あきRiemann球(=点付き射影直線)上の構造付きベクトル束のモジュライのmaster spaceは2次元加法群の多項式環への平方零作用の不変式環をその座標環としてもつ。このことより、この環の有限生成性が従う。これと下の成果を合わせて加法群の平方零作用に対するHilbertの第14問題を解決した。(2002年3月学会で報告)4)永田の反例を改良することによって3次元加法群の18変数多項式環への平方零作用の不変式環で無限生成なものを構成した。この環と、5次元射影空間を9点で爆発したものの全座標環との間の同型(永田トリック)が重要であるが、これの新証明も与えた。5)二つのK3曲面の直積上のある種のHodgeサイクルの代数性(Shafarevich予想)に対して新しい証明を見つけた。6)偏極Abel曲面に対して2重レヴェルを考案し、それ付きのモジュライを研究した。(1,d)型でdが5以下のときは正多面体群を使って綺麗な多様体になる。今後は次元公式を計算し、保型形式環を研究すべきと考えている。
著者
齊藤 博英 野村 慎一郎
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

生命の起源において、核酸などの化学物質から、進化する生命システムがいかにして誕生したのかという問題の解決は、生命科学が目指す大きな目標の一つである。天然に触媒分子として働く RNA が発見されて以来、遺伝子と代謝(触媒)機能の両者を兼ね備える生体分子として、RNAは生命の起源研究において注目されている。特に、RNA 同士の連結反応を触媒するリガーゼリボザイムの存在が生命初期の進化に非常に重要であると考えられている。本研究では、人工 RNAシステムを基盤として、自己複製反応を触媒する人工酵素をデザインし、人工細胞モデルシステムを創出することを目指した。具体的には人工リガーゼリボザイムを用い、RNA 自己増幅系のモデルを新たに設計・構築することにより、新観点から RNA ワールド 仮説の実験的検証をおこなった。この知見を基に、RNA 構造モチーフを利用した新規 RNA 自己複製システムモデルを設計・構築した。さらに設計した RNA 分子から構成されるμm サイズのコンパートメント(小胞)の構築を試み、RNA のみからなる機能性構造体の創出に向けて前進した。