著者
木本 雄吾 宮崎 英治 土屋 佑太 後藤 亜希 行松 和輝
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.205-211, 2021-06-05 (Released:2021-06-05)
参考文献数
15

超低高度域(高度300 km以下)で運用される宇宙機の課題の一つとして原子状酸素(Atomic Oxygen : AO)の存在がある.AOは高層大気中の酸素分子が太陽からの紫外線により分解され,酸素原子となったものであり,高度が低いほど高濃度である.AOは衛星構体最表面に用いられる高分子材料を浸食する.そのため超低高度域の開拓には,AO量及びその影響の把握がミッションの成立性の観点で重要である.超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS : Super Low Altitude Test Satellite)のミッション機器として,AOモニタ(Atomic oxygen Monitor : AMO)が搭載された.AMOの目的は,SLATSが運用される軌道のAO環境の計測及びAOによる材料劣化の確認である.AMOはSLATSの打上げに合わせ電源投入,運用され,計画したミッションを達成した.
著者
由井 剛 北井 保夫 野原 勝 小原 秀雄
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.383-389, 2012-10-05 (Released:2017-06-23)
参考文献数
2

イプシロンロケットはM-Vロケットと同じく,内之浦宇宙空間観測所(USC)で組立,点検,打上げを行う.その際使用する地上系(施設,設備)は,既存のものを有効活用しつつ,新たな目的を持って新規開発,改修を計画した.新たな目的とは,運用の革新,つまり省人化,時間短縮,機動性,安全性の大幅な改善を実現することである.ここでは,イプシロンロケットが目指すコンパクト(少人数,短時間で実行可能)な点検・整備・打上げを可能にする自動・自律点検,ロケット管制のモバイル化(移動可能式),安全性と運用性を格段に高めた打上げを可能にする遠隔地打上げ運用を実現する地上系の開発について紹介する.
著者
加藤 寛一郎
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.40, no.461, pp.338-345, 1992-06-05 (Released:2010-12-16)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

Trim, static stability and endurance are discussed about the model airplane and simplified formulas are given for them. Also, wing aerodynamic characteristics are reviewed for Reynolds No. at about 104. Combining these, the reason is estimated why model airplanes have larger horizontal tail (relative to wing) than real airplanes.
著者
和田 英一 藤本 圭一郎 沖田 耕一
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.301-307, 2015

有人宇宙輸送システムは,そもそもハザードを発生させないことが最も重要である.しかしながら,100%の安全が保証されるシステムは存在しない.したがって,ハザードはある確率で発生するものとして,ハザード発生時に宇宙船を守る技術が必要となる.この安全上重要な技術のひとつがアボートシステムであり,ハザードが発生し,クルーの生存が脅かされる事態となった際に,運用を中断し,クルーを無事に離脱・帰還させるためのシステムである.本稿では,アボートシステムのうち,特にクリティカルなハザードである有人ロケットの爆発に対して飛行士の安全を確保する技術について論じる.

1 0 0 0 OA 凧の歴史

著者
黒田 隆二
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.47, no.540, pp.7-13, 1999-01-05 (Released:2019-04-08)
参考文献数
11
著者
鄭 炳表 菅 智茂 薄田 一 川崎 和義 髙橋 卓 豊嶋 守生
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.226-232, 2021-07-05 (Released:2021-07-05)
参考文献数
9

地震等,大規模災害の発生に伴った通信途絶の回避や早期復旧に活用するため,情報通信研究機構(NICT)では災害に強い衛星通信ネットワークを研究開発している.東日本大震災の際の災害派遣の教訓から,走行中でも通信ができるWINDSの小型車載局等を開発した.また,災害対応に役立つ小型車載局の付加機能の開発を行うと同時に,地方自治体,消防等の緊急対応組織の協力を得ながら,災害対策実験を重ねてきた.さらに,2016年熊本地震が発生した時には,WINDS用の大型車載局,小型車載局やメッシュネットワークとともに職員を熊本県高盛町に派遣し,応急ネットワークを構築した後,鹿島宇宙技術センター経由でインターネット衛星回線を災害対策本部や住民に提供した.本稿では東日本大震災以降,NICTが開発したWINDS用の地球局やその付加機能,またこれらを用いた災害対策実験の内容に加え,2016年熊本地震時の応急対応について紹介する.
著者
加藤 裕之 小池 俊輔
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.395-402, 2014

粒子画像流速測定法(PIV)は空間中の速度を光学的に計測する流体計測技術である.レーザ光源とCCDカメラ等を用いることで従来の流体計測技術を大きく上回る空間解像度で,かつ定量的に速度を画像として計測できることが特徴であり,その計測対象は液体,気体を問わず,速度範囲は低速から超音速まで対応し,計測領域はマイクロ流から大型風洞まで幅広く適用可能な計測手法である.近年,航空機宇宙機開発における風洞試験では,機体性能の向上や空力設計の高度化により,機体周りの詳細な流れ状態に関するデータ取得のニーズが増している.さらには,空力騒音やバフェット現象等,非定常流れに関する時系列データを取得するための計測手法が求められている.PIVはこれらの速度場計測ニーズに応えるための計測手法として開発が進められ,適用されつつある.本特集では,PIV技術の概要,大型風洞へのPIV計測の適用例の紹介を通じて,その効果的な運用について報告する.
著者
谷 一郎
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.21, no.228, pp.39-43, 1973 (Released:2009-05-25)
参考文献数
23
被引用文献数
1 2
著者
山名 正夫
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.14, no.149, pp.170-176, 1966

The phenomenon of "Hitodama", a fairly popular term from ancient in Japan and probably corresponding to will-o'-the-wisp, is studied from the viewpoint of combustion of gases. The viewpoint has come out of the examination on nearly 100 actual examples mostly observed by the acquaintances of the author. An experimental simulation is tried in a wind-tunnel, in which the setup is so devised that the mixing of methane and surrounding air is caused merely by interdiffusion. A long, horizontal column of methaneair mixture thus formed is ignited to establish a propagating flame. The observed flames take three representative types; long one with a ringshaped head, one with a conically-grooved head, and spherical one with a short tail, according to the concentration profile in the column. The analytical investigation gives calculated shapes of methane flames which are in a fairly good agreement with observed ones.