著者
岡本 義久 栗原 和幸
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.652-658, 2012-05-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
22

症例は関東地方に居住する15歳女児. 2歳時にアレルギー性鼻炎と診断され, 5歳時に,口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome, OAS)を発症し,広範な果物・野菜に反応するようになった.アレルギー性鼻炎を主訴に当科を紹介され, 15歳時にシラカバ・ブタクサ・スギ花粉の急速皮下注射免疫療法(rush subcutaneous immunotherapy, rush SCIT)を行った.急速期前後で一重盲検リンゴ経口負荷試験を行い,口腔違和感・掻痒はnumerical rating scale (NRS)で治療前3/10点に対して,治療後は陰性化した.オープン法リンゴ負荷試験の結果,症状なく摂取可能な量は1.5gから50g以上に増加した.その後,各種果物・野菜の負荷試験を行ったところ,いずれも臨床症状の改善または消失が認められた.シラカバ花粉に対する免疫療法がpollen-food allergy syndrome (PFAS)に対して有効である可能性が示唆された.
著者
小林 花神 堀口 高彦 近藤 りえ子 志賀 守 廣瀬 正裕 伊藤 友博 鳥越 寛史 林 信行 大平 大介
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1551-1555, 2006-12-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
15

80歳,男性.平成16年10月より慢性心房細動に対して抗不整脈薬アミオグロンを内服していた.内服7カ月後の平成17年6月,呼吸困難,発熱を来たし入院となった.胸部レントゲン写真,CT写真にて全肺野にスリガラス影を認め,動脈血液ガス分析にて低酸素血症がみられ,acute respiratory distress syndrome (ARDS)と診断した.アミオグロン内服の中止,ステロイドパルス療法を施行するも病態の急速の進行により入院第4日目に死亡した.剖検にてdiffuse alveolar damage (DAD),肺胞腔内に水腫液の貯留,foamy macrophageを認め,アミオグロンによる薬剤性肺障害と診断した.
著者
信太 隆夫 降矢 和夫 水野 勝之 我妻 義則 松山 隆治 宮田 亮
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.19, no.10, pp.739-751,800-80, 1970-10-30 (Released:2017-02-10)

現代日本で最も普遍的な花粉症の原因花粉はスギ花粉で, 次いでヨモギ, イネ科, ブタクサなどが重要である.スギの抗原としての独立性は高く, イネ科, ヨモギ, ブタクサあるいはシロザなどが時に相互に類似性を示すことと対照的である.いわゆる花粉症と花粉喘息を比較観察し次の結果を得た.1)花粉喘息の発症年令は花粉症より若く, かつ2峰性の分布を示す.2)花粉喘息は花粉症を繰返して生ずるより初めから喘息として発症することが多い.3)花粉喘息のAch感受性は明らかに高い.4)花粉症の発作季節は原因花粉飛散季節と一致するが, 喘息ではしばしば春秋型をとり, 必ずしも花粉季節と一致しない.5)花粉症も花粉喘息も主因外花粉に対する皮内反応はほゞ同様の傾向を示すが, 花粉以外のHDや真菌類に対しては花粉喘息は明らかに高い陽性率を示す.6)花粉喘息のPK価は皮内反応の閾値との関係において花粉症のそれより低い.