著者
横井 亮子 吉田 美奈子 笹川 栄子 平田 耕造
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.537-547, 2006-09-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
25

異なるサイズのガードルの衣服圧測定と, ガードルによる身体圧迫が心拍数, 皮膚血流量, 皮膚温, 呼吸量に関する項目, および主観的評価におよぼす影響を, 3つのサイズ変化に対応する独自に開発した加工ガードルを用いて解析した. (1) 各部位の衣服圧において加工ガードルは, 既存ガードルとの間に有意な相関 (r=0.95, p<0.01) が得られ, サイズ変化に十分対応していることが確認された. (2) 加工ガードルのサイズが小さくなるに伴い, 衣服圧値は徐々に高くなり, 圧感覚もよりきついレベルへ移行した.この時心拍数は有意に増加した.下腿部の皮膚血流量は有意に減少し, 同皮膚温も有意に低下した.1回換気量, 予備呼気量は有意に減少し, 予備吸気量は有意に増加することが明らかとなった.
著者
諸岡 晴美 丹羽 雅子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.29, no.11, pp.486-493, 1988-11-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
6

布と皮膚との摩擦係数に影響を及ぼす布の水分率依存性を検討するために, 肌に直接つける肌着用編布 (スポーツシャツ用編布を含む) 14点を試料とし, 標準状態, 20℃, 93%RH内での調湿および50%, 100%水分率の計4段階の布の含水状態下で布と皮膚との摩擦係数を10gf/cm2の圧力下で測定した.被験者は成人女子5名とし, 左前腕内側面を測定部位とした.一方, KES表面試験機により標準状態下で測定した布の摩擦係数μKから布と皮膚との摩擦係数μs (R) を予測する方法を検討した.その結果,1) 種々の繊維組成, 編布構造をもつ肌着用編布についてμs (R) に及ぼす布の水分率Rの影響を定量的に捉えた.2) 標準状態下で測定されるμKを用いて, 標準状態での平衡水分率以上, 100%水分率以下の任意の含水状態でのμs (R) を予測する式を誘導し, これにより個人差の範囲内でμs (R) を予測できることを明らかにした.
著者
庄山 茂子 笹田 美沙都 平野 沙季 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.43-51, 2016

産婦人科病棟の看護師に異なるデザインの9種の上衣と白のパンツを着用してもらい入院患者267名を対象に印象を調査した.サンプルの生地は無地と花柄で,色彩は,白と高明度の青,赤紫,赤である.衿は,Vネック,クルーネック,シャツカラーの3 タイプである. (1)「好ましい,やや好ましい」の割合は,9 サンプルとも80%以上であった. (2)因子分析の結果,「親しみ・癒し,責任感,積極性,活動性」の4因子が抽出された.最も好まれたサンプルは,「親しみ・癒し」と「責任感」の因子得点の高いものであった. (3)「親しみ・癒し」は,無地より花柄のサンプルの評価が高かった.大花柄の方が小花柄より「親しみ・癒し」の評価は高い傾向がみられた. (4)「責任感」は,白無地の次に寒色系の大花柄のサンプルの評価が高かった.衿付きのサンプルは,「責任感」の評価は高いが,「活動性」の評価は低かった.
著者
村上 かおり 今岡 春樹
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.719-725, 2004

前報では, 収集した迷彩柄の特徴を対称性から評価する方法について議論した.その結果, 迷彩柄は対称性の良い柄と悪い柄に分離することができ, 柄の細かさは多様であることがわかった.<BR>本報では, 迷彩柄と同じく規則性のないランダムな柄を収集するのではなく生成する方法について検討した.ランダム柄は一様乱数に逆菅野積分フィルタを適用し生成した.適用回数を変化させ, 13種のランダム柄を生成した.また柄の対称性と細かさについて, 幾何学柄を基準に, 収集した迷彩柄と比較しながら評価した.<BR>フィルタリング回数の少ないランダム柄は, 反転対称性ならびに回転対称性の両対称性において, 幾何学柄, 迷彩柄と比較して高い総合評価値が得られた.<BR>フィルタリング回数の増加に伴い, 柄は粗くなった.しかし最も粗いランダム柄でも, 幾何学柄, 迷彩柄の中では細かい柄であった.より粗い柄を生成するには, フィルタリング回数を指数的に増加させる必要があることが示唆された.
著者
上野 清一郎 小野田 静江 高田 久美子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.227-233, 1979

基本的な図形として正方形をとり上げ, これを直線によってランダムに分割し, 分割部を2色でぬり分ける.このような分割図形を数多く作り, それらのイメージを, イメージ用語に対する答えから数値化してイメージ得点とし, これを統計量として図形の間のイメージの比較を行なった.他方図形を数量的に表現し, これらとイメージ得点との間を重回帰式によって関連づけた.これによると,<BR>(1) 今回の配色に関しては, 配色のちがいによるイメージの間には, 有意な差は見られなかった.<BR>(2) 図形を表現する要素 (物理的変数) からイメージへの寄与の仕方を見た場合は, 図形を組立てる多辺形の数ではその数の多いほど, また辺の数の総和ではその値の小さいほど, プラスイメージを与える.