著者
塩原 みゆき 川端 博子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.732-738, 2019-09-25 (Released:2019-09-25)
参考文献数
4

先行研究では,ストッキングあるいはタイツ単独で,着用による空隙率の増加によって,UV 防御を完璧に行うことが出来ないことが明らかとなったため,本研究では,サンスクリーン剤併用でのレッグウエアのUV 防御能を調べた.サンスクリーン剤単独では,平均して規定量の半量程度しか塗布されていない実態を考慮すると,実際には表示のSPF に達していないことが分かった.サンスクリーン剤を規定量の25%塗布してストッキング等を併用することで,全ての試料でUPF15 以上になり,UV 防御能を有するようになる.さらに規定量の50%塗布で,全ての試料でUPF40 以上のExcellent Protection になる.サンスクリーン剤単独の場合より,ストッキング等を併用することで,1 ランクUV 防御能が上昇する効果が得られることが分かった.
著者
神山 進 枡田 庸
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.31, no.11, pp.539-548, 1990

本研究では, 容姿をメディアにした情報伝達内容の測定が問題にされた.特に, (1) 服装メッセージ評定尺度を開発すること, (2) それを使って, 服装に関する「肌の露出度」のメッセージを測定すること, (3) そのような「肌の露出度」の解釈に対する社会的態度の影響を検討すること, が本研究の目的であった.<BR>得られた結果は, 次のように要約できる.<BR>1) 75項目より構成される, 服装メッセージ評定尺度を開発することができた.<BR>2) 袖の有無・ドレス丈の長短などから表示される「肌の露出度」が, それの大小に関して異なった情報を伝える事実が確認され, またそれらを測定することができた.<BR>3) 肌の露出度が顕著に伝える情報内容は, 「新しいものが好きである」, 「流行に敏感である」, 「冒険心がある」, 「刺激を求あている」, 「ロック音楽を好む」, 「遊びにいくところである」, 「目立ちたがり屋である」, 「派手な人である」, 「挑発的である」, などであった.<BR>4) 肌の露出度が伝える情報に関して, 4つの成分が明らかになった.すなわち, 「お酒落/流行感覚」, 「品位/社会良識」, 「仕事への従事/地位の高さ」, 「活発さ/元気さ」, である.<BR>5) 保守主義的態度の持主は, 服装上の肌の露出度に基づいて, 着装者の「仕事への従事/地位の高さ」を解釈する度合が一層顕著であった.<BR>6) 「品位/社会良識」と「活発さ/元気さ」には, 刺激図版による解釈のされ方の相違が顕著に表わされた.すなわち, 特にミニ・スカート・スタイルのSPは, 一層お酒落で流行感覚に富み, また活発で元気だと解釈されたのに対して, 前V開き大の服装スタイルのSPは, 一層品位がなく, 社会良識に乏しいと解釈された.<BR>7) 「仕事への従事/地位の高さ」についても, 図版によって解釈のされ方に相違が認められ, 特にパンツ・スタイルのSPは, 一層仕事に従事していて, 地位も高いと解釈された.<BR>8) 刺激図版におけるSPのポーズの違いによって, 異なった情報が伝達される事態を確認することが出来た.
著者
髙橋 広行
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.777-784, 2010-10-20 (Released:2016-10-01)
参考文献数
23

本研究は,グレード化されたカテゴリーを形成する典型性要因,および具体性要因に基づく構造を前提にしながら,ブランド・ポジショニングを検討していくものである.先行研究におけるグレード化されたカテゴリーは「典型性」の研究に傾斜しており,競争環境やコンテクスト(文脈)などの具体性についてはほとんど議論されてこなかった.また,典型性と具体性の要因に基づくブランドの類型までは検討してきたものの,実際のデータで確認までは行っていなかった.そこで本研究では,このブランドの類型を検証していくものである.分析には2009年3月にIpsos日本統計調査株式会社の消費者パネルモニター,20代から60代前半の女性に対して収集した洗濯用洗剤ブランドのデータを用いた.分析の結果,認知者ベースから購入者ベースになるほど典型性要因が強く影響することが確認されたこと,ブランドの類型に基づいたブランド・ポジショニングによる競争構造が理解できたことから,このアプローチが有効であることを示唆した.
著者
東 義昭 諸岡 英雄 諸岡 晴美 若嶋 清人 松本 陽一
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.771-781, 2000-09-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
5

糸構造の異なる代表的市販パンティストッキングレッグ部の表面粗さ特性を明らかにするために, 円筒モデル実験と人体着用実験を行った.試料には, ゾッキ, 交編 (SCY) , 交編 (DCY) , シアー, ウーリー, コンジュゲイトのパンティストッキングを用いた.交編PSと他PSとの間, ウエール方向とコース方向との間, 丈方向と交差方向との間の表面粗さ特性値に, 大きな相違のあることを明らかにした.これらの相違の原因を, 編目形態と表面粗さ特性曲線から考察した.
著者
串田 啓介
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.124-128, 2017

<p><tt>被験者が快適にウォーキングを実施する速度を快適歩行速度と定義し,快適歩行速度を高める設計を施した機能性レギンスを開発し,その効果を検証した.</tt>45<tt>名の被験者に対して開発品の着用あり</tt>/<tt>なしでの快適歩行速度を計測した結果,</tt>78%<tt>の被験者の快適歩行速度が向上し,開発品を着用していない状態に比べ</tt>7.1%<tt>の速度上昇が見られた</tt><tt>.</tt></p>
著者
平田 行 吉田 まち子 塙 章江
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.47-53, 1974-02-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
7

衣生活において重ね着の場合の滑り具合を知るために, 各種の織物表面に現われる分岐繊維を中心に, その滑り摩擦 (傾斜角) を測定した.その結果, 絹織物 (朱子 (サテンクレープ) , 羽二重, 縮緬) はもちろん, 他の繊維類で製織したモスリン, タフタ等においても, 織物相互をたて糸の同一の方向に滑らせた場合は, 分岐繊維がからみやすいため傾斜角は大きく滑りが悪いが, たて糸とよこ糸を直角方向に滑らせた場合は, 傾斜角が小さく, 比較的滑りがよい,また荷重を増加するほど傾斜角は小さく, 滑りは良好の傾向を示した.朱子織物相互間では使用原糸の分岐繊維の状態と滑り摩擦とは, 多少関連性があるように見受けられるが, 羽二重, 縮緬のそれぞれの間においては明確には分かりにくい.朱子の上にモスリンを滑らせた場合は, 構成繊維の種類に関係なく滑りが悪いが, タフタ等は滑りがよい.また, たて糸とよこ糸のクリンプ角と滑り摩擦との間には, 織物をよこ方向に滑らせた場合は負の相関を示すが, たて方向に滑らせた場合は正の相関を示し, クリンプ角も滑り摩擦と影響をあたえる一因子であること等の知見を得た.
著者
小粥 勇作 松村 嘉之 大谷 毅 高寺 政行 星野 雄介 保田 俊行 大倉 和博
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.590-598, 2017

<p><tt>繊維・アパレル産業の企業間取引ネットワークにおいて,</tt>8 <tt>分野(総合アパレル,レディス,メンズ,デザイナー,ベビー・子供服,インナーウエア・靴下,スポーツウエア,ジーンズ・ユニフォーム)計</tt>1476 <tt>社について,複雑ネットワーク分析を実施した.全体</tt>1476 <tt>社についてと代表的な</tt>3 <tt>分野として,総合アパレル</tt>217 <tt>社,レディス</tt>603 <tt>社,メンズ</tt>202 <tt>社のそれぞれの取引関係数について,次数分布の両辺対数変換を施したところ,全体と</tt>3 <tt>分野それぞれにおいて,べき指数</tt> γ <tt>⋍</tt> -2 <tt>の自己相似的構造が確認された.また,全体と</tt>3 <tt>分野のそれぞれはネットワーク直径が</tt>6 <tt>次以下であるスモール・ワールド性も確認された.さらに,ネットワークの中心性に関する指標により,繊維・アパレル産業の多くの分野で,商社がネットワークの中心的な取引を展開していることが判明した.</tt></p>
著者
山縣 亮介 石原 久代
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.915-923, 2016

<p><tt>フォーマルウェアは社会的側面から欠かせないが,その基準は曖昧であり,最近のフォーマルシーンでの若者の服装の乱れが指摘されている. そこで,フォーマル性評価に関与する要因を探るためにデザイン,柄,服装色についてフォーマル性の高い要因と低い要因を抽出し,それらを組み合わせたデザイン画32 種を作成し,SD 法10 形容詞対の官能検査を行った結果,フォーマル性には被覆度と服装色が大きく影響した. また,デザイン画と実際の服装評価との関係をみるために,3 種の実物製作を行い,モデルに着用させ,その着装画像を4D-box により赤,黄,黒,白の無地に色彩変換し,加えて同色のドット柄と花柄の計30 試料を作成し,先と同様の官能検査を行った結果,フォーマル性にはデザインが最も大きく関与し,色彩ではデザイン画での評価は黒が,実物では白が大きく関与した.しかし因子分析の結果は類似しており,フォーマル性,あたたかさ,力量性の3 因子が抽出され</tt><tt>た.</tt></p>
著者
戸張 真臣 石田 多美江 田中 丈三 渡辺 真郎 永山 升三
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.22, no.9, pp.397-402, 1981

家庭洗たくにおける各種衣料用洗剤のウール製品の収縮に与える影響の度合いを明らかにすることを目的とし, このウール製品の収縮がいかなる原因によって生じるのかを, 主にウールの物性面から検討した.その結果, ウール製品を洗たく機・ソフト水流で洗浄すると, 弱アルカリ性合成洗剤や粉石けんは, 中性洗剤に比べ収縮小の傾向にあり, これは, 弱アルカリ性合成洗剤や粉石けんのようなpHの高い洗剤系では, ウール表面のスケールがアルカリで侵されることや, さらに, 粉石けんの場合, カルシウム石けんなどの付着により, 摩擦係数の異方性 (Differencial Frictional Fffect; D.F.E.) が低下することも一因していることがわかった.このD.F.E.の考え方は, 近年の防縮加工技術に応用されているが, 本実験により, 実際の洗浄系においても, この考え方の適用されることが明らかとなった.
著者
神山 進 牛田 聡子 枡田 庸
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.25-35, 1987-01-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
4
被引用文献数
1

この研究の目的は, 身体像ならびに自己像と被服の間の関連性を検討することにあった.その方法として, 306名の女子大学生を対象に, 身体の価値感情, 自己の価値感情, 被服の満足感, 被服の近接感などを内容とする調査を行った.因子分析法等を用いることで, 身体/自己の価値感情の内容, 身体像/自己像の不安定性の内容, またそれらの間の関連性を知ることができた.また, 身体ならびに自己の価値感情と被服に対する満足度の間に, それぞれ正の関係が読みとれた.さらに, 被服に対する自我関与の高いグループと低いグループとでは, 自己像の不安定度に相違があり, 被服には, 自己像の不安定性を何がしかの割合で補填する働きがあることが示された.
著者
日本産業皮膚衛生協会技術委員会第一分科会
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.308-316, 1996-06-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
8

本研究の目的は繊維や糸の要因が物理的刺激に与える影響について明らかにすることである.繊維の太さ・断面形状, 布表面の毛羽, 糸の撚数, 糸の太さ等が皮膚刺激性 (物理的刺激) に与える影響について検討した.皮膚刺激性については河合らの方法を用いて判定した.その結果, 繊維は太くなるほど皮膚刺激性が強くなること, 繊維の先端が皮膚に接触した場合の方がその側面が接触した場合に比べて, 皮膚刺激性が強くなること, 繊維の断面形状によって皮膚刺激性が異なること, 糸は太くなるにつれて皮膚刺激性が強くなること, 糸は撚数が増すにつれて皮膚刺激性が強くなること等が明らかになった.
著者
篠原 陽子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.180-186, 2013-02-20 (Released:2017-05-30)
参考文献数
4

衣類に付着した墨汚れは衣類の外観性能を害する.その除去は極めて困難であるため衣類の使用を断念する場合が多い.衣服の機能回復の目的と現代衣生活で課題とされている資源・環境への配慮の観点から,衣類に付着した墨汚れの除去を検討した.汚染布はポリエステル,綿,これらの混紡の白布を,固形墨と市販墨液を用いて作成した.汚染布の表面反射率は,全面汚染布の場合,固形墨で汚染した布の反射率が低かった.スポット汚染布の場合は,墨の種類による差はみられなかった.これらの汚染布を漂白剤,分散剤,界面活性剤を用いて洗浄した.墨ならびに繊維の種類,汚染方法の違いによる洗浄効率について有意差を検定した(ANOVA, p<0.05).いずれも洗浄性は低く,墨汚れの除去は困難であった.墨の種類では,固形墨で汚染した布の洗浄効率が有意に高かった(p<0.05).全面汚染布とスポット汚染布の洗浄効率は,繊維あるいは墨の種類によって異なった.NaClO は煤粒子の保護コロイドの作用を低下させ,分散剤と界面活性剤の作用で煤粒子を布から脱離させていのるものと考えられる.