著者
深井 誠一 五井 正憲
出版者
香川大学農学部
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.53, no.106, pp.25-29, 2001-03
被引用文献数
1

一重咲きタイプのバレリーナ,八重咲きタイプのアンジェリケ,枝咲きタイプのオレンジブーケの3品種のチューリップの花芽分化を走査型電子顕微鏡で観察した.バレリーナの場合,3枚の普通葉を分化した後茎頂が肥大し,その外花被,内花被,雄ずい第1環,第2環の順で3つずつの原基が分化した.その後茎頂の中央部は三角形になり,その頂部がへこみ始め雌ずいへと分化した.雄ずいが伸長し雌ずいを囲みその後花被が伸長して全体を覆った.八重咲きのアンジェリケでは,花被の分化に引き続き多数の突起状の原基が分子し,そのうち外側の多くは花被化し内側のいくつかは雄ずい化した.枝咲きのオレンジブーケでは中心の花芽の分化完成後,腋芽の茎頂は1枚の普通葉を分化した後花芽を分化した.
著者
市川 俊英 倉橋 伴知 幾留 秀一
出版者
香川大学農学部
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.43-59, 2011-02 (Released:2012-12-03)

香川県内の自生植物および栽培植物の花とその周辺で活動中のハナバチ類(ミツバチ上科)の成虫を3年間(1996年~1998年)に亘って観察・採集した.その結果、導入種のセイヨウミツバチとセイヨウオオマルハナバチを含む6科22属54種のハナバチ類が採集された.土着種の中で年間6ヶ月以上の長期に亘る活動はニホンミツバチ(9ヶ月間)およびキムネクマバチ(7ヶ月間)で確認された.また、確認された訪花植物種数はキムネクマバチが最も多く、14科18種、次いでコマルハナバチが9科13種、それに続いてニホンミツバチとトラマルハナバチがそれぞれ8科9種であった.訪花中の雌成虫による盗蜜行動がキムネクマバチとクロマルハナバチで、振動授粉がキムネクマバチ雌、コマルハナバチ雌、トラマルハナバチ雌およびクロマルハナバチ雌でそれぞれ観察された.雌雄異株木本植物のアカメガシワ雄株でキムネクマバチ雌が振動授粉すると花粉が空中に飛散することと、同種雌株で訪花昆虫が確認されないことから、アカメガシワではキムネクマバチが飛散させた花粉によって授粉される可能性が高いと推測された.このため、振動空輸授粉(buzz and airborne pollination)と名付けたこの仮説的な授粉様式の可能性を、熱帯に多い雌雄異株木本植物の授粉様式と対比させながら考察し、訪花活動に関連したクマバチ属の進化過程についても若干推論した.
著者
別府 賢治 藤本 華倫 片岡 郁雄
出版者
香川大学
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.55-58, 2007-02-28

暖地条件における秋季のホウ素の葉面散布が、甘果オウトウ'佐藤錦'の翌春の花器の発育および結実に及ぼす影響を調査した。9月上旬にホウ素濃度500ppmのホウ酸溶液を鉢植え樹の全葉に噴霧処理した。ホウ素処理により、翌春の胚珠の寿命が延長し、花柱内での花粉管伸長がやや速まった。ホウ素処理区では対照区に比べて結実率がやや高まった。これらのことから、暖地条件における秋季のホウ素の葉面散布は、翌春の結実性を向上させる効果があることが示された。
著者
鎌田 萬
出版者
香川大学
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.95-106, 1978-09-30