著者
島田 恭宏 塩野 充
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.1596-1604, 1990-11-20

本論文では, 小説等の日本語文(漢字かな混じり文)をかな点字に翻訳するパソコン上のシステムについて述べる.点訳処理は, (1)漢字に読みがなを振る, (2)かな文を点字の表記法に対応させる, の2つの処理から構成している.処理(1)では, 形態素解析アルゴリズムでよく知られている, 節数最小法を用いている.漢字かな変換では, 同字異語が問題となり, ことに1文字漢字の読み間違いが頻繁に起こるため, 音訓情報による読みの制御も1文字漢字に対しては行っている.処理(2)では, 分かち書き, 長音における長音符の使用, 助詞「は」「へ」などの処理を行う.これらの処理により, パソコン上で実験を行った結果, 漢字かな変換の正解率88.37%を得た.かな文の点字表記法への対応処理は, 一部の例外を除いては失敗はみられなかった.本システムは, (1)訂正作業が容易である, (2)ローコストなシステムを提供できる, などの特徴を持つ.
著者
中林 克己
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.984-991, 1983-12-20
被引用文献数
14 1

テレビ映像とステレオ音像の相互作用は, 映像が音像の方向を支配するという形で存在すること, また方向支配に寄与する要因として映像の見込角, 映像への注目度が考えられることを示した.さらに, タイムコテドを必要しないテープロックシステムの概要を紹介した.
著者
田端 健一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.724-727, 1981-09-01

コンピューター印刷により作成された多数のビンゴカードを視聴者に発送しておく.マイコンにより, 登録ナンバーをキーとしてビンゴカ一ドを選出し, そのカードを大形数字表示器に表示し, "ナイスビンゴ"かどうかをチェックすることが番組の進行上での第一歩である.
著者
西村 武 森本 一成
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.726-730, 1985-08-20
被引用文献数
5

VDU作業による視覚疲労はCFF(臨界融合周波数)や眼の焦点調節機能の測定値から推定される場合が多い.CFF測定値のばらつきの程度は測定方法の違いにより異なると思われる.ここではCFFの測定方法および測定条件に関して, 疲労の検出力や測定の精度の面から検討した.検出力および精度については, それぞれ測定値の変動率の大きさおよび分散の大きさが調べられた.測定方法としては調節法, 極限法および恒常法について, 測定条件としては検査光光源の輝度(120cd/m^2と530cd/m^2), 視角(1°と2.5°)および色(緑, 黄および赤)について比較検討した.その結果, CFFの測定方法としては極限法が一番精度が高いこと, CFFの検査光光源の輝度は500cd/m^2付近の方が120cd/m^2よりも疲労の検出力は強い傾向があり, 視角は1°の方が2.5°より測定の精度が良いことがわかった.また検査光光源の色を限定することはできなかった.
著者
〓 怡虹 鳥海 有紀 大沢 裕 坂内 正夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.86-93, 1991-01-20
被引用文献数
1 2

8色または16色程度を同時表示可能な, 簡易型のルックアップテーブル形式のディスプレイを対象とした限定色カラー画像の作成法について述べる.本方式の特徴は, 画像上で多くの色を割当てたり, 色の割当てを少なくする部分を会話的に指定し, 作成者の好みに合致した画像を作成可能な点にある.処理は次の3つのステップで行われる.まず, (1)システムは標準的な限定色画像を自動的に生成し, それを提示する.(2)作成者は好みに合わせ, 画像上で割当てる色の数を制御する部分を矩形領域で指定し, 併せてその部分の重視の程度と色割当てのタイプを指定する.(3)システムは指示に合わせて, 指定部分に多くの色を割当てたり, 少ない色を割当てるなどの制御を行う.この(2), (3)のステップを繰り返して好みに近い画像を得ようとするものである.これを実現するため, 色空間中で同一色を割当てる範囲の大きさ(D)をパラメータとし, 多くの色を割当てる部分には小さなD値, 少ない色を割当てる部分には大きなD値を設定するという手法を提案している.
著者
中田 孝憲
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.711-716, 1982-08-20

画像応答システム(VRS)は, 電電公社が開発を進めている会話形画像情報システムのひとつであり, 本稿ではこれまでの実験サービスを通じて確認された, 本システムの諸装置, ソフトウェアの特性および利用状況, 効用などサービス面での調査実施状況について紹介する.
著者
田窪 米治 竹田 守 田村 達彦 岩井 宏 高原 博司 小森 一徳 別所 芳宏 山下 一郎 宇喜多 謙二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.544-549, 1990-05-20
被引用文献数
1

ハイビジョン用液晶投写型テレビに応用できる高密度TFTアレイを開発した.高密度で高開口率を実現するために反射型構造を提案した.また, 対角約2,3インチの基板内に約136万画素を集積したTFTアレイを試作し, 画素ピッチ30(μm)×35(μm)で70%の開口率を実現した.同時に, 高密度化に伴って問題となるTFTアレイの寄生容量の画像への影響を抑えるために, TFTアレイ構成と駆動方法を組合わせた新方式を開発した.そして, 今回試作したTFTアレイを用いた液晶投写型テレビの画像評価により, その効果を明らかにした.
著者
近藤 浩
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.301-304, 1990-03-20

二重像からそれぞれの画像を分離, 再構成する新しい方法を示す.観測画像が二重像となっているとき, 各々の原画像パワースペクトルと1つの原画像フーリエ変換位相との間に成立する唯一の関係式を導く.これにより得られた位相から画像再構成を行い, 二重像の分離を行う.シミュレーション例は, 二重像の分離が完全に行われることを示している.
著者
岡林 繁 古川 政光 畑田 豊彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.714-721, 1993-05-20
被引用文献数
5 1

航空機用表示装置として登場したヘッドアップディスプレイは, 自動車にも応用され始めてきた.航空機用へッドアップディスプレイに関する研究では, ヘッドアップディスプレイの表示像情報の認識・受容における優位性は, パイロットの目の焦点調節量と視線移動量が低減されるためといわれている.本論文では自動車の視覚環境を考え, 周辺視による表示像情報の認識・受容に着目し, 2つの実験を行った.まず, 走行時の視覚環境を想定した実験装置を用い, 周辺視での認識機能を遮断した場合とそうでない場合について表示像の認識特性を比較した.次に, 周辺視野と中心視野に, 目からの距離が異なる視標を呈示し, それぞれの視標認識の程度を評価した.結果は, ヘッドアップディスプレイの特長が顕著な遠方表示や小さい俯角の条件で, 周辺視での表示像情報の認識・受容の効果が大きく, これは目の焦点調節量と視線移動量の低減の効果に匹敵することがわかった.
著者
畑田 豊彦 坂田 晴夫 日下 秀夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.407-413, 1979-05-01
被引用文献数
65 8

ディスプレイの画角変化による心理効果のうち, 広視野画像から受ける臨場感効果を, 心理物理的手法(観察者の方向感覚の誘導量測定)と主観評価法で測定した.その結果, (a)誘導効果は呈示画角の増加とともに対数的に増加する, (b)臨場感効果は20°以下の狭い呈示画角では非常に弱く, 80°近辺以上になると飽和状態になる, ことがわかった.