著者
山口 剛
出版者
法政大学大学院
雑誌
大学院紀要 = Bulletin of graduate studies = 大学院紀要 = Bulletin of graduate studies (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.17-39, 2015-03-31

本研究は学習方略の使用に対して,時間がかかる,疲れを感じる,難しいというコスト感に注目し,方略使用への影響を明確にすることを目的とした。また,上述の影響に対する達成目標や自己効力感といった動機づけ要因の調整効果についても検討した。大学生 104 名を対象に調査を実施し,参加者の項目に対する回答をレベル 1,達成目標や自己効力感といった動機づけ要因をレベル 2 としたマルチレベル分析の結果,難しさの認知がもつ方略使用への負の影響がみられ,その影響は動機づけ要因の変数によって変化しなかった。最後に,コスト感を分ける意義と教育実践への介入を考察した。
著者
佐山 七生
出版者
法政大学大学院
雑誌
大学院紀要 = Bulletin of graduate studies = 大学院紀要 = Bulletin of graduate studies (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.55-63, 2015-03-31

本研究の目的は,Waist-to-chest ratio(WCR)とSomatotypeの違いによって女性が感じる男性の外見的魅力にどのような変化が生じるかを検討することである。成人女性72名(M=26.69 歳,SD=5.50)に対し,男性のWCRとSomatotypeを変化させた画像(計24体)の評定を求めた。項目は「頭が良い」「お金持ち」「健康」「子供好き」「セクシー」「魅力的」の6項目で,それぞれどの程度あてはまるかを5段階で評定させた。その結果,「健康」「セクシー」「魅力的」から構成される身体的魅力因子が抽出された。そして,ectomorphic,endomorphic,mesomorphicでは低WCR,つまり逆三角形体型であるほど身体的魅力が高いという結果となった一方,averageでは WCR0.7を頂点とする逆U字型に身体的魅力が変化しており,男性のWCRとSomatotypeの違いによって女性が受け取る男性の外見的魅力の認知に違いがあることが明らかとなった。
著者
佐山 七生
出版者
法政大学大学院
雑誌
法政大学大学院紀要 (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
no.74, pp.55-63, 2015

本研究の目的は,Waist-to-chest ratio(WCR)とSomatotypeの違いによって女性が感じる男性の外見的魅力にどのような変化が生じるかを検討することである。成人女性72名(M=26.69 歳,SD=5.50)に対し,男性のWCRとSomatotypeを変化させた画像(計24体)の評定を求めた。項目は「頭が良い」「お金持ち」「健康」「子供好き」「セクシー」「魅力的」の6項目で,それぞれどの程度あてはまるかを5段階で評定させた。その結果,「健康」「セクシー」「魅力的」から構成される身体的魅力因子が抽出された。そして,ectomorphic,endomorphic,mesomorphicでは低WCR,つまり逆三角形体型であるほど身体的魅力が高いという結果となった一方,averageでは WCR0.7を頂点とする逆U字型に身体的魅力が変化しており,男性のWCRとSomatotypeの違いによって女性が受け取る男性の外見的魅力の認知に違いがあることが明らかとなった。
著者
猪子 秀太郎
出版者
法政大学大学院
雑誌
法政大学大学院紀要 (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
no.68, pp.11-20, 2012

小学校教員に対する「個別の指導計画」立案研修の効果測定を試みた。対象は研修に参加した 5 名であった。研修の前後に,抽象的な目標から複数の短期目標を記述するテストと,短期目標を具体的に記述するために適切または不適切な動詞を書き出すテストを行い,それぞれ記述数と正答数を比較した。短期目標に用いる動詞の妥当性については,Alberto & Troutman(2004)の「観察可能性からの動詞の分類」リストを参考にして作成した「動詞チェックリスト」を用いて評定した。短期目標に不適切な動詞の正答数は,研修後に有意に向上した。試行的な研究であり実験デザイン上の課題があるため結果の解釈は限定的であるが,テストで用いた指標による研修効果測定の可能性が示唆された。
著者
佐川 正人
出版者
法政大学大学院
雑誌
法政大学大学院紀要 (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
no.50, pp.13-25, 2003
被引用文献数
1

九州地方の中央部にある阿蘇カルデラの火口瀬に位置する立野から瀬田にかけては、一般に「まつぼり風」と呼称される東寄りの局地的な強風の吹走することが知られている。2000年10月11日、現地にて「阿蘇おろし」に起因すると考えられる雲の流れを確認した。本研究ではこの事例について既存の気象観測資料を用いて解析、考察し、報告する。Abstract:A local easterly strong wind prevailsfrom the point of Tatento to that of Seta locatedin the western rim of Mt.Aso in Kyushu District.This local strong wind is well known as "Matsubori-kaze" or "Aso-Oroshi", which is restricted in the Tateno barranco of Mt.Aso. The purpose of this study is to investigate the characteristics of this local strong wind by using the meteorological data around the barranco of Mt.Aso. The meteorological data of this study include routine surface meteorological observations at AMeDAS observatories and observatory of Kyushu Electric Power Co., Inc and Ministry of Land, Infrastructure and Transport's observatories. While it is usually calm around the Toshita district on the barranco bottom of Mt.Aso, a weak wind is recognaized there during blowing of the local wind. When the local wind blows, the airflow runs down the barranco raising the potential temperature.The difference of potential temperature between Aso-Otohime and Tateno is lower than that between Tateno and the Kikuchi-minami Fire station.
著者
髙橋 あい
出版者
法政大学大学院
雑誌
法政大学大学院紀要 (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.21-33, 2017-03-31

近年,保育士が保護者対応や同僚との連携において困難を抱えているとする報告が多くされており、それら対人場面の困難を軽減する具体的な支援が必要とされている。そこで本研究では,保育士への支援の具体的な方策に関する示唆を得ることを目的として,保育士のソーシャルスキルの経験年数による違いと,保護者対応や職員同士の連携におけるソーシャルスキルの教育ニーズについて明らかにした。現職の保育士83名を対象に質問紙調査を行い,その結果、経験の浅い保育土はベテランの保育士と比較して【解決行動スキル】,【会話スキル】,【感情処理スキル】が未熟であることが明らかとなった。また,経験年数5年未満の保育士は,ソーシャルスキルについての研修を受けたいというニーズが特に高いが,保護者対応や同僚との連携に必要なスキルについては,経験年数の長さにかかわらず,学びたいとする一定のニーズがあることが確認された。
著者
松村 隆
出版者
法政大学大学院
雑誌
法政大学大学院紀要 (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
no.75, pp.105-120, 2015

近年、国内の銀行において投資信託(投信)販売等による手数料ビジネスによる収益が増加している。この収益は、主に投信の販売量に比例する販売手数料と、投信の販売残高に比例する信託報酬からなり、共に巨視的に見れば、投信市場にどれ位の資金が流入してくるのかに依存している。そこで本稿では、投信市場全体への資金流入額が、金融市場の変動によってどのような影響を受けるのか、月次ベースの投信市場へのネット資金流入額と、金融市場指標(S&P500 指数、TOPIX、ドル円為替レートの 3 指標)からなる構造 VAR モデルを構築し、インパルス反応関数(IRF)を用いて、各変数のショックの波及効果を分析した他、分散分解によって、ショックが各変数の変動にどれ位寄与しているのか分析した。IRF によるショックの波及効果分析の結果、TOPIX の月次収益率が 1% 上昇すると、投信市場へのネット資金流入額が 1 期目(当月)では約 40 億円、2 期目(翌月)では約 150 億円増加し、12 期間(1 年間)の累積では約 1,000 億円程度増加するという結果が得られた。一方、ドル円為替レートの月次収益率の 1% 円安ショック、S&P500 指数の月次収益率の 1% 上昇ショックは、初期においてはネット資金流入額を減少させる方向に寄与するが、その後、しばらくすると増加させる方向に寄与し、12 期間(1 年間)の累積ではネット資金流入額を増加させるという結果が得られた。当初は個人投資家の利益確定の動きが強まることでネット資金流入額が減少するものの、市場環境が良好なため、しばらくするとそうした動きが弱まり、再び投信市場へ資金を投入するという投資家の行動が表われていると推察される。こうした本稿の分析結果は、中長期的に見た場合、金融市場の収益率とネット資金流入額には正の相関があるという、既往研究で得られている結果と整合的なものとなっている。また、分散分解の結果、12 期(1 年)後のネット資金流入額の変動に対して、最も影響度合いが大きいのはネット資金流入額自体の変動であるが、時間が経過するにつれ、その影響度合いは小幅低下し、代わりにTOPIX の影響度合いが徐々に高まる傾向があるという結果が得られた。