著者
新井 俊彦
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.168-173, 1999-08-01 (Released:2012-08-27)
参考文献数
8
被引用文献数
1

肥満の指標として,肥満度,BMIおよび体脂肪率が用いられている。肥満度とBMIは相関が良いのでどちらか一方でよいが,体脂肪率は個々の体重の特徴を知るために必要であることを示した。また,肥満と高血圧,高尿酸血症,肝障害,高脂血症,糖尿病のように,それぞれの疾患の患者での集計から結論された事象は,ほとんど正常な人間ドック受診者の成績解析でも得られることが判った。更に,些細に疾患としての関係が解析されていないものについても解析できた。
著者
奈良 昌治 新井 康通 小松本 悟 谷 源一
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.120-124, 1996-08-30 (Released:2012-08-27)
参考文献数
10
被引用文献数
2

我々は栃木県警察管内における自宅入浴事故死と温泉入浴事故死の2群に分けて,平成5年と平成6年について統計的に考察を行うことができた。自宅入浴事故死279例,温泉入浴事故死55例を対象とした。温泉入浴事故死は男性に多く,比較的壮年層に多かった。入浴事故死はいずれも冬期に多く,夏期に少ない傾向にあった。温泉入浴では自宅入浴に比べ,基礎疾患を持たない入浴突然死の割合が有意に高かった。
著者
小野寺 博義 鵜飼 克明 岩崎 隆雄 渋谷 大助 松井 昭義 小野 博美 町田 紀子 阿部 寿恵
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.211-214, 2000

1991年度から1998年度までの宮城県対がん協会の腹部超音波検査を併用した成人病健診(現在はがん・生活習慣病検診)受診者を対象として,脂肪肝の頻度およびBMIと血液生化学検査結果の変化を検討した。脂肪肝の頻度は16.6%から32.6%と7年間で2倍となった。総コレステロール,中性脂肪も有意に上昇しているのが確認された。生活習慣指導に役立つ事後指導システムの開発が急務である。
著者
福田 恵津子 山本 真千子 玉腰 久美子 斉藤 由美子 赤松 曙子 高橋 宣光 飯沼 宏之 加藤 和三
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.99-103, 1999

人間ドック受診者におけるトレッドミル運動負荷試験施行例の5年間経過観察例について検討した。初回から陽性のまま変化しなかった例,経過中陽性に変化した例,初回から陰性のまま変化しなかった例の3群に分類した。虚血性心疾患発症の有無については,アンケート調査例も含め検討した。上記の3群については虚血性心疾患の発症は見られなかったが,アンケート調査例の中で,発症の回答が3例に見られた。
著者
三上 理一郎 柳川 洋 河部 康男 宮城 隆 伊原 利和 秋山 一男
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.11-14, 2000-06-01 (Released:2012-08-27)
参考文献数
12

人間ドックを受診した男性2,675例のデータベース分析により,本態性低血圧の基準値を収縮期低血圧109mmHg以下と境界域低血圧110~119mmHgに分けた。低血圧群でオッズ比1以上は,検査所見;やせ,胃下垂,中性脂肪値55mg/dl以下,愁訴;疲れやすい・だるい,朝ファイトがでない,便秘,めまい・立ちくらみ,罹患疾患;広義の神経症,アレルギー性鼻炎,消化性潰瘍。以上,低血圧群の臨床的特徴と考える。
著者
小松 淳子 折津 政江
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.53-56, 1998-05-30 (Released:2012-08-27)
参考文献数
8

総胆管拡張は肝胆膵の病変の早期発見に重要な所見だが,軽度拡張例の評価は難しい。ドック受診者の検討では,総胆管径には性別,年齢体格,他の超音波所見,既往歴が関与した。8mm以上は5.6%で,経過中8%に新たな超音波所見がみつかったが,ほとんどが8-9mmの軽度拡張例であった。ドックでみられる無症候性の軽度拡張例においては,他の超音波所見を見落とさないよう念入りな経過観察を行うことが重要と考える。
著者
石井 史 屋代 庫人 田中 美紀 杉山 茂樹 橋本 洋
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 : 日本人間ドック学会誌 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.590-594, 2004-12-20
参考文献数
9

目的:炎症性腸疾患の患者は増加してきており,特に潰瘍性大腸炎は人間ドックの便潜血反応陽性を契機に発見されることがある.方法:ドックの便潜血反応陽性で発見された潰瘍性大腸炎の例を呈示し検討した.結果:ドックの便潜血反応陽性で大腸検査をした症例201人中の2例(1%)に潰瘍性大腸炎を認めた.この2症例はともに軽症例(直腸炎型,左側大腸炎型)であり,迅速に治療を開始し,治療経過は良好であった.診断後に問診を詳細に取り直してみると,潰瘍性大腸炎によると思われる症状があっても気付いていなかったり,血便は痔からによるものと自己判断していた.結論:便潜血反応検査は大腸癌のスクリーニングが主たる目的であるが,潰瘍性大腸炎症例の増加に伴い,ドックの便潜血反応陽性を契機に診断される症例が増えると予想される.潰瘍性大腸炎を無症状あるいは軽い症状で発見できることは有意義であり,ドックで行っている便潜血反応検査もその一助を担っていると思われる.
著者
大澤 千鶴 杉山 方樹 岡山 政由 岡山 義雄 佐藤 祐造
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.147-151, 1988-07-30 (Released:2012-08-27)
参考文献数
8

「人間ドック」において尿中食塩濃度測定の意義を追求する目的で,人間ドック受診者と,食事指導を十分に行なっている糖尿病外来患者と比較し検討した。栄養指導の行われている糖尿病外来患者は尿中食塩濃度が低く,尿中食塩濃度の低い群は,あきらかに肥満度も低かった。「ソルトテープ」を用いた短時間で簡易に実施可能な尿中食塩濃度測定は,人間ドックにおける検査項目としてきわめて有用であると考えられる。
著者
横山 久光 松岡 孝 佐々木 昭 斎藤 公男 姫井 孟
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.234-238, 1997-10-30 (Released:2012-08-27)
参考文献数
12

高ヘマトクリット血症(血液濃縮)は脳血管障害・虚血性心臓病の一大危険因子とされているが,今回人間ドック受診者9,745名における多血症(赤血球増加症)40症例について検討した。全例男性で,0.41%の低頻度なるも,高血圧・高脂血症・耐糖能異常・肥満・心血管系病変の合併症が多彩にみられた。症例の大部分のストレス赤血球増加症ではライフスタイル改善も考慮した経年的な長期追跡が重要で,リスクファクターとしての臨床的意義が大と考えられた。
著者
佐々木 紘一 本藤 裕 岸井 利昭
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.551-555, 2004-12-20 (Released:2012-08-27)
参考文献数
7

目的:人間ドックの尿定性検査について特に尿潜血反応はどこからを有意ととるべきかについて検討する方法:神奈川県労働衛生福祉協会で,平成14年10月1日~15年9月30日の間に人間ドックを受けた男性3,685人,女性1,811人,計5,496人の尿定性所見について検討した.結果:尿潜血+以上の陽性率は,男性13.1%,女性32.2%であった.また,尿潜血2+以上としたときの陽性率は,男性4.4%,女性14.4%であった.尿蛋白+以上の陽性率は,男性5.5%,女性2.3%であった.尿糖+以上の陽性率は,男性1.3%,女性0.3%であった.結論:腎機能障害は,尿潜血陽性率よりも,尿蛋白陽性率との間により関連性があると思われた.現在用いられている試験紙による方法では,尿潜血反応2+以上を有意と判定するのが妥当と思われた.尿潜血反応+の場合,まず尿沈渣を調べ,赤血球が少数のときは軽度異常とすべきである.尿中赤血球5-6/HPFが尿潜血反応+に相当するような尿試験紙があれば,最も理想的であろう.
著者
海瀬 俊治 菅野 久美子 安達 清子 阿部 雅子 服部 修作 丹治 義勝 富田 健 柵木 智男 松川 明
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.67-70, 1993-10-20 (Released:2012-08-27)
参考文献数
13

人間ドックにおける梅毒血清反応生物学的偽陽性(BFP)例について検討した。1989年度から1991年度までの3年間に当所人間ドックで受診した14,337名中26名(0.18%)にBFPが認められた。BFP例の検査成績や質問表を検討したところ,習慣性流産や血小板減少などより4例が抗リン脂質抗体症候群と考えられた。BFP例に遭遇した場合のこのような症候群の存在についても考慮すべきと思われた。
著者
折津 政江 生島 壮一郎 小松 淳子 中本 弘 山本 亮二 村上 正人 桂 戴作
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.152-156, 1992-07-20 (Released:2012-08-27)
参考文献数
8

人間ドック受診者を対象に,ストレスチェックリスト(以下SCL)と既存の心理テストとの相関を調べ,その有用性を検討した。CMIで神経症傾向が増大するに従いSCL得点は高くなり,SDS,KMIと良好な相関関係を認めた。SCLは自律神経失調症状を中心とした30問から成る問診表であるが,簡便に実施できることからストレスチェックの第一次スクリーニング法として有用であると考えられた。