著者
小島 彩子 佐藤 陽子 橋本 洋子 中西 朋子 梅垣 敬三
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.141-145, 2010 (Released:2010-09-10)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

最近の野菜の栄養価が低下しているという情報が流されている。こうした情報は,単に日本標準食品成分表(食品成分表)の収載値を引用して比較しているが,食品成分表では改訂ごとに分析方法が変更されていることは考慮されていない。このような情報における分析方法の関与について検証する目的で,ビタミンC(VC)に焦点をあて,9種類の野菜のVCを,これまで食品成分表で使用された3つの分析方法,すなわち滴定法(I),比色法(II),HPLC法(III)を用いて比較した。ホウレンソウ,コマツナ,ニンジンのVC含量はI>II>IIIのように明確に年代順に低下した。この実測値の変動は,食品成分表におけるVC収載値の変動とよく一致していた。トウガンのVC含量は食品成分表収載値の変動と同様に方法IIによる実測値が他法よりも高かった。いくつかの野菜では,食品成分表におけるVC収載値の変動が分析方法だけでは説明できなかったものの,全体としては,実測値の変動は食品成分表の収載値の変動とよく一致していた。以上の結果より,過去の食品成分表のVC収載値の変動に対して,分析方法の違いがある程度は影響したことが示唆された。(オンラインのみ掲載)
著者
橋本 洋一郎
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.416-421, 2018 (Released:2019-04-22)
参考文献数
13

RCVS comprise a group of disorders characterized by prolonged but reversible vasoconstriction of the cerebral arteries, usually associated with acute–onset, severe, recurrent headaches, with or without additional neurologic symptoms and signs. Recurrent thunderclap headaches, seizures, transient ischemic attacks, brain infarctions, brain hemorrhages and non–aneurysmal subarachnoid hemorrhages can all reveal RCVS.Stroke can occur a few days after initial normal imaging, and cerebral vasoconstriction is at a maximum on angiograms 2–3 weeks after clinical onset. Segmental constrictions of cerebral arteries resolve within 3 months. RCVS is supposedly due to a transient disturbance in the control of cerebrovascular tone.
著者
河野 浩之 橋本 洋一郎 平野 照之
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.594-601, 2021 (Released:2021-09-28)
参考文献数
34
被引用文献数
1 5

新型コロナウイルスに対するアデノウイルスベクターワクチンであるバキスゼブリア®(アストラゼネカ社)の副反応として,血小板減少症を伴う血栓症(特に脳静脈血栓症)が報告されるようになり,欧州医薬品庁は「非常にまれな副反応」として記載すべき病態と結論づけている.ヘパリン起因性血小板減少症と類似した病態といわれている.頻度は少ないものの,本病態が疑われる場合は,ヘパリン投与や血小板輸血を避け,高用量免疫グロブリン静注療法やヘパリン以外の抗凝固薬投与など,関連知見に基づいた最善と思われる治療を速やかに提供すべきである.本病態は新しい概念でありエビデンスは確立していないが,現状で報告されている内容をまとめた.
著者
石井 史 屋代 庫人 田中 美紀 杉山 茂樹 橋本 洋
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.590-594, 2004-12-20 (Released:2012-08-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1

目的:炎症性腸疾患の患者は増加してきており,特に潰瘍性大腸炎は人間ドックの便潜血反応陽性を契機に発見されることがある.方法:ドックの便潜血反応陽性で発見された潰瘍性大腸炎の例を呈示し検討した.結果:ドックの便潜血反応陽性で大腸検査をした症例201人中の2例(1%)に潰瘍性大腸炎を認めた.この2症例はともに軽症例(直腸炎型,左側大腸炎型)であり,迅速に治療を開始し,治療経過は良好であった.診断後に問診を詳細に取り直してみると,潰瘍性大腸炎によると思われる症状があっても気付いていなかったり,血便は痔からによるものと自己判断していた.結論:便潜血反応検査は大腸癌のスクリーニングが主たる目的であるが,潰瘍性大腸炎症例の増加に伴い,ドックの便潜血反応陽性を契機に診断される症例が増えると予想される.潰瘍性大腸炎を無症状あるいは軽い症状で発見できることは有意義であり,ドックで行っている便潜血反応検査もその一助を担っていると思われる.
著者
松本 敏治 橋本 洋輔 野内 友規
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.81-91, 2024-02-25 (Released:2024-02-25)
参考文献数
40

近年,ASDの方言不使用という印象が全国で見られるとする報告がなされており,解釈の一つとしてメディアからの言語習得を指摘する意見があるが,否定的見解も存在する。この解釈が妥当であるなら,自然言語とメディア言語に乖離がある国や地域では類似の現象が生じる可能性があり,アイスランド・北アフリカからはこの解釈を支持するような報告がある。本論文では,4名のアイスランドのASD青年・成人に関して,本人および母親に行った聞き取りの結果を報告する。4名とも初期はアイスランド語を話していたものの現在は英語が主要言語となっている。本人・親ともに,興味をもった英語メディア・コンテンツの繰り返し視聴によって英語習得が行われたと認識していた。これらの聞き取りとアイスランドにおけるアイスランド語と英語の使用状況の情報に基づいて,ASDのメディアからの言語習得の可能性とその成立条件を検討した。
著者
橋本 洋一郎 鳥海 春樹 菊池 友和 篠原 昭二 粕谷 大智
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.18-36, 2014 (Released:2014-04-23)
参考文献数
54

頭痛に対する鍼灸の効果と現状を総合テーマとして、 当該領域のレビューを行った。 はじめに、 西洋医学的な立場から一次性頭痛や二次性頭痛の鑑別や治療効果を中心に紹介した。 次に、 鍼灸治療の治効機序に関して、 基礎研究の成果を文献に基づき紹介した。 最後に、 頭痛に対する鍼灸治療の臨床効果を文献に基づき解説し、 緊張型頭痛や片頭痛に効果が示されていることを紹介した。 以上の結果から、 鍼灸治療は一次性頭痛に対して臨床効果が報告されており特に、 episodic な頭痛に対して有効である可能性が示唆された。
著者
植田 明彦 寺崎 修司 永沼 雅基 松浦 豊 橋本 洋一郎 平野 照之 内野 誠
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.461-464, 2004-09-25 (Released:2009-06-05)
参考文献数
10

症例は30歳男性.3年前よりソファーに寝そべり肘掛けから頭部を垂らし頸部を後屈させて,ドライヤーで髪を乾かす習慣があった.2002年12月2日,この姿勢で頸部を左に回旋させたところ,急に回転性のめまいが出現したため,当院を受診した.来院時,右注視方向性眼振,構音障害,顔面を含む右半身の温痛覚低下を認め,左延髄外側症候群を呈していた.MRIT2強調画像で左延髄外側に高信号域を認めた.左椎骨動脈V3部にMRIでinitimal flap,intramural hematomaを認め,脳血管造影では,string signを認めたため,椎骨動脈解離と診断した.近年,美容院での洗髪の際に頸部を後屈させた姿勢で発症する美容院卒中症候群(beauty parlor stroke syndrome)が注目されているが,本症例も同様の機序で発症したと考えられた.
著者
橋本 洋一郎
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.51-55, 2020 (Released:2020-04-02)
参考文献数
10

脳脊髄液減少症の診断の第一歩は,病歴の詳細な聴取である.特に片頭痛,緊張型頭痛,薬物乱用頭痛をベースに脳脊髄液減少症を発症してきた場合には,複数の頭痛について根気強く病歴を聞いて,解きほぐして,ベースにある頭痛とともに新たに発症した脳脊髄液減少症(通常,鎮痛薬が効かない慢性連日性頭痛,起立性頭痛)を病歴で疑う必要がある.起立性頭痛を呈する体位性頻脈症候群の鑑別でも病歴は重要である.脳脊髄液減少症の発症初期は安静だが,体位性頻脈症候群では可能な限り安静を避けるようにするといった対応が必要であり,2つの疾患の鑑別は重要である.脳脊髄液減少症の経過中に体位性頻脈症候群に変わってくる症例への対応も重要である.
著者
後藤 幸大 岡 英輝 横矢 重臣 橋本 洋一 越後 整 塩見 直人 武澤 秀理 田邑 愛子 藤井 明弘 日野 明彦
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.357-361, 2018 (Released:2018-09-25)
参考文献数
9

頭痛・頸部痛など解離に伴う痛みで発症した椎骨動脈解離は比較的予後良好とされるが,その中にくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage: SAH)を来し予後不良となる例がある.いずれの例がSAH を来すのか予め把握するのは困難だが,痛みで発症した椎骨動脈解離を初診時に確実に診断することが重要である.当院初診時に診断に至らず,SAH を発症し再受診した4 例を検討し報告する.4 例は年齢層,頭痛や頸部痛が中等度以上かつ悪化すること,時間外に救急外来を受診していることが一致していた.再診後は速やかに血管内治療を行い,退院時mRS 0 が2 例,mRS 4 が2 例だった.日常診療において上記のような患者に遭遇した場合,椎骨動脈解離を念頭にbasi-parallel anatomical scanning を含めた頭部MRI/MRA,頭部造影CT を考慮すべきである.SAH を来し再受診した場合,速やかな治療で予後良好となる可能性がある.
著者
橋本 洋佑 近藤 昌夫 竹田 浩之
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.374-384, 2019-11-25 (Released:2020-02-25)
参考文献数
42

血液脳関門が有する強固な密着結合は、中枢神経系疾患の薬物療法の発達を妨げている要因の1つである。血液脳関門で形成されるバリアのうち、特に1kDa以下の分子の脳内への流入を制限する密着結合の形成にはclaudin-5(CLDN-5)が必須であり、CLDN-5のバリア機能の阻害による血液脳関門突破法の開発が期待されている。当研究グループは近年このCLDN-5の機能を阻害することが可能な抗体の開発に成功し、この抗体によるバリア制御技術について報告してきた。本稿では、筆者らが抗CLDN-5抗体を取得するためにとったアプローチと取得した抗体のCLDN-5阻害活性、また密着結合制御技術の中枢神経系疾患治療への応用の可能性について紹介する。
著者
門 祐輔 山口 武典 橋本 洋一郎 里見 真美子
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.586-591, 1989-10-25 (Released:2010-01-20)
参考文献数
12

わが国で報告の少ないocular lateropulsionの症候学的位置付けを検討し, 責任病巣について考察した.延髄外側症候群11例中, 確実なocular lateropulsionは2例, 疑診例は7例であった.共同偏視の回復過程でこの徴候を認めた症例を提示し, 共同偏視が重要な役割を果たしていることを示した.Ocular lateropulsionは共同偏視を中心とする群と, それに小脳徴候を伴う群の, 2群に分けるのが適切であると考えられた.MRIの検討により, その責任病巣は延髄背外側にあると推定されたが, なお詳細な臨床病理学的検討が必要である.
著者
坂本 憲治 掃本 誠治 橋本 洋一郎 榛沢 和彦 辻田 賢一
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.648-654, 2022 (Released:2022-12-22)
参考文献数
13

2016年4月,2度の地震(震度7)が熊本地方を襲った.本震から2日後,車中泊の51歳女性が急性肺塞栓症(pulmonary thromboembolism: PTE)により死亡し,我々は避難所巡回での深部静脈血栓症スクリーニング検診を開始した.車中泊者を中心に要入院重症VTE患者が多数発生する中,のべ136会場で4,135名に下肢静脈エコー検診を行なった.急性期検診(発災後45日間)のDVT陽性率は9.5%.予後調査で健診による3名の要入院者を同定できたが,死亡例はなかった.慢性期検診の検討では,DVT陽性率の検診時期毎の低下傾向を認めなかったが,高齢者を除くと経時的な陽性率低下が確認できた.急性期に同定されたDVTの慢性期推移を検討した結果,56%に消失が確認できた.血栓消失群における消失時期について検討したところ,49%は2ヶ月以内,87%は6ヶ月以内の追跡で血栓の消失が確認できており,発災直後からの予防啓発活動の重要性が示唆された.
著者
岩永 定 芝山 明義 橋本 洋治 岩城 孝次
出版者
日本教育経営学会
雑誌
日本教育経営学会紀要 (ISSN:02872870)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.52-64, 2004-05-30 (Released:2017-07-06)
被引用文献数
1

In the recent educational reform, school, family, community partnership is emphasized in papers of various advisory committees. But many schools in Japan have closed the doors to parents and residents for a long time. It is easy to say that school should open, but difficult to realize it. At least, next three conditions are needed for partnership. They are 1) change of teachers' consciousness, 2) parents' active concern and participation, 3) support by community. Main purposes of this paper are to clarify the parents' evaluation to school that their child attend, composition of parents' consciousness to school education and the relation between these factors and parents' desire to participate to school. To perform these purposes, we practiced questionnaire survey. 3,322 responses of 12 elementary schools and 8 junior high schools, located at big city, urban area and local area, were analyzed. Research findings are as follows: 1) Although the parents' desire to participate to the school differs by the category, it is generally high. They want to get more informations about school activities, and to become friendly with teachers. But the parents do not want to participate in the organizational activities of a school. It means that parents are audiences, but not independent partners. 2) We were thinking to be able to catch the parents' consciousness with elements of 'independence', 'reliance' and 'secession'. As a result of factor analysis, next three factors were found, 'support for school' 'reliance to school' and 'aiming for a high academic career'. Our hypothesis was not proven. Items of question should be reconsidered. 3) These new factors affect the parents' desire of participation. The parents who support school actually, and aim for a high academic career for their children have high desire of participation. 4) Although the bad information of schools tends to be poured through mass media, many parents evaluate their children's school affirmatively. As the parents evaluate the school more affirmatively, the parents' desire of participation becomes higher except parents who rely to school excessively. As a result of survey, we can conclude that there is potential possibility for school, family, community partnership, but we must overcome many barriers to realize it inJapan.
著者
橋本 洋輔 中川 健司 角南 北斗 齊藤 真美 布尾 勝一郎 野村 愛
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌 (ISSN:18813968)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.24-25, 2017 (Released:2017-07-10)
参考文献数
2

While teaching a class is the foremost task of an instructor, whether class preparation also counts as part of that duty have been unclearly defined. Yet recently, the Labor Standards Inspection Office issued a recommendation toward major educational institutions to recognize class preparation as labor entitled to payment. This, however, raises course management questions regarding what and how much instructors should actually prepare. Utilizing a various data, this paper discusses how much time is required for Japanese language instructors to conduct effective class preparation.
著者
和田 邦泰 橋本 洋一郎 中島 誠 植田 光晴
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.822-839, 2020 (Released:2020-12-26)
参考文献数
118
被引用文献数
4

新型コロナウイルス感染症(corona virus disease 2019,以下COVID-19と略記)の流行により,脳卒中診療は大きく変貌しており,受診数減少,受診遅延,recombinant tissue plasminogen activator静注療法や機械的血栓回収療法の施行数減少などが報告されている.既報告ではCOVID-19患者の1.1(0.4~8.6)%程度に脳卒中が合併している.特徴は,虚血性脳卒中,特に潜因性脳梗塞や大血管病変合併例が多く,D-ダイマー高値例が多く,心血管危険因子を持つ患者での発症が多く,転帰不良例が多いことなどである.また本疾患では動脈血栓塞栓症より静脈血栓塞栓症が多く,急性冠症候群より脳卒中発症が多い.安全で有効かつ迅速な治療を完全な感染対策下で行うprotected code strokeが提案されている.
著者
橋本 洋美 後藤 栄 坪内 美紀 泉 陽子 吉村 由香理 笠原 優子 塩谷 雅英
出版者
日本哺乳動物卵子学会
雑誌
Journal of mammalian ova research = 日本哺乳動物卵子学会誌 (ISSN:13417738)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.209-213, 2004-10-01
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

IVFとICSIを回収された卵子の半数ずつに行うSplit ICSIを考慮すべき精液所見を検討することを目的とした.当院で初回ARTを施行した682症例の精液所見を目視法で調べ,精液濃度および運動率別の受精率,妊娠率の検討を行った.受精率30%が以下の症例では受精率50%以上の症例と比較し妊娠率は有意に低かった.精子濃度が2,000万/ml未満の症例では受精率は50.0~53.8%であり,2,000万/ml以上の症例における受精率の65.0~79.5%と比較して有意に低率であった.精子運動率が20%未満の症例では受精率は0~29.6%であり,運動率20%以上の症例の受精率66.8~76.8%と比較して有意に低率であった.精子濃度2,000万/ml未満または精子運動率が20%未満の症例に対してはsplit ICSIを考慮すべきと考えられた.<br>
著者
石井 史 屋代 庫人 田中 美紀 杉山 茂樹 橋本 洋
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 : 日本人間ドック学会誌 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.590-594, 2004-12-20
参考文献数
9

目的:炎症性腸疾患の患者は増加してきており,特に潰瘍性大腸炎は人間ドックの便潜血反応陽性を契機に発見されることがある.方法:ドックの便潜血反応陽性で発見された潰瘍性大腸炎の例を呈示し検討した.結果:ドックの便潜血反応陽性で大腸検査をした症例201人中の2例(1%)に潰瘍性大腸炎を認めた.この2症例はともに軽症例(直腸炎型,左側大腸炎型)であり,迅速に治療を開始し,治療経過は良好であった.診断後に問診を詳細に取り直してみると,潰瘍性大腸炎によると思われる症状があっても気付いていなかったり,血便は痔からによるものと自己判断していた.結論:便潜血反応検査は大腸癌のスクリーニングが主たる目的であるが,潰瘍性大腸炎症例の増加に伴い,ドックの便潜血反応陽性を契機に診断される症例が増えると予想される.潰瘍性大腸炎を無症状あるいは軽い症状で発見できることは有意義であり,ドックで行っている便潜血反応検査もその一助を担っていると思われる.
著者
橋本 洋一郎 和田 邦泰
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.715-719, 2020 (Released:2020-08-01)
参考文献数
18

能動喫煙は脳卒中の危険因子となり、脳卒中発症の相対危険度はその用量に依存して増加し、中年層で最大の相対危険度を示す。脳梗塞(約2倍)とくも膜下出血(約3倍)では、喫煙は明らかな危険因子となっている。脳出血が喫煙で増加するとの報告もあるが、まだ危険因子としては確立されていない。45歳未満の女性では、経口避妊薬使用や前兆のある片頭痛などの危険因子をもつ場合は喫煙による脳卒中の危険性はさらに高くなる。受動喫煙も脳卒中の危険因子(1.25倍)となり、受動喫煙に安全なレベルは存在しない。禁煙により脳卒中の危険度は低下する。