著者
山田 隼也 伊藤 雅流 福山 陽子 米田 實
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.48-54, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
8

超初期・初期の発育期腰椎分離症患者20例に対して,短期間の運動休止と段階的にスポーツの一部を行なわせるリハビリテーション・競技復帰プロトコールを前向き研究として施行した.結果,全20例のうち17例(85%)は約1.5ヵ月時点にてCT所見で分離部の亀裂進行は認められず,18例(90%)は約3ヵ月(2例:約4ヵ月)時点にて骨癒合傾向を認めた.全対象のうち12例(60%)が初診後約3ヵ月にて運動復帰も可能であった.特に超初期・初期例においては,約1.5ヵ月の時点で癒合傾向であれば短期間の運動休止のみで,早期の競技復帰と骨癒合を目指すことができる可能性がある.
著者
浅井 玲央 辰村 正紀 小川 健 万本 健生 平野 篤 山崎 正志
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.55-60, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
19

腰椎分離症症例の男女における相違点を見出すことを目的とし,当院で腰椎分離症と診断された高校生以下の症例60例104ヵ所について解析した.性別の内訳は男性44例,女性16例で,罹患高位は男性でL5分離が多く(p=0.060),治療自己中断率は男性で高かった(p=0.095).保存療法が完遂できない男性症例を減らすための対策を検討する必要がある.平均受診年齢や骨年齢,SBO保有率,第5腰椎前弯角,初診時罹患部の末期例割合,骨癒合率,治療期間などは男女で相違がなかった.今後,調査項目を追加し前向き研究を行なうなどして,より詳細に男女の相違点やその原因を明らかにしていく必要がある.
著者
大嶺 俊充 瀧上 順誠 藤原 和喜 島田 永和
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.39-43, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
14

本研究の目的は,初期腰椎分離症骨癒合後に競技復帰した症例の,腰椎分離症の再発率,再発時期,再発症例の属性ならびに競技復帰前の身体機能から,再発予防のために着目すべき特徴を検討することである.方法は,治療開始後3ヵ月で骨癒合し,その後9ヵ月以上経過観察しえた21例を対象に再発率と再発時期,非再発群/再発群の属性を調査した.また競技復帰前の身体機能として,当院独自の評価方法を用いて,下肢柔軟性,腰椎骨盤帯安定性,運動制御機能を評価し,非再発群/再発群で比較検討した.再発率は9.5%であり,再発時期は競技復帰後4~6ヵ月であった.再発症例は,属性として女性,身体機能として腰椎骨盤帯安定性が不良であるという特徴が見受けられた.
著者
辰村 正紀 奥脇 駿 蒲田 久典 平野 篤 山崎 正志
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.61-65, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
11

はじめに:腰椎分離症の多くが下位腰椎に発生するため,上位腰椎に関するまとまった報告はない.L1からL3が罹患高位となった腰椎分離症の患者背景の解析を目的とし本報告を行なった.方法:対象をL1からL3に腰椎分離症を有する高校生以下の患者42例67分離とした.男女比,平均年齢,病期,潜在性二分脊椎(SBO),癒合率を調査した.結果:男性30例,女性12例で,平均年齢は15.5歳であった.初診時の偽関節は26%で,進行期病変が6%,2期病変が7%.同一高位にSBOは存在しなかった.癒合率は86%であった.考察:上位腰椎の分離症は保存治療で高い癒合率を示した.進行した病変が少なく,同一高位にSBOが存在しないことが影響していると考える.