著者
水谷 雅彦
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.60, pp.67-82_L5, 2009 (Released:2010-11-09)
参考文献数
22

Some say virtual reality is evil. It is easy to ridicule this remark as ignorant and naive: a virtual reality need not be regarded as fictional or spurious, but can be seen as an augmentation of the real world, which suffers from various limitations including our limited sensory abilities. In fact, from what source does this negative picture of virtual reality originate? In Plato's allegory of the cave, which is often quoted in the discussion of a virtual reality, the people who have lived chained in a cave are not supposed to return to the cave once released. How come they do not want to?This paper examines Nozick's experience machine argument, shows that theories of virtual reality do not necessarily assume psychological hedonism, and argues that they do not fail (with computationalism) through Putnam's ‘brain in a vat’ argument. This conclusion suggests that the difference between a real world and a virtual world can in principle be relative. While a virtual world as something artificial is not, at least in principle, inferior to the real world in terms of its factual (or theoretical) aspect, there remains the possibility that the former may be inferior to the latter in its evaluative (or practical) aspect. But it can also be said that this contention is only the expression of a conservative mentality, provided that one accepts, along with Alfred Schutz, world pluralism and asserts the superiority of the real world, which superiority is based upon a mere custom of ours. Given this perspective, a virtual reality can have the same power to criticize the real world as great novels and movies, the prototypes of a virtual reality, once had.
著者
亀ケ谷 雅彦
出版者
Japanese Association of Electoral Studies
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.119-135,162, 1993-05-30 (Released:2009-01-22)
参考文献数
58

This paper surveys regulations over opinion polls on election results in 56 countries, on the basis of the 1985 European Council report. They are recategorized by the levels of current restrictions.First, the paper compares how electoral poll regulations are enforced in France, Belgium, Spain and other countries. From this, electoral poll regulations are characterized by the following points; (A) obligatory annexation of several standards about the poll (e. g. number of sample, survey method, margin of error etc.) with the published poll results, (B) establishment of a “Opinion Poll Committee” in order to manage and control electoral polls, (C) prohibition of publication of election poll results before voting day. Of those three points, most electoral laws place greater emphasis on point (A).Next, some countries' congressional proceedings and newspapers are summarized to show legislative discussions. In parliamentary debates, there were four features; (A) debates beginning with some political accidents (e. g. misprediction of newspapers, landslide victory of one party in the last election etc.), (B) proposition from Congressional members, and their speculation on effects of polls on election results without proof, (C) uneven periods of prohibition. And descriptions of reasons for or against publication ban were also added.
著者
佐藤 康邦 川本 隆史 越智 貢 大庭 健 池上 哲司 安彦 一恵 星野 勉 水谷 雅彦 中岡 成文 溝口 宏平
出版者
東洋大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本プロジェクトは、医療や環境といった各問題領域ごとバラバラの輸入・紹介から始められた「応用倫理学」を現代日本の文脈に埋め込む作業を通じて、「倫理学におけるマクロ的視点とミクロ的視点の総合」をめざそうとするものであった。初年度開始と同時に総合研究の準備態勢を整え、交付決定後の7月に全体研究打ち合せ会議を開催した。本会議では代表者によって研究目的の詳細な説明がなされた上、二つの報告と活発な意見交換がなされた。12月の全体研究打ち合せ会では、生命倫理、環境倫理、情報倫理の三分野に関する個別報告がなされ、方法論については応用倫理学を「臨床哲学」へと深化・徹底させようとする動向とシステム理論の最前線の議論が紹介された。2月の研究合宿では、生命倫理の難問に即しながら応用倫理学の学問的姿勢を吟味する報告に続いて、研究代表者および分担者が編者を務めた論文集『システムと共同性』の合評会を行なった。最終年度は3会の会議を開催し、全部で11の個別報告と総括がなされた。その大半は別途提出する研究成果報告書や公刊物に掲載されるので、要点のみ列記する。(1)C.テイラー『自我の諸源泉』の検討(星野報告)。(2)公教育における多元文化主義の論争(若松報告)。(3)生命倫理と「公共政策」との連携(平石報告)。(4)〈内在的価値〉の解明(渡辺報告)。(5)環境倫理の再構成(安彦報告)。(6)C・マ-チャント『ラディカル・エコロジー』の吟味(須藤報告)。(7)環境や自然に対する現象学的接近(溝口報告)。(8)阪神大震災後のボランティア・ネットワークの調査(水谷報告)。(9)教育という文化的再生産の機制(壽報告)。(10)討議倫理学の生命倫理への応用(霜田報告)。(11)ビジネス・エシックスのサ-ヴェイ(田中報告)。以上の経過をもって、所期の研究目標はほぼ達成されたものと自己評価を下している。
著者
柴田 昌幸 高森 頼雪 江川 優子 山口 智央 中川 慧人 中村 めぐみ 大江 啓史 成田 圭 田中 由理子 小林 倫子 三科 友二 三科 雅子 明石 雅博 笹本 貴広 土屋 昭彦 西川 稿 横田 亜矢 杉谷 雅彦 滝川 一 山中 正己
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.327-332, 2021-05-01 (Released:2021-05-14)
参考文献数
16

症例は38歳女性.X月1日に友人との食事会でマカダミアナッツを多量に摂取した.翌日から悪心・嘔吐が出現し,徐々に倦怠感,褐色尿,皮膚黄染も伴ってきた.症状改善ないためX月9日に前医受診し,急性肝炎と診断され入院.各種ウイルスマーカーや自己抗体は陰性で,画像検査で器質的異常も認めず入院後も肝機能は増悪した.X月15日に当院転院し,PTが40%未満に低下したためステロイドパルス療法を開始したが,意識障害も出現し状態は悪化した.血漿交換および持続緩徐式血液濾過透析を施行し,計6回の血漿交換後より肝機能は正常化傾向となった.集中治療を脱し,状態が安定してから肝生検を施行したが非特異的な組織像であり,マカダミアナッツのリンパ球刺激試験を実施したところ強陽性で薬物性肝障害と診断した.治療離脱後も問題なく経過し,第46病日に退院となった.食品から劇症肝炎に至り救命された症例は極めてまれであり報告する.
著者
亀ヶ谷 雅彦
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.134-146, 1995-01-31 (Released:2016-12-03)

This paper carried out quantitative content analysis of articles in "Political Psychology", which is the journal of International Society of Political Psychology (ISPP), in order to realize how different academic disciplines get together as a new field. This study assumed "two-steps development model" in interdisciplinary process; from Multidisciplinary stage (where political science and psychology are well specialized but co-exist in a same field) to Interdisciplinary one (where basic theories and methods of both disciplines are so involved that the number of cooperated studies increase). Results of first analysis told that present phase of political psychology locates between them. Later examination proved that there is the tendency to change from multidisciplinary stage into interdisciplinary one in the aspects of the extent of cooperated studies and research methods sharing, but diversity of article's subject is decreasing according to polypsy integration. Finally, the author noted some implications about professional education to promote interdisciplinary concatenation in political psychology.
著者
亀ヶ谷 雅彦
出版者
山形県立米沢女子短期大学
雑誌
山形県立米沢女子短期大学紀要 (ISSN:02880725)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.71-86, 2001-12-28

本論文では、まず選挙予測が選挙結果に与える影響、すなわち「アナウンスメント効果」に関して内外の先行研究を概観し、その研究動向の経緯をまとめた。ついでこれらの研究の中で、アナウンスメント効果の捉え方に関して、(1) 直接・間接効果の区別、(2) 投票動員への影響か、投票選好への影響かの区別、(3) 影響方向の違い、という3つの要素が考慮されていることを見い出した。最後に、これらの要素を内包した新しいアナウンスメント効果の概念類型として、4つの投票意図変化 (生起・補強・棄権・変更) と3つの選挙情勢内容 (優勢・接戦・劣勢) を組み合わせた12の領域からなる下位概念の分析枠組みを提示した。
著者
横山 雅彦 水谷 雅彦 山崎 康仕 三浦 伸夫 宗像 恵 片柳 榮一 櫻井 徹 山田 広昭
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1994

我々は平成6年度から平成8年度までの3年間にわたって本研究を行ない、その結果、概略的にほぼ下記のような成果を得た。片柳は、ヨーロッパの自然法思想に独自の緊張を与え続けた旧約聖書の宗教的法思想が、古代イスラエル民族の苦難にみちた歴史的体験と密接不可分に結びついていることを、聖書解釈学の視点から明確にした。横山は、古代末期から12世紀のシャルトル学派にいたるまでのプラトン主義的な思想的系譜の展開の中に、中世ヨーロッパにおける自然法則概念の確立の重要な契機があることを、具体的な史料分析によって明らかにした。桜井は、17世紀後半のイギリスの宗教家カンバーランド主著『自然法の哲学的探究』の緻密な分析によって、彼の自然法思想が、当時のイングランドの支配階級の利害関係を強く反映するとともに、また王立学会の重鎮たるボイルの自然法則観とも通底していたことを実証的に示した。宗像は、17世紀のデカルトから18世紀中葉のルソーにいたるまでの自然法と自然法則に関する様々な思想を概観するとともに、それらの思想全体の相互関係を哲学史的視点から明確にした。三浦は、イスラム文化圈における自然法則概念の歴史的展開という、これまで全世界的にほとんど無視されてきた研究テーマを開拓し、その歴史的展開が近代西欧科学に対するイスラムの現代的対応とも連関していることを示した。山崎は、近年ますます大きな問題となりつつある生命倫理の問題に対する多様な法学的対応の中にもしばしば自然法的な思想が隠れていることを、妊娠中絶論争や尊厳死問題論争という 問題と関連して具体的に分析した。水谷は、パソコン文化の急激な大衆化と絡む電子ネットワークの情報倫理的問題に着目し、旧来の問題とのアナロジーに依拠した伝統的な法律的対応が引き起こす混乱の諸相を具体的な事例に基づいて明確にした。
著者
菅原 和孝 松田 素二 水谷 雅彦 木村 大治 舟橋 美保 内堀 基光 青木 恵里子 河合 香吏 大村 敬一 藤田 隆則 定延 利之 高木 光太郎 鈴木 貴之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

「身体化された心」を軸に、フィールドワークと理論的探究とを統合することによって、社会の構造と実践の様態を解明することを目的とした。フィールドワークでは「心/身体」「文化/自然」といった二元論を克服する記述と分析を徹底し、理論探究では表象主義を乗り超える新しいパラダイムを樹立した。「身体化」に着目することによって、認知と言語活動を新しい視角から照射し、民族誌的な文脈に埋めこまれた行為と実践の様態を明らかにした。
著者
村田 裕志 髙草 智 熊谷 雅彦 西川 雅弥 染谷 博行 大曲 康仁
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.345-348, 2015

<p>新宿西口駅本屋ビル(小田急百貨店)では、東京都環境確保条例の削減義務を達成するためにGHG(温室効果ガス:greenhouse gas)削減を目標に掲げ、省エネルギー改修事業を実施した。 改修に伴い熱源システムの最適台数制御を導入した。パラメータチューニングによる効果試算のために、熱源システムシミュレータを構築した。改修後1年が経過し、運転データに基づくモデル同定が可能となった。構築したシミュレータによる省エネルギー検証結果を報告する。</p>
著者
亀ヶ谷 雅彦
出版者
山形県立米沢女子短期大学
雑誌
山形県立米沢女子短期大学紀要 = Bulletin of Yonezawa Women's College of Yamagata Prefecture
巻号頁・発行日
no.36, pp.71-86, 2001-12-28

要約 : 本論文では、まず選挙予測が選挙結果に与える影響、すなわち「アナウンスメント効果」に関して内外の先行研究を概観し、その研究動向の経緯をまとめた。ついでこれらの研究の中で、アナウンスメント効果の捉え方に関して、(1)直接・間接効果の区別、(2)投票動員への影響か、投票選好への影響かの区別、(3)影響方向の違い、という3つの要素が考慮されていることを見い出した。最後に、これらの要素を内包した新しいアナウンスメント効果の概念類型として、4つの投票意図変化(生起・補強・棄権・変更)と3つの選挙情勢内容(優勢・接戦・劣勢)を組み合わせた12の領域からなる下位概念の分析枠組みを提示した。 キーワード : アナウンスメント効果、選挙予測、世論調査、バンドワゴン効果、アンダードック効果
著者
赤澤 正人 松本 俊彦 勝又 陽太郎 木谷 雅彦 廣川 聖子 高橋 祥友 川上 憲人 渡邉 直樹 平山 正実 亀山 晶子 横山 由香里 竹島 正
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.550-560, 2010 (Released:2014-06-12)
参考文献数
37
被引用文献数
1

目的 わが国の自殺者数は,平成10年に 3 万人を超えて以降,11年に渡りその水準で推移しており,自殺予防は医療や精神保健福祉の分野に留まらず,大きな社会的課題となっている。本研究では心理学的剖検の手法で情報収集がなされた自殺既遂事例について,死亡時の就労状況から有職者と無職者に分類し,その心理社会的特徴や精神医学的特徴の比較•検討を通じて,自殺既遂者の臨床類型を明らかにし,自殺予防の観点から有職者ならびに無職者に対する介入のポイントを検討することを目的とした。方法 心理学的剖検の手法を用いた「自殺予防と遺族支援のための基礎調査」から得られたデータをもとに分析を行った。調査は,自殺者の家族に対して独自に作成された面接票に準拠し,事前にトレーニングを受講した精神科医師と保健師等の 2 人 1 組の調査員によって半構造化面接にて実施された。本研究で用いた面接票は,家族構成,死亡状況,生活歴,仕事上の問題,経済的問題等に関する質問から構成されていた。なお,各自殺事例の精神医学的診断については,調査員を務めた精神科医師が遺族からの聞き取りによって得られたすべての情報を用いて,DSM-IVに準拠した臨床診断を行った。本研究では,2009年7 月中旬時点で23箇所の都道府県•政令指定都市から収集された自殺事例46事例を対象とした。結果 有職者の自殺者は,40~50代の既婚男性を中心として,アルコールに関連する問題や返済困難な借金といった社会的問題を抱えていた事例が多かった。無職者では,有職者に比べて女性の比率が高く,20~30代の未婚者が多く認められ,有職者にみられたような社会的問題は確認されなかった。また,有職者では死亡時点に罹患していたと推測される精神障害としてアルコール使用障害が多く認められたのに対して,無職者では統合失調症及びその他の精神病性障害が多く認められた。結論 自殺予防の観点から,有職者に対しては,職場におけるメンタルヘルス支援の充実,アルコール使用障害と自殺に関する積極的な啓発と支援の充実,そして債務処理に関わる司法分野と精神保健福祉分野の連携の必要性が示唆された。一方で,無職者に対しては,若い世代の自殺予防に関する啓発と支援の充実,統合失調症と自殺に関する研究の蓄積の必要性が示唆された。
著者
亀ヶ谷 雅彦
出版者
山形県立米沢女子短期大学附属生活文化研究所
雑誌
山形県立米沢女子短期大学附属生活文化研究所報告 (ISSN:0386636X)
巻号頁・発行日
no.45, pp.37-52, 2018-03

本論文では、山形県においてフィールドワークを行って参院選の投票来場者を観察・記録し、三世代同居と投票率の関連性について実証的研究を行った。その結果、マクロデータでは両者の間には正の相関関係がみられるものの、実際に観察してみると、三世代同居による直接的な投票動員効果は、ほとんど見られなかった。今後さらに、他の市町村でのフィールドワーク結果の比較検討や、間接的な投票動員効果についての検討が必要であろう。
著者
山根 裕司 山本 泰雄 菅 靖司 当麻 靖子 鈴木 由紀子 川越 寿織 澤口 悠紀 高橋 聡子 手倉森 勇夫 山村 俊昭 谷 雅彦 中野 和彦
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
日本理学療法学術大会 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.C0010-C0010, 2005

【目的】北海道サッカー協会では、優秀選手の発掘と育成、全道の選手・指導者の交流、選手・指導者のレベルアップ、トレーニングセンター制度の充実・発展を目的に、サッカー北海道選抜U-18合宿を行っている。我々は2001年から合宿に帯同し、メディカルサポートを行っている。今後の合宿におけるサポートの充実のため、4年間の活動内容について発生部位、疾患、処置内容の分析を行った。<BR><BR>【方法】対象は2001~04年に行われたサッカー北海道選抜U-18合宿。参加登録者は4年間で延べ900名(15~18才)であった。毎年7月上旬に4日間にわたって行われた。内容はトレーニング及び1日1~2回の試合を行った。メディカルスタッフは医師2名、理学療法士2名、看護師4名である。合宿初日に医師、理学療法士が講義を行い、傷害予防の啓蒙活動を行った。スタッフは練習中ピッチサイドに待機し、発生した傷害に対して診断や治療、希望者に対するコンディショニング指導を行った。<BR><BR>【結果】4年間で延べ293名(33%)の選手に367件の傷害が発生し、784回の治療を行った。部位は足関節・足部35%、膝関節22%、大腿11%、下腿7%、股関節5%と下肢が8割を占めた。内訳は外傷65%、障害29%、その他6%であった。外傷では打撲38%、捻挫38%、筋腱損傷10%であった。障害では、筋腱炎が57%と最も多く、次いで腰痛13%であった。処置はRICE処置が37%、テーピング24%、ストレッチ指導16%、投薬11%であった。救急車搬送3例(下顎骨骨折1例、熱中症2例)で、1ヶ月以上試合出場不可能な重症例は4例(下顎骨骨折、撓骨遠位端骨折、肘関節脱臼、前十字靭帯損傷各1例)発生した。4日間の期間中、処置件数は3日目が42%と最も多く、2日目30%、1日目と4日目が各14%であった。また各年度別の傷害発生件数は、2001年は外傷51件、傷害24件、2002年は外傷59件、傷害28件、2003年は外傷79件、傷害35件、2004年は外傷47件、傷害22件であった。<BR><BR>【考察】4年間の合宿において、重症例は少なく、傷害悪化例はなかった。これは現場で受傷直後から治療が出来たこと、一日数回の診察と治療を行えたこと、的確な練習復帰の指示が行えたこと、合宿初日に行った傷害予防の講義による啓蒙活動などの効果であると思われた。実際、初期症状のうちに治療に訪れる選手が多く、選手のコンディショニングの意識は高いと感じた。傷害の重症度によっては理学療法士によるテーピングやストレッチ指導などの処置を行ってプレーを続行させた。しかし傷害を悪化させた選手はいなかった。どこまでの時間や負荷の練習が出来るかの傷害レベルについて指導者とうまく連携できたことと、ピッチサイドにてプレーを観察できたことが要因であると考える。