著者
駒木 和彦
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.13-18, 2010-06-15

ソフトウェア開発プロジェクトに定量的管理を導入しようとするとき,ソフトウェアの規模を見積もることが必須である.規模の尺度として代表的なのはファンクションポイントである.ファンクションポイント手法の中で代表的なのはIFPUG法である.IFPUG法は広く普及した手法であるが,世の中にはIFPUG法で計測が難しいソフトウェアがある.そのようなソフトウェア開発プロジェクトにおすすめできるファンクションポイント計測手法がCOSMIC法である.本稿ではCOSMIC法の計測手法と適用にあたっての留意点を紹介する.
著者
初田 賢司 原田 晃 大野 治
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.14-18, 2002-08-15

ソフトウェア開発プロジェクトの見積は,難しいと言われている.要求が曖昧な段階で見積を求められることに加えて,e-プロジェクト等の出現が見積の困難さに拍車をかけている.プロジェクトの成否は,見積の精度に大きく左右されるが,依然として見積者の暗黙知によるところが大きい.本稿では,見積の曖昧さを排除し,合理性,客観性,妥当性を高めるために,見積のアクティビティを分析し,マネジメントとエンジニアリングの観点から考察する.
著者
五百井 俊宏 井沢 澄雄 木野 泰伸 西山 寛志 布川 薫 左瀧 学 高木 英明
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.49-54, 2001-06-15

本報告では,大学,初等教育,個別企業,推進団体で行なわれている,プロジェクトアネジメント(PM)の教育カリキュラムを調査し,評価する.第I部では,大学及び初等教育を取り上げる.まず,日本で最初にプロジェクトマネジメント学科を設置した千葉工業大学におけるPM教育の概要と教育成果及び検討事項を述べる.次に,米国の代表的な3つの大学院の修士課程で授与される学位とコースの特徴を示す.最後に,米国の初等教育の中でPM教育を行ない,若年層のドロップアウト防止に効果を上げているというNFTEの例を紹介する.学校におけるPM教育は,ケーススタディの活用により,基礎学力,モチベーション,コミュニケーション,問題解決等の能力向上に効果を上げることができる.また,総合的な目的達成の視野をもつ人間の育成に貢献するものである.
著者
岡田 公治 福島 聡史 窪田 敦之 堀水 修 椎名 一弘
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.3-8, 2012-06-15

2011年3月11日に発生した東日本大震災は,東日本の広い範囲に甚大な被害をもたらした.本稿では,ある被災工場における生産復旧プロジェクトのスケジュール可視化の取組みについて報告する.復旧プロジェクト内で作成されていた多様なスケジュールを,一元的にモデル化し可視化することを試みた.生産工程の複雑性と先行後続関係の複雑性に対応するために多観点WBS構造を考案し,OR型先行後続関係を導入した.更に これらの概念を取り入れたITシステムを迅速に構築し,実運用を開始した.最終的には,短期間で生産復旧を達成することができた.
著者
長野 伸一
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.3-8, 2005-10-15
被引用文献数
1

組込ソフトウェアの規模は増大し複雑化する傾向を示している.さらに,その製造において,高品質で短納期・低コストであることが求められている.これらの厳しい要求を満たすためには,対象となるソフトウェアを定量的に把握し,製造プロセスの改善を行っていくことが必要である.本稿で,組込ソフトウェアの定量化手法として,COSMIC-FFPが有効であることを述べる.COSMIC-FFPは,リアルタイムシステムにも適用できるようにファンクションポイント法を拡張した機能規模測定法である.リアルタイムシステム向けに拡張された機能規模測定の手法が,組込ソフトウェアの特徴にも上手く適用できる.本論文で,組込ソフトウェアの特徴を述べ,定量化に際しての課題を提示し,COSMIC-FFPが当該課題をどのように克服しているかを述べる.また,これまでに実施されたCOSMIC-FFPの検証を参照し,COSMIC-FFPが組込ソフトウェアに有効であることを実証している例についても述べる.
著者
佐野 浩 弓取 修二 進藤 秀夫 日下部 祐子 井田 久雄 北田 貴義
出版者
一般社団法人 プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.26-31, 2005
被引用文献数
2 3

公的資金によって推進された研究開発プロジェクトについては,進捗段階における評価のみならず,プロジェクト終了後の状況を追跡的に調査し,得られた社会的・経済的波及効果やプロジェクトの運営管理を評価し,国民に対するアカウンタビリティの向上を図るとともに,技術開発戦略やプロジェクトの運営管理手法を改善していくことが重要である.本稿では,プロジェクトの追跡調査・評価手法についての検討結果を報告するとともに,試行的に行っている追跡調査・評価の途中経過を踏まえ,追跡調査・評価手法についての提案を行った.
著者
宇都宮 潔 橘 成一 齊藤 道成
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.13-16, 2009-02-15

組織がパフォーマンスを発揮するためには,メンバは勿論,チーム/組織として行動し,成果を上げることが重要である.そのためにはメンバが学習し,知(経験)を蓄えるように,チーム/組織としても学習し,知(経験)を蓄えていくことが極めて重要となる.しかしながら,チーム/組織における学習の方法は一律ではなく,各組織において試行錯誤しているのが現状と思われる.そこで,本稿では,チーム/組織がパフォーマンスを向上させるために,本組織において試行的に実践している取組みを紹介する.
著者
藤野 博之
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.21-26, 2008-02-15
被引用文献数
1

プロジェクトを効率良く成功に導く為の最も重要な要素の一つに,プロジェクト・チーム・メンバーのモチベーションと意識レベルの問題がある.これらが,プロジェクトの成功の行方に大きく影響を与えることは,改めて説明するまでもない.本稿では,プロジェクト・メンバーの仕事に対する意識が,どのような要因に影響され,どうすれば意識レベルが向上して行くのかについて,我々の部門における草の根活動をベースに考察する.
著者
建部 清美 阿部 未寿希 関 哲朗
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.30-35, 2006-10-15

ソフトウェア開発プロジェクトにおける短納期化への要求は,ビジネススピードの加速とともにますます高まってきている.1990年代以降,スピードを重視した方法論は提唱されてきているが,大規模プロジェクトをマネジメントするには至っていないのが現状である.こうした中で,制約理論をプロジェクトマネジメント分野に適用したCCPM(Critical Chain Project Management:クリティカル・チェーン法)が注目されている.本論文では,CCPMをソフトウェア開発プロジェクトへ適用したモデルを提案する.本モデルを適用し,短納期開発を実現したプロジェクトの事例を用いて,スケジューリング方法や適用結果の分析を行いモデルの有効性について検証する.
著者
島田 さつき 西 康晴 富澤 和美 栗田 浩一郎
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.19-23, 2004-04-15

プロジェクトマネジメントにおいてモチベーションは重要である.モチベーションを向上するには,プロジェクト,仲間であるメンバ,自分自身をきちんと理解することで,自らプロジェクトを成功させたいと思うことが必要となる.そこで本研究では,プロジェクトの立ち上げ時期でプロジェクトヘの,推進時期で仲間への,完了時期で自分自身への「理解」を促進するフレームワークを提示する.ツールとして,自分の業務負荷を仲間に知らせるための"セルフコンディションシート"と,プロジェクトにおける自分の貢献や成長を再認識する"自己振り返り分析"を提案する.本フレームワークを用いることで,よりよいヒューマンマネジメントが期待できる.
著者
山内 貴弘
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.34-38, 2002-06-15

お客様満足の向上とコスト削減は,共に現代の企業経営にとって重要なテーマである.一方,企業経営の一端を担っているプロジェクトマネジメントにおいても,この2つのテーマは経営戦略上,設定すべき重要な管理目標となっている.しかし,お客様満足の向上とコスト削減は背反する内容もはらんでいる.お客様満足の向上を進めるあまり不用意なコスト増加に繋がったり,またコスト削減を図ることによりお客様満足の低下をもたらしたりするような場面があるからである.筆者の従事するシステム開発の請負プロジェクトを基に考えるならば,この2つの目標を同時に達成するには,コミュニケーション・マネジメントの効果的適用が重要である.また特に,プロジェクトの開始段階でのチーム・ビルディングのためのキックオフ・ミーティングが効果的であった.本稿では,システム開発プロジェクトにおけるお客様満足向上とコスト削減の関係を明らかにし,それに向けてキックオフ・ミーティングを有効活用したコミュニケーション・マネジメントのあり方を述べる.
著者
村井 康真
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.16-20, 2004-06-15

プロジェクトを最適な計画の下で実施,管理するために,ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー(WBS)を作成する必要がある.WBSとは,プロジェクトの範囲を成果物やそれを生成する作業の観点から定義し,構造化したものである.WBSで定義した各要素は,プロジェクト計画の立案や実施を通して利用される.ところが筆者の知る限りにおいて,WBSには構成要素の抜け洩れを確認する方法が示されていない.そのうえ定義したWBS要素が,運営管理上の観点から適正な規模かどうかを判断する有効な基準を備えていない.本稿では,ネットワーク・ロジックをWBSの作成過程に適用するための有効な手法を提案する.また,クリティカルパスの算定により,所要期間に余裕のないアクティビティを特定することで,それらに対してリソースの追加や並行処理を同時に検討することが可能となる.
著者
田中 伸一
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.36-41, 2003-08-15

多国籍企業にとって社内プロジェクトマネジメントの標準化は,各国で培われたベストプラクティスの存在と,共通基盤となるグローバルスタンダードとのコンビネーションが必要になる.ビジネスがますますグローバルに展開される今日,効果的・効率的なPM標準の確立は重要な課題である.欧州と米国の企業合併により活動している弊社は,PMI/PMBOKとPRINCE2の融合をベースとした実践的な体系を定義している.これらの体系は,事業展開を推し進めるためにプログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーの双方にとっての共有基盤となりつつある.今,我が社においてプログラムオフィスとプロジェクトオフィスの連携により,PM標準の見直しとPM要員の育成が開始された.
著者
橋爪 宗信 濱 久人 丹波 武志
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.7-12, 2006-06

プロジェクトマネジャーの重要な個人特性としていわゆる肝が据わっている("胆力"がある)ことが,重要な要素ではないかと考えている.どんなに危機的な状況に追い込まれても笑える力やチームを動かしていくために,チームメンバーの笑いを引き出す力が必要である.これを我々は「笑力」と呼ぶ.本研究では,「笑力」をプロジェクトの成功要因と関連性の観点で研究し,プロジェクト成功に向けた笑力の効用を提言する.
著者
横塚 知典 五十嵐 剛 大橋 新悟 大黒 英和 塩見 慎吾
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.46-48, 2005-04-15
被引用文献数
2

企業内にITが浸透し, ITの無いビジネスは考えられなくなっている.それに伴い, システム開発プロジェクトの数も急激に増大しており, 多くのプロジェクトマネジャーが, 日々, リスクやコミュニケーション等に関する苦労を重ねながらプロジェクトを進めている.今回, 我々は多くの先人たちのプロジェクトマネジメント経験からプロジェクト遂行上の実践的ノウハウを集約しPMBOKの体系に合わせ整理統合を試みた.本稿では, 当該ノウハウ集を構築し, Webサイトに公開し現場のプロジェクトマネジャーの座右の銘としたプロジェクトマネジメント強化の取り組みについて紹介する.
著者
藤貫 美佐 西尾 敏郎 端山 毅
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.3-6, 2006-08

ソフトウェア開発プロジェクトにおいて,生産性等に関する過去の実績データを計画策定に用いる際に留意すべき事項を整理した.一般にこのようなデータはばらつきが大きく,平均値や中央値でその特徴を簡略には表していると解釈することには危険が伴う.全社スタッフとしての著者らの日ごろの活動から,実用的な観点でプロジェクトにおける生産性データ活用を促進するアプローチについて議論した.
著者
齊藤 邦浩
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.26-31, 2007-02
被引用文献数
3

IT業界では,コスト削減を求め,中国でのオフショア開発が増加傾向にあるが,様々な問題を耳にする事が多い.当論文では,筆者の実体験およびオフショア開発に関する文献を基に課題点を列挙する.次に,考察として,課題点の一つであるコミュニケーションに関し,PMBOKのコミュニケーション・マネジメントを参考にしながら,コミュニケーション構造の分析や,中国と日本の相違点について比較を行う.最後に,オフショア開発を成功させるための具体的対応策を提案し,その効果について述べる.
著者
松本 雅義
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.10-15, 2006-04-15

オープンアーキテクチャの広がりに伴い,ITに対する社会の要求が厳しくなる中で,SIプロジェクトは難易度を増し,プロジェクトマネージャに対する期待感が高まっている.しかし,この領域でのプロジェクトマネージャは不足しており,早急な育成が求められている.本稿では,オープン系SIプロジェクトに携わるプロジェクトマネージャの育成について,システムエンジニアとしての技術力とマネジメント能力の両面を捉える.SIプロジェクトの特性と,それに求められる技術力やマネジメント能力との関係を整理し,双方をバランスよく習得するためのポイントや具体的な取り組みについて考察する.