著者
石田 健二 岩井 敏 原口 和之 賞雅 朝子 當麻 秀樹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.168-173, 2021 (Released:2021-02-10)
参考文献数
7

国際放射線防護委員会(ICRP)の幹細胞生物学に関するドラフト報告書「Stem Cell Biology with Respect to Carcinogenesis Aspects of Radiological Protection」は,2015年12月にICRP Publication 131(以降「Publ.131」と記載)「放射線防護のための発がんの幹細胞生物学」として発行された。同報告書には,放射線と幹細胞の動態に関する知見が示されており,発がんリスクに対する直線しきい値なし(LNT)モデルに基づく「現行の放射線防護体系」の見直しにつながる可能性がある。
著者
岩井 敏 熊澤 蕃 石田 健二 高木 俊治 猪狩 貴史 早川 信博
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.395-398, 2021 (Released:2021-05-10)
参考文献数
4

内部被ばくが発生した可能性がある場合,バイオアッセイ(尿検査,糞検査等)やホールボディカウンター(WBC:Whole Body Counter),肺モニターによる測定値と動態モデルを用いて,摂取した放射性核種の量が評価される。本稿では測定値と放射性核種の動態モデルを用いた摂取量評価法として有用な統計モデリング手法の概念である最尤推定法とベイズ推定法について解説する。
著者
岩井 敏 熊澤 蕃 石田 健二 高木 俊治 猪狩 貴史 早川 信博
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.391-394, 2021 (Released:2021-05-10)
参考文献数
8

放射性核種の体内摂取が生じた場合,バイオアッセイ(bioassay:尿検査,糞検査等)やホールボディカウンター(Whole Body Counter:WBC),肺モニターによる測定値から摂取量を評価するために体内動態モデルは重要な役割を果たす。ICRP(International Commission on Radiological Protection:国際放射線防護委員会)は体内動態モデルを開発し,数十年にわたりその改良を続けてきた。本稿ではICRPの体内動態モデルについて解説する。
著者
岩井 敏 熊澤 蕃 石田 健二 高木 俊治 猪狩 貴史 早川 信博
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.399-404, 2021 (Released:2021-05-10)
参考文献数
14

モンテカルロ法は解析的に取り扱うことが困難な確率分布や尤度関数を扱う計算に有効に活用できる数値解法である。本稿では,別稿(連載Ⅱ)で定式化したベイズ推定法の解法として2種類のモンテカルロ法とアンフォールディング法の適用方法を解説する。
著者
服部 徹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.79-83, 2020 (Released:2020-08-08)
参考文献数
4
被引用文献数
1

海外では,電力市場における競争の中で収支が厳しい原子力発電に対し,政府が支援策を講じる例がある。自由な競争が行われるはずの市場において,政府が特定の電源を支援することは避けるべきと考えられているが,電力市場の制度設計が完全である保証もない。その場合,エネルギー政策の目標をより効率的に達成できる手段を政府が提供しうる可能性は否定できない。市場メカニズムを活用するメリットをできる限り損なわずに,原子力の新増設や既設炉の維持を促していくことが模索されている。
著者
永崎 隆雄
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.677-681, 2013 (Released:2019-10-31)
参考文献数
6

中国は世界一のエネルギー消費大国で,日本の6倍を消費し,エネルギー源は石炭に70%も過度依存であり,PM2.5問題などの厳しい環境問題に直面,水力,風力,原子力等の非化石エネルギーの導入を加速している。原子力は割合が1%程度と少なく,急拡大中であったがその矢先,東電事故が発生。中国はどのような進路を採ったのだろうか?
著者
秋山 信将
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.96-101, 2016 (Released:2020-02-19)
参考文献数
16

2015年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議は,中東非大量破壊兵器地帯をめぐるアメリカと中東の対立から最終文書の採択に失敗したこと,核の非人道性をめぐる議論の盛り上がりの中で核軍縮に関する議論が盛り上がったことがハイライトであると評価される。他方,福島原発事故後初めてのNPT再検討会議であったが,平和利用については大きな注意が払われたわけではないが,それでも,核軍縮,核不拡散,平和利用というNPTの三本柱の間の「グランド・バーゲン」という構造の重要性が改めて認識され,また,非発電分野における平和利用が,途上国など必ずしも原子力の大規模利用をしていない国々のNPTへの関与を維持するという点で意義があることが示された。今後,開発分野との関係,途上国と先進国の間の平等性という点でも原子力平和利用の重要性は高まるであろう。
著者
黒川 清
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.146-151, 2013 (Released:2019-10-31)
参考文献数
24
被引用文献数
3 4

福島原発事故を受けて憲政史上初といわれる「国会事故調」が成立した。その必要性の認識,成立の経過,ほぼゼロからの出発とおおむね6か月の期限と時間の枠組みの委員会とその調査を進めるにあっての基本的考え方と多くの障害と苦労,委員会の公開とウェブ上で発信と同時通訳の意味,報告書に対する基本的な考え方について記述した。さらにこの国会事故調の民主制度での意義と報告書の評価等について記述した。さらに日本の三権分立の課題として,この国会事故調の投げかける課題,そしてこれからの事故調の評価と,国家統治機構の課題,さらに科学者の社会的責任についても少々の考察を加えた。この大事故を契機に変わらなければ日本の将来は危うい。
著者
笠田 竜太
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.409-413, 2018 (Released:2020-04-02)
参考文献数
17

材料の局所的な機械的強度を調べるために広く用いられているナノインデンテーション法の現状と課題について概説し,原子力・核融合材料研究への応用について述べる。
著者
八木 絵香
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.546-549, 2011 (Released:2019-09-06)
参考文献数
6

3月11日以降,「社会に信頼されるためには何が必要か」と考える原子力専門家は少なくないだろう。しかし今は何を語っても,それだけでは信頼されないという前提からすべてを考え直すしかない。原子力の問題を,専門家主導の科学技術理解増進の観点でとらえるのではなく,科学に問うことはできるが,科学(だけ)では答えることのできない問題,すなわち「トランス・サイエンス(trans-science)」の課題としてとらえ直すという観点から,解説を加える。