著者
花田 伸一
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 = The Joint Journal of the National Universities in Kyushu. Education and Humanities (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.No.1, 2022-03-31

日本においては主に1990年代後半から地方創生や観光促進等の文脈とも深く関わりつつ、他国とは異なる独特な形での「地域アート」(ある地域名を冠した美術のイベント)が展開されており、佐賀県内においても同様の動きが複数見られる。本稿ではこれまでまとまった形での記録がほぼ残されていない佐賀県内における地域アートについて、特に2000年以降の事例に関する情報をできる限り整理した上で概観を試みる。 具体的には、佐賀市内の事例として、美術グループ「VAROC」(2004-12年)の活動、佐賀大学生が商店街と共同で取り組んだ『アートコンプレックス』(2008)および『呉福万博』(2009-12年)、『コミニカ展』(2011、12年)について、有田町内の事例として、『庭園陶彫展 CERAMIC SCULPUTURE IN GARDEN』(2005年)、『有田現代アートガーデンプレイス』(2006-13年)、『Media Butterfly in Arita』(2014、15年)について、それぞれ入手しえた資料をもとに情報を整理し、概観する。
著者
桑原 司
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
研究論文集-教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文集- (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, 2013-03

本論は、「シンボリック相互作用論の方法論的立場」鹿児島大学法文学部紀要『経済学論集』第79号iに対する査読の結果、『九州地区国立大学教育系・文系研究論文集』Vol.6 no.2に掲載されたものである。
著者
桑原 司 油田 真希
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
研究論文集-教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文集- (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, 2011-11

The main purpose of this study is to examine the theory of Symbolic Interactionism formulated by Herbert Blumer, from the following viewpoints: a) How does Symbolic Interactionism explain the concept of socialization, i.e., the process in which hominids become human beings? b) How does Symbolic Interactionism explain the concept of Vergesellschaftung (Simmel, G.), i.e., the process or mechanism through which people construct human society? c) Why is human society to be considered to be a changeable process? After careful examination, the following findings were made: i) Blumer regards socialization as the process in which the two frameworks or perspectives (schemes of definition and generalized roles) that have been acquired by an actor through interactions with groups of others guide his/her interpretations/definitions. ii) In Blumer's theory, society is seen to be possible only when each of the actors in interactions can properly grasp the two standpoints (that of the other and one's own standpoint in the eyes of the other) by doing a kind of self-interaction (i.e., taking into account of taking into account; the concept taking into account of taking into account is the famous terminology used by N. Luhmann, but it was originally formulated by Blumer himself in 1953). iii) Because of the nature of others (black boxness), all the actors interacting with others are seen to be necessarily forced to revise their interpretations/definitions continually. For this reason, society must be regarded as a changeable process. Finally, we have tried to review critically the research method of Symbolic Interactionism (i.e., the approach from the standpoint of the actor) on the basis of the conception of man and society that has been clarified in the earlier chapters of this paper. Our review provides evidence for the two additional points listed below: iv) in doing the approach from the standpoint of the actor, only an individual can be included into the category of the acting unit. v) the standpoint of the actor perceived by researchers must never be seen as the standpoint in the raw but has to be seen as a kind of reconstruction of constructions created by researchers. We finally have confirmed that testing this conception of man and society (i, ii, and iii noted above) empirically, based on the points iv and v, would (and must) be one of our important tasks in future. In addition, this paper is the 'corrected' edition of the next article: Tsukasa Kuwabara, 2001, Introduction to a sociological perspective of Symbolic Interactionism (3)(The Summary of a doctoral dissertation, Tohoku University) KEIZAIGAKU-RONSHU~ OF KAGOSHIMA UNIVERSITY, 54.
著者
森 善宣
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 = The Joint Journal of the National Universities in Kyushu. Education and Humanities (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.No.2, 2014-03

1959年に開始された在日朝鮮人帰還事業は、日朝両政府が「人道」の名の下に推進したが、朝鮮半島をめぐるデタントと南北の軍事的対峙から、そこには各政府それぞれ独自の狙いが潜んでいた。本論は、中ロ・東欧諸国に加えて日本外務省の公開資料をもとに、この各政府の狙いを究明する。一方の日本政府は、植民地統治後に国内に残留した在日朝鮮人に対する歴史的な差別構造ゆえに、彼らを経済的に財政負担要因としてだけでなく政治的な危険要因と見なし、彼らを一掃しようとした。他方で後者は、朝鮮停戦後の「平和共存」政策の時代的な要請の中、支援国家である中ソとの関係悪化に対して自国の保全対策を講ずるため、帰還事業を突破口として日本との国交正常化を目指していた。在日朝鮮人を相互に送迎するところに国益が一致した両政府は、その悲劇的な結果を充分に予測しないまま事業を敢行したのである。
著者
桑原 司 木原 綾香
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
研究論文集-教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文集- (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, 2012-03

本稿は、桑原司,木原綾香. シンボリック相互作用論の根本問題:ハーバート・ブルーマーを起点として. 経済学論集=Journal of economics and sociology, Kagoshima University/ 鹿児島大学法文学部 [編]. 2011, vol.77, p.57-70 に対する査読の結果、『研究論文集-教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文集-. 2012, vol.5, no.2』に掲載されたものである。
著者
山津 幸司
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 = The Joint Journal of the National Universities in Kyushu. Education and Humanities (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.No.3, 2023-03-31

全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)における私立高等学校の躍進は目覚ましい。2022年8月に開催された第104回夏の甲子園大会に出場した49校のうち77.6%(38校)が私立であり、2008年以降の夏の甲子園優勝校はすべて私立であるなど、高校野球とりわけマスメディアからの注目度の高い夏の甲子園では私立の優勢は顕著である。一方、佐賀県では公立校が夏の甲子園大会で2度も優勝するなどその好成績が目立っている。佐賀県の夏の甲子園予選を分析対象とした先行研究では第94回から第103回までの10大会では私立が準優勝以上の成績をおさめる可能性は6.86倍と有意に高く、佐賀県においても私立優勢の傾向が報告されているが、この傾向がいつ頃からみられるのか、分析対象大会を増やしても同様の傾向が認められるのかを明らかにする必要が残されている。そこで、本研究の目的は、夏の甲子園予選佐賀県大会における全45大会を分析対象とし公立校と比べて私立の成績は優勢なのか、またいつから優勢になったのかを検証することとした。分析対象は、第60回(1978年)から第104回(2022年)までの夏の甲子園予選佐賀大会の全45大会の試合成績であった。その結果、45大会全体では私立の優勝率などが公立よりやや高いもののいずれも有意差はなく、私立の成績が優れているとはいえなかった。一方で、45大会を15大会毎に区切り3期に分けて分析したところ、最初の15大会と続く15大会では全体の結果と同様に私立が公立より優勢との結果は認められなかったが、最後の15大会では私立の優勝可能性は公立に比べて12.8倍であった。最後の15大会では他に準優勝以上、ベスト4複数回進出も有意に高い(優れている)ことが示された。以上のことから、佐賀県における夏の甲子園予選の全大会を分析してみると私立優勢とはいえないことが示された。一方で、最近の大会のみに限定した場合は私立の優勢は有意に顕著であり、佐賀県の夏の甲子園予選での私立優勢は最近認められるようになった傾向であることが明らかとなった。
著者
新谷 和幸
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 = The Joint Journal of the National Universities in Kyushu. Education and Humanities (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.No.7, 2022-10-31

本稿の目的は,主権者教育の基盤として小学校社会科で社会構造の根幹となる共同体概念を習得・活用し,その意味と価値について学ぶ必要性を明示することである。人々の社会範疇が多様化しそのつながりが変化する中,民主主義社会のあり方が問われている。子どもたちが主権者・社会形成者として資質・能力を育み,その一員として社会問題を解決していく上で,人のつながりを介して行われる社会構造の意味や価値を捉えておくことが必要であった。そこで本稿では,共同体概念やそれに内在する関係価値に着目し,小学校社会科における主権者教育の基盤となる学習過程の構築,授業モデルの開発・実践を通して,児童の変容から本論の有効性を示した。
著者
大平 晃久
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 = The Joint Journal of the National Universities in Kyusyu. Education and Humanities (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.No.15, 2017-09

本稿は,長崎原爆落下中心碑と爆心地にどのような表象が向けられ、どのように構築されてきたか,場所の系譜をたどった。そして,1980年代まで等閑視されていた中心碑・爆心地が,1990年代になって,行政による「聖域化」と,中心碑撤去反対運動を契機として,重要な,そして広く知られる「記憶の場」として確立したことを明らかにした。その上で,中心碑・爆心地を含む長崎原爆関連モニュメント聖地化の空間的な特徴として,西村明が示した「シズメ」と「フルイ」という慰霊の二側面が分離していること,すなわち,死者の追悼と生者に対する平和祈念という慰霊の両側面を兼ね備えた中心碑・爆心地と,平和祈念に特化した平和祈念像・平和祈念像地区が空間的に峻別された,極めて意図的・操作的な聖地形成がみられることを明らかにした。
著者
金城 克哉 Kinjo Katsuya
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, 2013-10

本稿では槇原敬之の17枚のオリジナルアルバムの歌詞を分析し、まず語彙の構造を明らかにした。今回の調査では延べ語数においても異なり語数においても動詞が名詞を上回っていること、また英語の歌詞がかなり含まれていることがわかった。また、頻度30以上の119語を用いた主成分分析では例外的なアルバム(『不安』)はあるものの、概ね1999年までのアルバムと2000年以降とではっきりと分かれること、また階層的クラスター分析では最初期の2枚のアルバムが1つのクラスターを成していることが明らかとなった。これらのクラスターは評論家の意見、また槇原自身の言葉とも一致していることがわかった。この論文は「琉球大学欧米文化論集」(57号2013年p23-42)に掲載された論文を査読し、「九州地区国立大学教育系・文系研究論文集」Vol.1, No.1(2013/10)に採択されたものである。
著者
大平 晃久
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.2, 2021-03-31

本稿では,負の記憶の景観化の事例として,関東地方における1968年以降の返還,かつ返還面積の比較的広い米軍基地跡地45か所を取り上げた。これら基地跡地の記憶が,現地へのモニュメントや解説板などの設置によって,いかに可視化されているかを調査・報告するとともに,アメリカの歴史地理学者フットの示した,負の記憶の景観化の4類型について考察を行った。 対象とした基地跡地のうち,基地跡地に関わるモニュメントがあるのは7か所,解説板があるのは12か所にとどまる。米軍基地跡地そのものを記念したモニュメント類は皆無で,基地跡地の記念が忌避され,あえてモニュメントがつくられていないようにみうけられる事例もある。さらに、米軍基地跡地のなかには,「平和」という表象によって否定的に記念されている事例,基地闘争への勝利・基地跡地の復興を記念することによって否定的に記念されている事例があることを示した。これらはフットが4類型の一つとして定義した,現地を放置する,景観的な「抹消」とは異なるものの,現地において表象レベルで米軍基地跡地の記憶を「抹消」するものであり,フットの4類型に若干の見直しが必要であることを試論的に示した。
著者
坂井 伸子 深見 聡
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, 2020-10-30

本研究の目的は、『十六夜日記』の和歌表現に関して、歌枕を一つの指標として分析し、その特質を明らかにすることである。特に歌枕が頻出している「路次の記」を考察の対象とする。歌論書・同時代の紀行文等12の文献との比較や和歌表現の分析を行うことにより、伝統的な名所歌枕の価値を認め詠歌しつつも、時代の変化に合わせ新奇な地名において、自身の感懐を表現する和歌がみられることがわかった。そこには、伝統的かつ古典主義的な知識を踏まえながらも、新しい視点で東海道の景観や風物を活写し、自身の感懐を読み手に伝えようとする阿仏尼の姿勢が看取される。『十六夜日記』「路次の記」の和歌には、題詠の時代から一歩踏み出し、新しい地名に一つの評価を与える阿仏尼の新見性がみられることが明らかになった。
著者
森下 覚
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 = The Joint Journal of the National Universities in Kyushu. Education and Humanities (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, 2020-10-30

本研究の目的は全国の教員養成系大学・学部を調査対象にして、学校体験活動の基礎データを集め、データ間の関連を検討することで、学校体験活動の現状と課題について明らかにすることであった。調査内容は、「実施の有無」「単位認定の有無」「名称」「参加学生数」「活動内容」「課題」についてであった。分析の結果、今回の調査対象となった大学・学部における学校体験活動の現状として、「インターンシップ」の語を含んだ名称で多く実施されており、参加学生の多くが小学校に参加し、教師の業務全般に関わる活動や子どもとの関わりがある活動に従事していることが示唆された。また、基礎データ間の関連を検討した結果、「私立大学の参加学生数の多い学校体験活動において、学校現場との連携上の課題が存在すること」や「学校体験活動に参加するための時間を確保の難しさが参加学生の確保を難しくしていること」、「国公立大学の学校体験活動において、活動上の課題や運営管理上の課題が存在すること」といった現状と課題の関連が示唆された。本論文は「九州地区国立大学教育系・文系研究論文集」Vol.7, No.1(2020/10)に査読を経て受理された。
著者
深見 聡 坂井 伸子
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 = The Joint Journal of the National Universities in Kyushu. Education and Humanities (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1,2, pp.No.10, 2020-03-31

本研究の目的は、『十六夜日記』に登場する多くの地名詠の中から、これまで注目されてこなかった馴染みの薄い地名を詠み込んだ和歌を分析し、その特徴を明らかにすることである。鎌倉時代に阿仏尼が京都から鎌倉までの行程を描いた紀行文である『十六夜日記』の中で、特に地名詠の集中している「路次の記」を考察の対象とする。表現技巧の分析や先行歌との関係性を具体的に検討することにより、これまで注目されてこなかった地名詠にも、阿仏尼の心情や歌道家としての技能、当時の東海道の最新の様子などが盛り込まれていることがわかった。また、先行歌との影響関係からは、為家歌との関連性からその影響力が十分に看取される。さらには、鎌倉・宇都宮といった東国歌壇との影響関係にも注目され、それらの和歌には阿仏尼独自の世界を打ち出そうとする姿勢が見られることが明らかになった。
著者
山田 高誌 ヤマダ タカシ Yamada Takashi
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, 2018-03-31

本論文は, 18世紀後半のナポリの諸劇場と関わりをもった作曲家, 台本作家, 演奏家, それぞれの待遇の経年変化, キャリアの変化について, ナポリ銀行歴史文書館所蔵, 興行師による支払い文書史料113点の支払い文書全訳とともに, その労働条件, 職務を解明するものである.
著者
八丁 由比
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.No.8, 2017-09-30

In 1945, the United Nations Charter was signed in San Francisco after the United Nations Conference on International Organization. In the first chapter, “Purposes and Principles,” four purposes are stated, and one of them refers to racial equality: to “achieve international co-operation . . . in promoting and encouraging respect for human rights and for fundamental freedoms for all without distinction as to race, sex, language or religion.” Considering that President Wilson, 25 years ago, refused to accept the Japanese proposal for inserting a short clause about the abolition of racial discrimination into the Covenant of the League of Nations, the United Nation Charter accepted to bear a responsibility this time. Based on official documents of the time and secondary works, this article examines the origins and the driving forces both within and outside of the Roosevelt Administration that led to the inclusion of the clause. It draws attention to the substantial contribution of a private organization such as the Commission to Study the Organization of Peace and its close relationship with government officials. It concludes that the reference to racial equality was not the result of single organization or country, but of various countries and people who were concerned about the nature of the new international organization.
著者
張 小英
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 = The Joint Journal of the National Universities in Kyushu. Education and Humanities (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.No.1, 2018-03-31

アカデミック・ディベートを行う際、主張の根拠として、出版された文献から証拠資料を引用し、議論を行わなければならない。証拠資料を引用するにあたり、証拠能力(出典の明示、原典からの直接引用、不正引用に当たらないこと)と証明力(証拠資料自体の信憑性、証明しようとする主張との関連性)を判断する必要がある。本研究は、ディベート大会の文字化資料に基づく証拠能力と証明力の検証(張, 2017)に引き続いて、アンケート調査を通じて、証拠資料の使用実態の究明を目的とした。証拠能力に関して、それぞれ「ディベーターが認識している明示すべき出典の項目」「孫引きの使用状況」「不正引用の原因」の三つに分類して考察を進めた。さらに、証明力における証拠資料の「信憑性」と「主張との関連性」の判断について、ディベーターに自己評価回答に考察を加えた。