著者
瀬戸崎 典夫 鈴木 滉平 岩崎 勤 森田 裕介
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.253-263, 2017-02-20 (Released:2017-03-23)
参考文献数
28
被引用文献数
2

本研究は,TUIを有するタンジブル天体学習用AR教材を開発した.また,開発したタンジブル天体学習用AR教材の教育現場における教材としての適性およびインタフェースについて評価した.次に,協同作業における学習者特性を観点として教材を評価した.さらに,本教材を使った協調学習における発話を分析することで,本教材の利点および改善点を明らかにし,本教材を用いた授業実践に向けての示唆を得ることを目的とした.その結果,本教材は学習者の興味を引きつけるとともに,月の満ち欠けのしくみの理解を促し得ることが示された.また,学習意欲を高める上で有用であることが示唆された.さらに,協同作業に対する意識が低い被験者においても協調学習を支援する教材として有用である可能性が示された.発話分析の結果,TUIやARを実装することにより,仮想環境内で現実環境のオブジェクトを関連付けることでき,学習者間の知識共有に有用であることが明らかになった.
著者
森田 裕介 下郡 啓夫 辻 宏子 竹中 真希子 瀬戸崎 典夫 江草 遼平 大谷 忠 北澤 武 木村 優里 齊藤 智樹
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究課題では,探究と課題解決・デザイン活動を融合したSTEAM教育カリキュラムの考案,ならびに,STEAM教育教材の開発を行う.そして,DBR(Design Based Research)による実践授業と評価を行う.考案するSTEAM教育カリキュラムは,幼稚園,小学校,中学校,高校,高等専門学校,大学を対象とし,教科横断型でかつ文理融合的に統合した学びのフレームワークである.「探究型」の学びである理数系(理学系)科目,「課題解決型」の学びである技術・情報系(工学部系)科目,「デザイン型」の学びであるアート・ものづくり系(芸術系)科目を融合し,STEAM教育プログラムの事例を作成する.
著者
渡辺 雄貴 瀬戸崎 典夫 森田 裕介 加藤 浩 西原 明法
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.Suppl., pp.109-112, 2014-12-25 (Released:2016-08-11)

モバイルデバイスの画面は小さく,提示する情報である教授メディアは適宜選択しなくてはならないことから,その開発はeラーニングコンテンツの開発方法とは異なる可能性がある.本稿では,講義スライドとインストラクタおよび指示棒の合成,講義スライドとポインタの合成という指示メディアの異なる2通りのコンテンツを開発し,学習者に与える影響を測定するために実験を行った.その結果,パフォーマンステストでは,両コンテンツで学習効果には差がないものの,主観評価では多くの項目でポインタを合成したコンテンツが高い値を得た.
著者
瀬戸崎 典夫 佐藤 和紀
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.15-24, 2017 (Released:2017-05-29)
参考文献数
18
被引用文献数
5

戦後70年以上が経過し,被爆体験証言者の高齢化にともなった継承者の減少は,喫緊の課題である。また,若い世代の関心を高めるような平和教育の方法について検討する必要がある。近年,教育現場への普及が推進されているタブレット端末を有効活用したアプリケーションを開発し,学習効果に関する実践的な知見を得ることは意義があると言えよう。そこで,本研究はタブレット型全天球パノラマVR教材を用いた自由な探索活動および,他者への学習内容の発信を取り入れた平和教育を実践し評価すること,さらにノートテイキングの有無を分析の要因として学習効果を検討し,本教材の有効活用についての知見を得ることを目的とした。授業実践による理解度テストの得点変移について分析した結果,知識獲得の観点において,本教材による自由探索的活動は,ノートテイキングと同等の効果が得られることが示された。また,主観評価の結果から,本教材の利用時にノートテイキングをすることで,学習内容に対する関心や意欲を喚起することが示された。
著者
鷹岡 亮 光原 弘幸 瀬戸崎 典夫 舟生 日出男
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.283-294, 2021-12-20 (Released:2022-03-18)
参考文献数
41

ネットワーク,クラウドコンピューティング,AI,IoT,ロボティクスといった先端技術の著しい進展に伴い,社会全体でのデジタル化が急速に進んでいる.このデジタルデータとデジタル技術はこれからの新しい社会を構成する中心的な要素となり,これらの技術を駆使して新たな価値を産み出していくことが求められている(経済産業省 2021).教育の世界においても,教育データやデジタル技術を活用したデジタル化のみならず,教育サービスや教育モデル,さらには新しい時代に適した教育に変革していくための教育DX の推進が求められている.そこで本稿では,この教育DX を実現するために,初等中等教育を対象にして,新たな教育(学習)モデルやサービスの変革や拡張を創りだす学習支援技術・授業支援技術の動向と今後の展望について解説する.特に,VR/AR/MR 技術と技術活用事例,そして協調学習支援技術に焦点をあてて説明を展開する.
著者
瀬戸崎 典夫 森田 裕介 全 炳徳
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.561-562, 2020

<p>本研究は,没入型タンジブル平和学習用VR教材の開発に向けた予備調査を実施することによって,教材に対する興味・関心等の評価を得るとともに,改善点や追加コンテンツを明らかにすることを目的とした.その結果,本教材を使用することで,参加者の興味・関心や,活動そのものに対する集中力を高めることが示された.また,平和教育の実践を想定したコンテンツ開発と授業デザインの考案に加えて,原爆投下前の人々の暮らしをバーチャル環境に提示することで,より実感を高める教材となり得ることが示された.</p>
著者
瀬戸崎 典夫 三重野 愛
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 43 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.457-458, 2019 (Released:2020-07-31)
参考文献数
3

「特別の教科道徳」が教科化され,「考え・議論する道徳」への転換が求められている.しかしながら,教育現場において,授業の中で「考え・議論する」時間を十分に確保できているとは言い難い.そこで,本研究では「特別の教科道徳」における反転授業用シナリオベース教材の開発を目的とした.さらに,小学2年生および,小学校教員を対象に,開発した反転授業用教材の有用性を評価した.その結果,本教材は小学2年生がひとりでも操作することができ,自宅で物語の内容を把握できることが示唆された.さらに,授業内の議論の充実に有用な反転授業用教材である可能性が示された.
著者
瀬戸崎 典夫 内田 武志 長濱 澄
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.197-200, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
7

本研究は異質性を有する他者との関わりから,戦争の加害と被害の面について学ぶ平和教育を実践した.その結果,本授業実践が多数の被験者らにとって価値ある実践として位置づけられたことが示唆された.さらに,異質性の中に含まれる他者との「異なる価値観」や「同じ価値観」を認識することで,多様な観点から平和構築への思考を深め得る可能性が示唆された.
著者
瀬戸崎 典夫 全 炳徳
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集
巻号頁・発行日
vol.4, no.1,2, pp.No.12, 2017-03

本研究は,全天球パノラマVR教材におけるユーザインタフェースを評価し,評価結果をもとにVR教材を改善した.さらに,小学6年生を対象とした授業実践によって改善した教材を評価することを目的とした.ユーザインタフェースの評価の結果,観察地点や文字,音声などの提示情報の追加が課題であることが示された.そこで,全天球パノラマVR環境を有する観察地点において,2地点のパノラマコンテンツを追加し,各観察地点におけるモニュメント等の現在の写真をVR環境に重畳表示した.さらに,VR環境に重畳表示された写真に,音声による解説と文字による説明を示した.次に,改善した全天球パノラマVR教材を活用し,修学旅行における事後学習を2つの小学校で実践した.その結果,本教材は興味や意欲を高めることができ,振返りの教材として有用であることが明らかになった.また,学習のねらいや活動内容によって,学習者の意欲や長崎にいるような実感に対する評価が異なることが示された.
著者
瀬戸崎 典夫 上妻 尭甫 岩崎 勤 森田 裕介
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.185-188, 2012
参考文献数
7

本研究は,タブレット端末によって視聴可能な天体学習用ARテキストを試作した.さらに,試作したARテキストが有するコンテンツを評価した.その結果,AR型動画コンテンツは,講師の解説による講義映像の提示が効果的であったことが示された.また,「見易さ」を考慮し,紙テキストに重畳表示する動画の画面構成や配置を検討する必要性が示された.AR型CGコンテンツにおいて,3DCGによる立体的な提示が有用であることが示された.また,タブレット端末を動かすことによる様々な角度からの能動的な観察が効果的であることが示された.
著者
瀬戸崎 典夫 森田 裕介 竹田 仰
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.370-377, 2009
参考文献数
15
被引用文献数
6

The purpose of this research was to examine the teaching effect of using a "Multi-view VR Teaching Material of the Solar System". The teaching experiment was conducted with elementary and high school students. The result shows that the VR Teaching Material improved the interest and attitude of the elementary school students. In addition, it was shown that when the VR Teaching Material was used as an introduction, the level of understanding improved. Moreover, high school students obtained a similar learning effect, regardless of the use of the VR Teaching Material. In addition, we suggeste that the VR Teaching Material improves the level of understanding of elementary school students, and high school students with low learning capacity.
著者
瀬戸崎 典夫 森田 裕介 竹田 仰
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.537-543, 2006
参考文献数
11
被引用文献数
18

The purpose of this paper is to elucidate the basic data for future study as estimated from the demonstration class. At first, we conducted a "needs based investigation" for teachers to examine the VR teaching materials available for educational purposes. The investigation contents dealt with "use of materials," "level of students to be taught" and "functional needs of the VR materials". We have made improvements in the portability and operability of the 3D VR system used for screen presentations based on the results of the "needs investigation." Following this, we brought the VR teaching materials, which we produced, to a senior high school and performed a teaching demonstration using the VR system. Furthermore, we performed a survey based on the subjective evaluations of both teachers and students who attended the demonstration. As a result, the VR teaching material we used left a positive impression on the students and teachers who were involved in our demonstration.
著者
瀬戸崎 典夫 吉冨 諒 岩崎 勤 全 炳徳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.85-88, 2016

本研究は,遠隔地での学習者に長崎にいるような実感を与え,主体的な学習を促す次世代型平和教育教材の開発を目的とした.そこで,全天球パノラマVR教材を開発し,教育的利用の観点から評価した.その結果,臨場感の高さや印象の強さなどの理由から,実感を高める教材としての有用性が示された.実感を与える効果については,地理的な情報把握や,原爆投下を自分とは切り離した事象として捉える学習者にとって有用であることが示唆された.さらに,本教材のインタフェースが主体的な学習を促す一助となり得ることが示された.一方,コンテンツの充実や発達段階を考慮した授業設計の考案など,改善すべき点が明らかになった.