出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.119-126, 1985-02-25 (Released:2009-05-25)
被引用文献数
1 1
著者
秋吉 信宏 出村 拓 大谷 美沙都
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.353-363, 2018-04-20 (Released:2019-04-20)
参考文献数
76

現在陸上で見られる生存圏の確立と繁栄は,古生代中期にあたる4億8千万年前から3億6千万年前の間に起こった,初期の植物による陸上進出に端を発する.陸上化の直後に起こったと考えられる形態と細胞機能の多様化を経て,陸上植物は水や栄養を効率的に運び,全身へと送り届けるための長距離輸送システムとして通導組織を発達させた.一般的に,通導組織の構成要素は,土壌中の水や無機塩類を運ぶ水輸送細胞(water-conducting cell)と,植物自身が作り出した炭水化物やアミノ酸を輸送する栄養輸送細胞(food-conducting cell)である(1~4).水輸送細胞と栄養輸送細胞の輸送効率は,植物の生育や生産能力に直接的に影響を与える重要な要素であり,植物はその進化の過程でさまざまなタイプの通道細胞を作り出してきた.なかでも,最も成功した陸上植物の輸送システムが,現存する維管束植物がもつ,木部と師部から構成される維管束組織である.木部は管状要素,木部繊維,そして柔細胞を含む複合組織であり,水は管状要素が連なってできる仮道管あるいは道管によって輸送される(5~7).師部組織もまた,師部要素,伴細胞,師部繊維,および柔細胞からなる複合的な組織である.師部要素は連結して師管を形成し,有機栄養素の輸送を担っている(2, 4).近年のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を中心とした分子遺伝学的研究の進展によって,維管束幹細胞から管状要素と師部要素への分化を制御する転写ネットワークが明らかになりつつある(8~10).本稿では,管状要素と師部要素の分化制御機構について主に転写因子の視点から最新知見を概説し,植物の通道細胞の進化についてマスター制御転写因子を中心とした視点で論じたい.
著者
吉本 櫻
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.355-357, 2010-05-01 (Released:2011-09-01)

本研究は,平成21(2009)年度日本農芸化学会大会(開催地 福岡)での「ジュニア農芸化学会」において“優秀賞”に選ばれた.わが国の代表的な発酵食品である納豆の製造に使用される納豆菌を対象として,その熱や薬剤に対する挙動を解析することにより,微生物がその生活環において異なる細胞形態をとる生理的意義,ならびに微生物を殺菌する場合の問題点を考察した研究である.