本翻訳は、ドイツの思想家アウグスト・ヴィルヘルム・レーベルク(1757-1836年)が、カントがベルリンの雑誌『ベルリン月報(Berlinische Monatschrift)』の1793年9 月号に発表した論文「それは理論においては正しいかもしれないが、実践については役立たないという決まり文句について(Über den Gemeinspruch: Das mag in derTheorie richtig sein, taugt aber nicht für die Praxis)」を受けて、同じ『ベルリン月報』の1794年2 月号に発表した「理論の実践に対する関係について(Über das Verhaltnisder Theorie zur Praxis)」の日本語訳である。この論文においてレーベルクは前年に出されたフリードリッヒ・ゲンツのカントに対する批判と同様にカントの議論に対してその意義を認めつつも、それのみでは現実の国法論や市民社会への応用に対しては不十分であることを、フランス革命において展開された議論を背景にしながら論証している。