著者
河野 哲也 西 康晴
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.260-268, 2011-04-15
被引用文献数
1

ソフトウェア開発の上流工程である設計工程において作り込まれる欠陥を未然防止・早期検出するためには,欠陥の原因系を検討することが重要である.欠陥の原因系は大きくプロセス視点とドキュメント視点に分けられる.プロセス視点の従来研究は人的要因に関する研究など広く検討されているが,ドキュメント視点における設計欠陥の原因系の従来研究はいくつかあるものの原因系が設計欠陥発生にどの程度関係しているのかは検討されていない.そこで本研究では,ドキュメント視点の原因系の一つとして単語対の意味の類似性に着目し,類似性と設計欠陥発生との関係を実験により明らかにすることを目的とする.本実験では,類似性の高い単語対をいくつか埋め込んだドキュメントと低い単語対をいくつか埋め込んだドキュメントの二種類のドキュメントを用意し,それを入力として設計実験を行った.そして,実験結果を定量的に評価した結果,「単語対の類似性は設計欠陥発生に関係がある」という知見を得た.
著者
吉野 睦 近藤 総 仁科 健
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.260-266, 2008-04-15
参考文献数
12
被引用文献数
2

シミュレーション実験の利用には実機実験の再現性が確保されていることが前提となる.実機実験の結果とシミュレーションの結果を一致させるプロセスを"合わせ込み"と呼ぶ.しかしながら,合わせ込みの再現性を向上することは,そのために多くの実験点を必要とし,リードタイム短縮の障害となっている.現在,その再現性と効率を両立する具体的な方法が確立しているわけではない.本研究では合わせ込みにタグチメソッドで提唱されている2段階設計法を応用する.その事例研究としてワイヤボンディングの共振問題を取り上げる.
著者
棟近 雅彦 三輪 高志
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.96-108, 2000-10-15
被引用文献数
2

市場のニーズをいかにして把握するか, いかにして製品の設計に取り入れるかは企業にとって常に課題となる.近年, 市場のニーズは多様化しているため, 単に機能的なものにとどまらず, 人間のイメージやフィーリングによって評価される感性的なニーズにも注目する必要がある.感性的なニーズを把握するための調査では, SD(Semantic Differential)法によるアンケート調査が用いられた事例が多くみられる.SD法とは, 評価用語に形容詞対を用い, 対象の意味を測定する手法である.しかし, 調査にSD法を適用するにあたり, どのような情報を把握するべきかが明確になっていないために, 評価用語としてどのようなものを取り上げるかについての指針がないのが現状である.本報では, 感性的なニーズを把握するための調査では, どのような情報を得るべきかを明確にし, SD法のアンケート調査に用いる評価用語選定の指針を提案する.本報で提案する指針を用いることで, 系統的に評価用語を抽出することが可能となる.また, 認知知覚過程に基づき感性品質がどのように評価されているのかを明らかにすることにより, 感性品質を考慮した製品設計のための有用な情報を得ることができる.
著者
西村 龍介
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, 1983-01-15
著者
具 本瑛 中條 武志
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.105-118, 2001-10-15

本研究では, 複数の製品に対する消費者の品質要求を狩野らによって提案された魅力的品質・当たり前品質の視点から調査・分析し, 製品の種類の違い, 消費者属性の違いによって, 魅力的品質・当たり前品質となる品質項目がどのように変化するのかをモデル化することを試みた.結果として, 全体的には品質項目の内容・区分によって魅力的品質項目・当たり前品質項目・一元的品質項目・無関心品質項目のいずれになるかが決まること, 同じ品質項目でも, 製品の種類によって魅力的・当たり前に感じる人, 無関心な人の割合が変化すること, 消費者の属性によって魅力的・当たり前に感じる人の割合が若干変化することなどがわかった.
著者
鈴木 和幸 佐藤 智行
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.105-113, 1997-01-15

システムの規模が巨大化し,その故障の影響がますます大きくなる今日,状態監視保全がより重要性を増している.この状態監視保全においては外部から直接把握できないシステムの状態に関する情報を与えるモニターが重要な役割を担う.しかし,このモニターは誤報や欠報の例のように必ずしもシステムの真の状態を伝えるとは限らない.Blackwell Girshick^<[2]>は,統計的意思決定問題において,"2つの実験の比較"を扱い,実験により得られる情報の優劣を判定するための十分条件を導出した.彼らの方法は複数台のモニターに対する優劣の比較に応用しうる.本研究は,コスト(損失関数)の大小関数の情報を利用することにより,2つのモニターの優劣の比較を文献[2]よりもよりゆるやかな条件により為しうることを示す.なお,本研究の結果は2状態2アクション問題を扱ったMurakami^[7]の結果を含むものである.
著者
山来 寧志 猪原 正守
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, 1999-04-15

ある配色から受ける感情の背後にある潜在的特性と物理量との因果関係を知るためには, 最初に因子分析法によって潜在因子を抽出し, 回帰分析法によってそれらの因果関係を解明する方法が一般的である.本研究では, 感情を引き起こす対象としてお菓子のパッケージを取り上げ, パッケージから受ける印象をアンケート調査により評価, それに対して因子分析法と実験計画法を適用することで, 潜在因子と設計特性の関係を明らかにする方法を提案した.
著者
前田 又兵衛
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, 2004-10-15
著者
冨士 仁 古山 恒夫 菅野 文友
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.91-101, 1996-07-15

ソフトウェアのプロジェクトの見積りや管理のために,これまでに様々な特性を測定する試みがなされてきた.プログラムの複雑さの尺度もその一つであり,早期にプログラムの品質を予測する有力な手段となっている.従来は,複雑さの尺度を単独または複雑さの特質ごとに使用している研究がほとんどであり,複合的な尺度は花田らの研究などごく少数しか提案されていなかった.本論文では,従来の制御構造などの特質に関するの尺度の他に,新しくプログラミング・スタイルにも着目した.そして,ソフトウェアの信頼性の指標として,プログラムの欠陥の密度と複雑さの尺度との関係を分析した.すなわち,欠陥の密度と各尺度との相関係数の検定によって,複雑さの尺度が信頼性の指標として有効かどうかを検討した.また有効な尺度について,プログラムの欠陥の密度を少なくするための最適値も検討し,プログラムの作成時およびテスト時の指針として示す.そして,重回帰分析によって有効な尺度を複合化し,プログラム完成時の品質予測を可能にした.