著者
筑木 一郎
出版者
学術文献普及会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.63-73, 2009-03

京都大学学術情報リポジトリの戦略と成果を報告し,展望を示す。京大リポジトリでは,紀要類の電子ジャーナル化という戦略を打ち出し,リポジトリを電子ジャーナル・プラットフォームとして機能させる道を模索している。小規模な研究者グループの支援としてのリポジトリ事業は電子ジャーナル出版に行き着くことを明らかにする。一方で,京都大学学術出版会との連携,ヒトiPS 細胞論文やノーベル賞受賞論文の登録・公開といった特色ある活動を打ち出すことで,リポジトリ事業が大学あるいは図書館の活動を低コストでアピールできる取り組みであることも明らかにする。
著者
篠塚 富士男
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-11, 1990-07

abstractなし
著者
江上 敏哲
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.60-71, 2006-08

2005年12月,イタリアのナポリ・ローマ・ヴェネツイアの日本資料図書館を訪問し,各館における実態,特に,活動・運営,蔵書,日本資料・日本情報の提供・入手,目録等について調査した。イタリアにおける日本語学習者は増加傾向にあるが,蔵書の多い図書館は少なく,ほとんどの図書館で東アジア・東洋等と同組織である。日本語を理解する司書も少ない。日本からの図書館サービス・情報発信の改善として,書誌・目録データベースにおけるローマ字併記の整備,ILL受付体制の整備と説明の強化等が考えられる。In December 2005, the author visited Italian Japanese resource libraries in Napoli, Rome, and Venice, and surveyed their collections, operations, and activities and how they select, acquire and catalog Japanese language materials. While the number of Japanese language learners appears to be on the increase in Italy. There are very few libraries with large Japanese collections. Most libraries are operated as a combined East Asian or Oriental collections and there are very few staff who can understand Japanese. The author offers a number of examples of how improved services from Japan, such as including Romanization in cataloging records or providing more information about getting interlibrary loan, can help Italian Japanese resource libraries to serve their clientele better.
著者
梶原 瑠衣 山根 泰志
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.2166, 2024-03-31 (Released:2024-03-05)

九州大学附属図書館は,貴重書等の画像を活用した図書館グッズを,九州大学生活協同組合と共同制作した。当該商品は,九州大学のオリジナルグッズのひとつとして,2021年に販売が開始され,恒常的に誰でも購入できる状態となっている。また,寄附事業「九州大学デジタル資料整備事業」の返礼品としても活用している。従来,九州大学附属図書館では無償の図書館グッズを制作したことはあったが,販売用グッズ制作は初めての試みとなった。1年以上かけて制作した図書館グッズについて,完成までの道のりを紹介する。
著者
清重 周太郎
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.2162, 2024 (Released:2024-03-01)

本研究では,図書館評価におけるエビデンスの強化を目的として,大学図書館の活動情報をメタデータ管理によって定量化する手法を提示する。北海道大学附属図書館では活動情報定量化システムのプロトタイプを開発するとともに,2020年度の活動に対して担当業務を粒度にメタデータを付与し,既存の財源および成果データと関連付けるデータ整備を試行した。結果として財源—活動属性—利用統計のサイクルの可視化が得られるとともに,学習評価の手法を応用した部署アセスメントが構想できることを示す。
著者
井上 敏宏 高橋 菜奈子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.124, pp.2157, 2023-09-30 (Released:2023-10-04)

本稿では,「GIGAスクール構想」のもとで普及してきたデジタル教科書について,制度化に向けた文部科学省での政策の展開および著作権法上の留意点を整理し,国立教育系大学図書館におけるデジタル教科書の導入状況や普及の取り組みについて,全体の概況と大阪教育大学と東京学芸大学の事例を紹介する。これにより,デジタル教科書に関する基礎的な情報の整理を試みつつ,最後に教員を志望する大学生の利用を保証するための課題と展望を述べた。
著者
大場 高志 杉田 茂樹
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.25-30, 2004-03-31 (Released:2017-11-17)

インターネットの普及を背景に学術情報の流通環境は大きく変化し,大学自身の教育研究成果の社会への情報発信が重要になるとともに,ネットワーク上の情報資源の取扱いが大学図書館にとって重要な課題となっている。こうした状況を受けて国立情報学研究所では,平成14年度から,メタデータ・データベース共同構築事業を開始した。本事業の現状を報告し,今後の課題と取り組みを紹介する。
著者
橋本 唯子 山中 節子 藤井 亜希子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.118, pp.2109, 2021-08-31 (Released:2021-09-16)

平成27年5月に和歌山大学図書館において発生したシバンムシによる虫害について, 発生から緊急対応・燻蒸処理とその後の点検などといった実施項目の概略を示し,以後虫害を防ぐための対策として研修・環境整備・殺虫およびクリーニング作業などを進めてきた経緯を紹介する。成果として職員の意識向上・資料保存環境の改善があげられると同時に, 記録の不足・消毒用エタノールなど必要物品の不足などの課題についてまとめ, 被災時に図書資料をどのように救出すべきか, 意識を共有する意義について言及する。
著者
江上 敏哲
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.45-56, 2005-03-31 (Released:2017-11-17)

2004年9月11日から同26日まで,京都大学教育研究振興財団の事業である海外派遣助成(短期)を受け,イギリス・アイルランド・オランダの日本資料・日本研究図書館を訪問し,スペインで開かれた日本資料専門家欧州協会年次集会に参加した。各館における実態(特に,活動・運営,資料の入手・提供,目録システム,古典籍資料等)について調査した。日本からの協力・働きかけとしては,ILL受付体制の整備,NACSIS-CAT参加及び総合目録・目録システム形成へのサポート,出版物の積極的な寄贈,貴重資料電子化の支援,発表・報告等の積極的な“発信”等が考えられる。
著者
マルラ 俊江
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.34-44, 2005-03-31 (Released:2017-11-17)

北米日本研究資料調整協議会(North American Coordinating Council on Japanese Library Resources (NCC))の設立・組織,および現在進行中の活動について紹介する。その活動は,日本語資料蔵書共同構築,アクセス改善,日本研究司書教育に大きく分けられ,主なプロジェクトに,多巻セット(Multi-Volume Sets Project),日本美術カタログ収集,ジャパン・プロジェクト,AskEASL,T-3プロジェクトがある。他に,電子資料委員会及び国際交流基金図書館支援プログラム諮問委員会の活動に言及する。
著者
新見 槙子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.122, pp.2144, 2022-11-30 (Released:2022-12-23)

本稿の目的は,創刊号(1972)から120号(2022)までの『大学図書館研究』掲載論文の主題分析によって,執筆者の問題意識や関心の特徴,その変遷を明らかにすることである。【図書館運営】【情報管理】【サービス】の領域のうち,全年代で【情報管理】領域の割合が最も高いが,【サービス】領域の割合も増えつつある。2010年代以降は「電子リソース契約・管理」「オープンサイエンス」「学習支援・教育支援・研究支援」を主題とする論文が多い。『大学図書館研究』掲載論文は,日本の大学図書館の歩みの一端を反映している。