著者
林 政彦 酒見 昌伸 安井 万奈 山﨑 淳司 堤 貞夫
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1-4, pp.3-16, 2016-04-30 (Released:2017-01-16)

縄文時代の6千年前頃から首飾り等に使われていたヒスイ(翡翠,ヒスイ輝石(Jadeite))は,主に新潟県糸魚川市~富山県朝日町周辺で産出したとされている.わが国では,新潟県以外にも鳥取県若桜町,岡山県新見市,兵庫県養父市あるいは長崎県長崎市などからも産することが報告されている。さらに外国では,ミャンマー,アメリカ,グアテマラ,ロシアなどが知られている。今回入手した各地の試料を調べた結果,輝石族の鉱物名分類(Morimotoら,1988)1)に従うと,ほとんどのものはヒスイ輝石であったが,いくつかの産地のものはオンファス輝石(Omphacite)と呼んだ方がよいものであった。
著者
小川 日出丸 渥美 郁男
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, 2018-06-10

<p>昨年、無色のメレダイヤモンド 211 個入りのロットを検査する機会を得た。パーセルには、 Size 1.25-1.35mm Color D-E-F Clarity VS-VVS Shape Round Full Cut の表記があった。販売者であるアメリカの R 社 によると内容は CVD Synthetic Diamond で、 価格は600USドル/ctとのことであった。ちなみ に同等の天然メレダイヤモンドとほぼ同じくら いの価格相当と思われる。 </p><p>一個の重量は 0.008~0.012ct であるこれら の石について、FT-IR を使用して赤外分光検 査をおこなった。その結果、12 個は明瞭なⅠ 型を示し検査の結果は天然石であった。残り の 199 個はⅡ型に分類されたので、検査を継続した。</p><p>拡大検査では、塊状や棒状の金属と思われるものや、松枝状などの内包物がみられた。 内包物によっては磁石に引き寄せられ、磁性 を示す石もあった。</p><p>フォトルミネッセンス(PL)測定など詳細な検 査をおこなった結果、高温高圧法による合成 ダイヤモンドであることが判明した。またⅡ型 のなかに天然石が1個確認された。</p><p>以上、天然石が混入していることや CVD 法 による合成石が確認できなかったことなど、販売者の言と異なるメレサイズダイヤモンドのロットであった。 </p><p>無色系のメレサイズ HPHT 合成ダイヤモンドについてはすでに報告(注 1)があり、分析 結果や特徴などについて紹介されている。 今回検査した石のカラーグレード(注2)は D-E-F となっていたが、D カラーは数個でほと んどが F から H であり、僅かに色を持っていた。 色調ごとに分類したところ、青色・黄色・緑色・ 灰色系になった。赤外分光、PL スペクトルなどに違いがないか調べた。 </p><p>クラリティは VS-VVS の表示であったが、内包物は多くみられた。内包物の形態や、未研磨面に残された結晶面に特徴がないか観察 した。</p><p>(注 1)</p><p> 北脇、久永、山本、岡野、江森、2016.1 無色系メレサイズ HPHT 法合成ダイヤモンド CGL 通信 No.30 </p><p>古屋正貴 2015.12 合成ダイヤモンド アップデ イト Gem Information W.Soonthorntikul P.Siritheerakul 2015summer Near-Colorless Melee Sized HPHT Synthetic Diamonds Identified in GIA Laboratory Gems&Gemology </p><p>(注 2) </p><p>宝石鑑別団体協議会(AGL)の規約により、合成ダイヤモンドのグレーディングはおこなわない</p>
著者
志田 淳子 北脇 裕士 アブドレイム アヒマディジャン
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.13-23, 2004
参考文献数
8
被引用文献数
1

In the latter half of 2001, sapphire showing intense orange-pink hue came out in the jewellery market. It was expected that the colour was induced by the so-called "surface diffusion" at first because of its curious colour distribution. In order to make the origin of the colour, we have investigated morphology of sapphire using laser tomography and SEM, analysis of elements by EDRXF, SIMS, LA-ICP, XPS and so on, and confirmed that the sapphires contains Be diffused from external source such as chrysoberyl with heat treatment.
著者
梅田 巌 飯田 孝一
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.3-11, 1990

宝石用ダイヤモンドに、研究用原子炉または電子線線型加速器を用いて放射線照射処理を行い、人工的に着色させた。また熱処理も行って変色させ、一つひとつの石の処理前後の変化を自記分光光度計で測定した。用いたダイヤモンドは、天然ダイヤモンドのカットストーンと結晶原石が主で、一部に透明度の低い黄色い合成結晶ダイヤモンドの原石を含めた。放射線照射処理および熱処理の良い条件の下に、無色の天然ダイヤモンドを、青色から緑色、レモンイエローからゴールデンイエローの美しいファンシーカラーダイヤモンドに人工着色することができた。
著者
砂川 一郎
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.55-60, 1982

Nambulite, LiNaMn_8Si_<10>O_<28>(OH)_2, and sugilite, (K, Na) C(H_2O), Na]_2 (Fe^<3+>, Na, Ti, Fe^<2+>)_2 (Li, Al, Fe^<3+>)_3 Si_<12>O_<30>, are two new minerals found and described for the first time in Japan. At the time of findings of the two minerals, no body imagined that these could be gem materials. But, recently, two minerals of gem quality have been found in Africa. Nambulite found at Kombat, Tsumeb, Nambia is deep red in colour and transparent, attaining 3cm in length, and cuttable as facet stones. Sugilite found in Wessels mine, Karahali manganese field, Cape Province, South Africa is violet in colour, and translucent, beautiful enough for cabochon cutting. This was at first reported as sogdianite, but later was identified as sugilite. Both are most unusual cases for new minerals found in Japan, and thus are introduced in this paper.