著者
丸山 恵理 佐藤 実 小松 博史 澁谷 斉 清水 力
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.55-63, 2016-01-25 (Released:2016-03-10)
参考文献数
19

症例は65歳男性。2011年5月特発性心室細動の診断で植込み型除細動器(ICD)を装着し社会復帰。2012年9月自宅で突然意識消失,10数秒後に意識回復するも,ICD植込み後初の意識消失であったため入院。12誘導ホルター心電図により心室細動とICDの作動が確認された。心室細動のトリガーとなる心室期外収縮は左脚ブロック上方軸であり,このことから起源を右室下壁と推定し,アブレーションを施行した。さらに治療前後に12誘導ホルター心電図で認めた心室期外収縮について連結期と先行RR時間によるプロット解析を試みた。治療前後で回帰直線を比較すると勾配が明らかに異なり,治療効果の判定に有効であることが判明した。また,連結期/先行RR時間比を時間軸に並べることにより次の事が明らかとなった。本症例の心室細動発症前2時間には,さらにその前2時間と,心室細動発症後2時間に比較して,先行RR時間が有意に長く,かつ,連結期/先行RR時間比が有意に小さい心室期外収縮が繰り返されていた。先行RR時間の延長により再分極相に不安定要素が生じ,次の連結期/先行RR時間比が小さいことにより受攻期への刺激が続き,受攻性が高まり,心室細動発症に至ったのではないかという発症機序を推察した。更なる症例の集積と解析が望まれる。
著者
石渡 康弘 伊藤 有美 小松 博
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.83, no.746, pp.647-657, 2018 (Released:2018-04-30)
参考文献数
13

Since people's awareness about the importance of energy conservation and recycling of materials has increased in recent years, various projects to build a recycling society have been initiated. In the field of architecture also, we are faced with the need to recycle resources and reduce environmental impact, by taking actions to utilize renewable resources. Therefore, we have directed our attention to the recycling of aluminum and wooden materials as renewable resources from the viewpoint of solving global environment issues. With this background, this paper proposes a composite structural column made of two different materials, aluminum and wood, in which wood is introduced into the aluminum box sectional member. Since aluminum material requires a step of anodized aluminum welding, it has been thought that utilization as a structural member was unlikely to spread. However, since the approach proposed in this paper does not necessitate such welding, this opens the possibility of using joint hardware pieces such as screws and bolts in the same manner as used when jointing construction members in steel structure construction and the timber frame method. Furthermore, with the use of a composite structural column as proposed by this paper, we conclude that the different materials of the composite structural column can make up for the drawbacks of each material, for example, controlling variations in bearing force in the timber and preventing local buckling in the aluminum. Through this study, we plan to verify, with loading tests, whether such a composite structural column which is made of an aluminum box section with a wood member inside, is actually applicable to utilization in the field, and from the test results obtained, to introduce a formula for evaluating bearing force to identify the characteristics and values in use for the composite structural column. We compared the characteristics of bending, shearing and compression of three specimens of an aluminum box section, a simple wood column and an aluminum-wood composite structural column, using pure bending tests, shearing tests, short column compression tests, and bending-buckling tests. By doing various experiments, we aimed to determine the structural characteristics of the composite structural column through comparison with the characteristics of a simple wood column to identify prospective application fields. From the results of the experiments, we determined the structural characteristics of a composite structural column which is composed of an aluminum box section with wood inside, and proposed a related bearing force evaluation formula. In comparing the composite structural column specimen with a simple wood specimen and a specimen of aluminum box section, we confirmed that the composite structural column has improved mechanical characteristics such as bearing force and deformation performance. This composite structural column was verified to have a sufficient performance for practical application in the field.
著者
白井 慎一 水戸 泰紀 小松 博史 矢部 一郎 佐々木 秀直
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.408-412, 2011
被引用文献数
1

症例は17歳女性,既往に特記すべきことなし.2009年8月中旬,突然の右片麻痺が出現し,救急搬送された.初診時,中等度構音障害と右片麻痺あり,NIHSSスコアは11であった.MRI拡散強調画像で左レンズ核部に高信号域を,MRAにて左MCAのM1近位部の途絶を認めた.最終未発症確認時間後2時間52分にrt-PA療法を施行.使用直前のNIHSSスコアは12であったが,90分後には0に改善し,静注120分後のMRAで左M1再開通を確認した.第7病日に経食道心エコーで二次口欠損型の心房中隔欠損症を認め,発症1カ月後に開胸下で閉鎖術を施行した.その後,軽度の右上肢筋力低下を認めるのみで,日常生活動作は自立し,学業に復帰した.未成年発症例におけるrt-PA療法は報告症例数が少ないが,本例のように血栓溶解療法が奏功する場合もあるので,未成年発症例においてもrt-PA療法を治療の選択肢として考慮すべきである.
著者
南條 沙也香 矢崎 純子 松田 泰典 小松 博
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成29年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.26, 2017 (Released:2017-06-30)

真珠は、主に炭酸カルシウムとタンパク質からなる多層薄膜構造である。文化財において古墳から出土した真珠は白濁化しており、タンパク質が分解などにより大部分が消失した結果との報告がある(1987 年、「鳥浜貝塚」調査報告)。このことはタンパク質が保存環境により変質する場合があることを示し、タンパク質シートが真珠の結晶層の維持に重要な役割を果たしていると考えられる。現在流通している真珠は加工されているものが多く、その工程の中に行われる溶液に浸漬、加熱乾燥などで真珠層内部の有機物を多く含む稜柱層などの脆弱な箇所から、層われ、ヒビ、剥離などの劣化が起こる場合もある。さらにこれらの劣化現象は保管時の温湿度変化などでさらに顕在化する。これらの真珠の欠陥は真珠の品質に大きく関係しているため、流通の際には注意する必要がある。今回はこれらの劣化現象のうち加工キズの劣化現象について、見え方、構造、原因などで体系化することを目的とした。特に加工キズの中のひびについて断面の構造を観察し、その成因について考察した。また、温度サイクルによる加速実験を行い、どのように顕在化するかを検証した。
著者
小松 博史 天谷 英理子 清水 芳隆 高田 洋 中原 哲朗 岩崎 康
出版者
The Japanese Society for Pediatric Nephrology
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.43-48, 1996

経カテーテル動脈塞栓術 (TAE) により,保存的治療に成功した仮性動脈瘤をともなった腎裂傷の1小児例を報告した。患児は10歳の女児で,一輪車で転倒し腹部を打撲し,腹痛・嘔吐を主訴に当科へ入院した。腹部CT・腎動脈造影では,右腎前下内側部が断裂し,同部から前下方にかけ一部傍腎腔に及ぶ巨大血腫・尿腫を認め,その断裂腎組織への腎動脈分枝途中に仮性動脈瘤の形成を認めた。また,腎盂・腎杯の損傷も合併していた。仮性動脈瘤部位へのコイル塞栓およびその末梢へのゼラチンスポンジでの塞栓術を施行し,約4カ月後には血腫ないし尿腫の縮小を認めた。尿路系もほぼ完全に修復し,高血圧などの合併症も認めていない。腎は腹部臓器の中では最も外傷を受けやすく,特に小児では筋肉組織・後腹膜による保護が弱いことや,位置が低く胸郭の囲みが十分でないことからとくに注意を要する。その治療に関しては,軽傷例では保存的に,重症例では外科的に治療されるが,腎裂傷では治療の選択は意見が分かれている。TAEは,主な出血源が特定できる,尿路系の保存的修復が期待できる,あるいは仮性動脈瘤の形成を認める場合などに有効な治療法と考えられた。<br> 腎は解剖学的には後腹膜腔内にあり,筋膜や腎周囲脂肪組織に包まれ,下位肋骨,脊椎骨,腰筋群,腹腔内諸臓器に保護され,比較的外傷は受けにくい位置に存在する臓器である。しかし,腎動静脈によって腎茎部で固定されているため減速型の損傷に弱く,また,小児では,(1) 成人に比べ腹部における腎臓の容積が相対的に大きいこと,(2) 腎周囲の脂肪組織,腹壁の筋層や後腹膜が未発達で保護が弱いこと,(3) 腎の位置が比較的低く胸郭の囲みが十分でないこと,(4) 胎生期の分葉構造がしばしば残存しているため,分葉に一致して裂けやすいこと,などから外傷を受けやすく,特に異常腎は外傷を受けやすい<sup>1)~6)</sup>。その治療に関しては,軽傷例では保存的に,腎破裂・腎茎部損傷などの重症例では外科的に治療されることが多いが,腎断裂症では保存的治療か外科的治療かの選択は意見が分かれている<sup>5)~9)12)</sup>。今回,我々は転倒事故による腎裂傷に対して,経カテーテル動脈塞栓術 (Transcatheter arterial embolization,TAE) により,保存的治療に成功した1例を経験したので文献的考察を加え,報告する。
著者
小松 博
出版者
成城大学
雑誌
教養論集 (ISSN:03898075)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-32, 1992-07