著者
阿久津 洋巳 AKUTSU Hiromi
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 = The Journal of the Clinical Research Center for Child Development and Educational Practices (ISSN:24329231)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.61-70, 2017-03-31

本論文は入学試験に使われる小論文の採点時の集計方法を検討した。小論文テストでは,採点者間の得点(素点)の分散が評価の公平性に影響する。この問題の解決方法は素点をz変換して分散を調整することにあるが,素点の平均と分散調整済み得点の平均の違いを明らかにするために数値シミュレーションを使いた。さらに現実場面に近い条件で,素点の分散の違いが順位に及ぼす影響を推測した。これらの例示を通して,素点をz変換する方法がもつ利点を明確にした。
著者
森山 貴史 佐々木 全 MORIYAMA Takashi SASAKI Zen
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 = The Journal of the Clinical Research Center for Child Development and Educational Practices (ISSN:24329231)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.21-29, 2018-03-31

個別の指導計画の作成要領及び作成支援の方法として,「後方視的対話」がある.これは,教師が自らの実践を振り返り,自らの意図や児童生徒の活動の様子などを対話と協働をもって想起し,明示化するものである.また「後方視的対話」は個別の指導計画の作成という実務に資する他にも,個別の指導計画の作成に不慣れな,あるいは初学者に対する On the Job Training またはOff the Job Training(実務場面を離れて行う研修)として,他の活用事例が示されており,その活用においては汎用性が期待される.本稿では,「後方視的対話」の活用事例として,日常の指導記録への活用事例と,指導内容の振り返りによる自己研修への活用事例の二つを報告した.これらは,自己内対話による実施であり「後方視的対話」の新たな実施形態のレパートリーであるといえた.
著者
佐々木 全 SASAKI Zen
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 = The Journal of the Clinical Research Center for Child Development and Educational Practices (ISSN:24329231)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-10, 2018-03-31

本稿では、発達障害のある児者を対象としたタグラグビーの活動における支援方法に関して,実践場面で開発された具体的な内容とその効果の一端を明らかにすることを目的とした。 そのために本活動の活動実施記録を収集した。ここから参加者の活動の様子と支援の意図や支援の効果の記述を照合し支援方法として抽出し,逸話として記述した。また、ここでは支援方法としてのゲーム全体の流れ(「ゲームプラン」)とその中にある局面における戦術(「局面的戦術」)に着目し、ある参加者を事例としてその逸話を報告した。 戦術をもって支援したことによって参加者のプレーの習熟があった。このことは,タグラグビーの文脈に即した支援の形式であり,障害特性に基づく支援というよりも,参加者のプレーヤーとしての適性や志向,そして心的過程に基づく「ナチュラルサポート」といえた。今後,支援方法の効果について,多角的に検証される必要がある。