著者
池田 純起 柴田 智広 池田 和司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.298, pp.21-26, 2012-11-09

これまでの先行研究において,音読時と黙読時における脳活動の空間的分布がfMRIを用いて調べられた.そして,音読時と黙読時に活動する皮質領野はほぼ一致することが明らかとなっている.しかし,これらの皮質領野が音読時と黙読時に同じ機能を果たしているかどうかは曖昧であり,明らかとなっていない.この理由として,これまでの先行研究では,脳活動の空間的分布を調べることを中心としており,音読時と黙読時の皮質領野におけるボクセルパターンの違いを評価してこなかったことが考えられる.本研究では,fMRIを用いて,日本語音節の音読時と黙読時の皮質領野の機能類似性を調査した.機能の類似性を評価する方法として,ボクセルパターン同士の線形相関を計算した.この結果,音読時と黙読時に活動する皮質領野において,ボクセルパターンに類似性が存在することが示唆された.
著者
山崎 駆 酒井 義史 梶原 拓己 柴田 智広
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.881-884, 2023 (Released:2023-12-21)
参考文献数
19

In Japan, the shortage of caregivers due to the aging of the population is a serious issue and the demand for care robots is increasing. Changing and wiping, which is one of the main care tasks, is still not sufficiently skilled and is often carried out by carers alone. Against this background, we are developing a dressing assistance robot system. However, the task of picking hangers from the hanger rack was a bottleneck in our dressing assistance robot system. Therefore, we developed a hanger recognition method based on active object recognition for implementation in a dressing assistance robot system and improved the recognition accuracy. In this paper, the usefulness of a recognition method using active object recognition in the hanger recognition task is evaluated through experiments and future prospects for integration into a dressing assistance system are described.
著者
柴田 智広
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.335-336, 1996-04-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1
著者
為井 智也 柴田 智広 石井 信
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.82(2005-MUS-061), pp.47-52, 2005-08-05

ピアノ演奏で重要と言われる「脱力した」奏法と「力んだ」奏法の比較を、示指の3関節を用いた打鍵動作を対象に行う。本目的のため、示指の関節角度、筋電位、鍵盤の変位を同時に記録することの出来る計測システムを開発した。予備的な実験の結果、脱力した場合と力んだ場合では筋電のパターンに違いが認められ、その結果として鍵盤の挙動にも違いが現れることを示す。特に指が離鍵する際の仲筋の活性度と離鍵速度に強い相関が見られた。得られた結果から、今回開発した計測システムを用いることによって演奏者の熟達度を評価する手法となり得ることが期待される。
著者
柴田 智広
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.607-615, 2016-12-01 (Released:2016-12-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1

高齢化の進展により介護現場での人材不足が懸念される中,介護予防(要介護者の増加の抑制)や要介護者の生活支援サービスなどの分野ではロボット技術の活用が喫緊の課題となっており,国主導での研究開発が盛んに進められてきた。しかし,ロボット技術の社会実装にあたっては,安全性,コストとともに,要介護者一人ひとり異なる認知能力や身体的特性にどのように適応させるかが大きな課題となっている。本稿では,ロボット介護機器やITによる介護支援や介護予防サービスの現状を概観するとともに,筆者の研究グループによる低コストな装置(KinectやWii Balance Board)を応用した姿勢維持のリハビリテーション支援や,強化学習理論を応用した着衣介助ロボットおよびダーツ投てき運動学習支援の研究を取り上げ,現状の課題および今後の見通しを示す。
著者
中村 彰宏 大林 千尋 柴田 智広
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.10, pp.1-6, 2011-05-06

我々は,自動掃除機 TMRoomba とのダンスを通じて部屋を掃除する社交ダンスシステムを提案する.本システムは,実時間で深度情報を得られるマイクロソフト社の TMKinect とオープンソースライブラリ OpenNI を用いて人間の動作を認識し,それに応じて Roomba の動作を制御する.制御に必要な Roomba の位置・姿勢は ARToolkit のマーカーを用いて計測する.動作として社交ダンスを採用することで,Roomba での掃除にエンターテイメント性を付加する.社交ダンスの振付は,パートナとの位置関係と男性の動作で示されるリードによって決定されるため,ユーザーがリードに関する知識を持つことで,Roomba をパートナーとしたダンスによる掃除が可能となる.本稿では,まずシステム構成及びダンス認識による掃除制御アルゴリズムを述べ,次に予備的な実験結果によりシステムの有効性を示す.This paper proposes a novel and entertaining room cleaning system using TMRoomba. In this system, a Roomba is controlled by its user through a ballroom dance, Rumba. The user's motion is captured by Microsoft's TMKinect, analyzed by OpenNI, and recognized as a dance partner's motion which leads the Roomba's motion, as a lady's motion. The position and the posture of the Roomba is measured by ARToolkit using a marker attached on the Roomba. This paper first presents the system overview, and then describes the algorithms for dance recognition and Roomba control. We demonstrate the feasibility of the proposed system with a preliminary result, and finally perspectives on this study are mentioned
著者
橋本 敬 稲邑 哲也 柴田 智広 瀬名 秀明
出版者
日本ロボット学会
雑誌
ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.407-412, 2010-05-15

社会的生物であるヒトが持つ社会的知能とはどのようなものか,それはいかにしてできたかという問いは,人間や生命の謎に挑む新しい総合科学である「ロボティック・サイエンス」の中でも最重要な問いの一つである.すでに,この問いを追求する科学として社会的知能発生学(sociointelligenesis)の研究が進められている.社会的知能発生学の目標は,社会的知能を理解したい,社会的知能をそれ自体だけではなくその発生から理解し,究極的には社会的知能発生学の理論を作るということである.また,社会的知能を持った人工物のデザインと実装は,目標の一つでもあり,理解へ至る手段としても用いられる.すなわち,社会的知能発生学では,構成を通した理解である構成論的アプローチが重要な位置を占める.この構成論的な社会的知能理解を推し進めるため,近年,SIGVerseという新たなシミュレーション・プラットフォームを開発する動きがある.本稿では,このSIGVerse を科学の方法に位置づけるための議論を行う.以下では,社会的知能発生学を,ひいては,ロボティック・サイエンスを「科学」として確立するため,科学の考え方について知識進化プロセスの視点からまとめる.その上で,リアリスティック・シミュレーションと構成論的シミュレーションという2 タイプのシミュレーションを対比させることを通して,構成論的アプローチを科学的知識進化の中に位置づける.続いて,社会的知能発生シミュレータSIGVerse を紹介し,SIGVerse が社会的知能発生学という「科学」の進展にどのような役割を担うのかを論ずる.
著者
柴田 智広 為井 智也 岡田 洋平 和田 佳郎 小町 守
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

Assist-As-Needed原理に基づいた強化学習エージェントが個人適応的にヒトの運動学習を支援することにより,その運動学習を促進可能であることを科学的に示した.また姿勢異常を呈する疾患を持つ症例のための姿勢評価,フィードバックトレーニングシステムを開発し,めまい平衡系疾患およびパーキンソン病を対象に姿勢リハビリテーションに関する医工連携を進め,後者については,在宅における姿勢リハビリテーションの実施可能性および即時効果を確認した.
著者
岡平 正照 柴田 智広 池田 和司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, 2011-02-28

移動しつつセンサデータから周囲の地図を自動生成することは,自律移動ロボット研究の非常に重要な課題の一つである.既存の研究では,推定した自己位置と地図の不確かさをコスト関数として定義し,その事後分布を最小化する移動命令を逐次算出しながら地図を作成する方法が提案された.しかし,既存手法ではランドマークを点(座標)として定義していたため,ランドマークがサイズを持ちロボットにとって障害物となる環境には適応できなかった.そこで本稿では,コスト関数にランドマークのサイズを反映させることで,ランドマークが障害物となる環境においてその回避を考慮した経路計画を行う手法を提案し,シミュレーション実験によりその有効性を確認する.
著者
中村 彰宏 大林 千尋 柴田 智広
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.38, pp.51-56, 2011-05-06

我々は,自動掃除機^<TM>Roombaとのダンスを通じて部屋を掃除する社交ダンスシステムを提案する.本システムは,実時間で深度情報を得られるマイクロソフト社の^<TM>KinectとオープンソースライブラリOpenNIを用いて人間の動作を認識し,それに応じてRoombaの動作を制御する.制御に必要なRoombaの位置・姿勢はARToolkitのマーカーを用いて計測する.動作として社交ダンスを採用することで,Roombaでの掃除にエンターテイメント性を付加する.社交ダンスの振付は,パートナとの位置関係と男性の動作で示されるリードによって決定されるため,ユーザーがリードに関する知識を持つことで,Roombaをパートナーとしたダンスによる掃除が可能となる.本稿では,まずシステム構成及びダンス認識による掃除制御アルゴリズムを述べ,次に予備的な実験結果によりシステムの有効性を示す.
著者
藤居 宏平 柴田 智広 小林 亮太 北野 勝則 西川 郁子 池田 和司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.295, pp.31-36, 2010-11-11
参考文献数
13

本研究の目的は,四肢を用いたドラム演奏時における熟達者-非熟達者間の脳活動を比較することである.このように全身を用いた運動時の脳活動を非侵襲に計測するため,近赤外分光法(Near-infrared spectroscopy; MRS)を用いた.演奏課題としては,非熟達者にとっては演奏が容易でないが,熟達者にとっては容易である一小節のドラムパターンを用いた難課題と,いずれの被験者にとっても演奏が容易な一小節のドラムパターンを用いた易課題の2種類を用意した.解析の結果,熟達者では主に難易度が高いと前頭葉付近の活動が低下するのに対し,非熟達者では前頭葉付近や頭頂葉付近で活動が増加することが観測された.
著者
琴坂 信哉 柴田 智広 川人 光男
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.204-208, 2000

近年の脳神経系研究の進歩により,様々な脳神経系の持つ機能や役割が明らかになりつつある.しかしながら,単に一つの神経や器官の働きの解明を積み重ねるだけでは,その機能の全貌が把握できるわけではないことも理解されてきている.脳神経系の持つ学習や言語能力といった高次脳機能の仕組みを理解するためには,計算論的な立場からの研究を欠くことができない.著者らのプロジェクトでは,この考え方に基づき,モデルに基づく神経生理学的側面からの研究,非侵襲脳活動計測に基づく学習メカニズムの研究などと共に,ヒューマノイドロボットの開発,および運動学習や運動生成に関する研究への応用を行っている.本プロジェクトで開発したヒューマノイドロボットの紹介と,最新の研究トピックスに関して紹介する.