著者
古崎 晃司 山縣 友紀 国府 裕子 今井 健 大江 和彦 溝口 理一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.396-405, 2014-07-01 (Released:2014-06-18)
参考文献数
23
被引用文献数
5 2

Publishing open data as linked data is a significant trend in not only the Semantic Web community but also other domains such as life science, government, media, geographic research and publication. One feature of linked data is the instance-centric approach, which assumes that considerable linked instances can result in valuable knowledge. In the context of linked data, ontologies offer a common vocabulary and schema for RDF graphs. However, from an ontological engineering viewpoint, some ontologies offer systematized knowledge, developed under close cooperation between domain experts and ontology engineers. Such ontologies could be a valuable knowledge base for advanced information systems. Although ontologies in RDF formats using OWL or RDF(S) can be published as linked data, it is not always convenient to use other applications because of the complicated graph structures. Consequently, this paper discusses RDF data models for publishing ontologies as linked data. As a case study, we focus on a disease ontology in which diseases are defined as causal chains.
著者
永島 里美 大江 和彦
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.205-216, 2020-04-20 (Released:2021-04-26)
参考文献数
17

医薬品には,目的別に様々なコード体系が存在し,医療機関ではその利用目的によって異なるコードを使用する必要があるため,一つのシステムの中で複数のコードを関連付けて管理する必要が生じている.その際,どのような場面でどのコードを使用するべきか,また各コードの関係について理解しておくことは,医療情報システムにおける医薬品情報の標準化を推進する上でも,また複数のコードを現場で効率的に管理しつづけていく上でも大変重要である. そこで,本論文では,主な医薬品コード体系と相互関係について現状を調査し,考察すると共に,複数の医薬品コードを効率的かつ効果的に管理し運用していくための医薬品コード関連マスターのあり方としてGS1バーコードを基準とした新しい対応マスター「GS1基準医薬品コード統合共通マスター」[G-DUSマスター(ジーダスマスター)]を提案し,その活用について解説する.
著者
康永 秀生 井出 博生 今村 知明 大江 和彦
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.40-50, 2006 (Released:2014-07-08)
参考文献数
55
被引用文献数
14

アンケート調査の方法として,従来から郵送調査法・面接調査法などが汎用されている。インターネット調査法の医学研究への適用は,その有用性や妥当性についていまだ評価が確立していない。今回,2005年 4 月現在までに報告された,インターネット・アンケートを利用した邦文医学研究論文36編をレビューした。インターネット調査法を用いた原著論文の絶対数は,近年若干の増加傾向を認めるものの依然として少ない。アレルギー疾患(アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎,蕁麻疹など)など,青壮年層の患者数が多い疾患を対象とした研究が比較的多い。従来法と比較して,インターネット調査法の利点として,(1)調査者・回答者双方の利便性が高い,(2)データ回収が迅速である,点が挙げられる。欠点として,(1)利用者の年齢層が偏っている,(2)モニター登録という有意抽出法が採用されるため,無作為抽出法と比較して標本誤差が発生しうる,点が挙げられる。しかしながら,近年のインターネットの爆発的な普及拡大によって,利用者の年齢層の偏りは解消されていくことが期待される。高齢者層にもアンケート対象が拡大すれば,より多くの疾病について研究が可能となる。インターネット調査法の利点を考慮すれば,今後は社会医学・臨床医学研究における有力なツールのひとつになりうると考えられる。
著者
作花 健也 中山 浩太郎 木村 仁星 井上 大輝 山口 亮平 河添 悦昌 大江 和彦 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2N3J1302, 2019 (Released:2019-06-01)

医療画像は診断や治療に幅広く利用されているが,読影には高い専門性が必要である.胸部X線写真は患者の状況や重要な情報を把握するための方法として最も普及している方法の一つであり,緊急医療や健康診断など様々な場面で日々大量の撮影が行われている.この結果,専門家へ大きな負担が発生しており,その解決が求められていた.そのため近年,医療画像から自動で所見を生成する研究が行われている.しかしながら,所見には表記方法の揺らぎがあるためクラス分類問題として解くことが困難である. 本稿では,胸部X線写真から表記方法の揺らぎにも対応可能な文字単位での所見生成の手法を提案した.加えて,アテンション機構を用いることで結果の解釈性を高めた.結果として,位置情報を反映した所見生成ができていることを確認し,文字単位での所見生成の有用性を示した.
著者
大江 和彦
出版者
広島大学
雑誌
中等教育研究紀要 (ISSN:09167919)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.67-72, 2000-03-18

学習指導要領の改変に伴う授業時間数減少の中で, 教材の内容精選を効果的・合理的に行うことは, 地歴科だけではなく, どの教科においても課題であるといえる。この課題を克服するためには, 新たな視点からの教材開発が必要と考える。現代社会に生き, 未来を創造してゆく生徒に, 画一的でない, 柔軟性のある思考を可能にさせる授業づくりを課題とし, 日本歴史の既成的時代区分の批判的吟味を通じて, 日本史A前近代史における主題的学習の分野に絞り, 海の時代的役割からみた東アジア交流史の教材構成案を, 1つの視点として提示したい。
著者
大江 和彦
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.277-283, 2016-08-01 (Released:2016-08-01)
参考文献数
5

医療で発生する多種多様なデータをこれからの医療に生かすためには,まず医療データベース(DB)を構築し,次にそれを多角的に解析して,そこから得られる新しい医学的知見を医療に展開していくことが求められる。ビッグデータからの類似症例の病状探索やAIへのデータ活用,多施設医療ビッグデータの構築のためには,SS-MIX2標準化ストレージのような医療データの標準化されたデータ収集基盤の導入と,医療DBにおける匿名化手法の共通化が必要である。こうした基盤のうえに,PMDAのMID-NETデータベース事業が実施されている。また,学会などが主体となって疾患別の臨床症例登録DBも複数構築されつつあり,共通DBシステムとして多目的臨床症例登録データベースMCDRSが筆者らにより開発され活用されている。今後は生活圏データや個人ゲノムデータも情報源になり,さらに課題が複雑化するため,共通の基盤を整備していくことで効率化,質の高度化を図っていく必要がある。
著者
大江 和彦
出版者
広島大学附属福山中・高等学校
雑誌
中等教育研究紀要 /広島大学附属福山中・高等学校 (ISSN:09167919)
巻号頁・発行日
no.49, pp.205-216, 2009-03-20

中学校1年生は,歴史に関してどれほどの知識を持っているのか。これまで半年あまり授業を実施してみて,小学校段階の学習内容をある程度知ることができた。手っ取り早くいえば,年代や事項の丸暗記に徹しているのである。歴史に興味がある生徒は,自分からすすんで図書室の小説や漫画などの本を借りるなどしてそれなりの知識を身につけているが,それ以外の生徒は必要最低限の知識しか持たない。1192年に鎌倉幕府が成立したことを,「いいくにつくろう鎌倉幕府」と語呂合わせで覚えているに過ぎないのである。この現実をふまえた上で,中学校段階の歴史学習を展開するためには,生徒に「歴史を知っている」ことは「歴史を理解している」ということではないことを改めて認識させる必要がある。そのためには,1)論理的に物事が説明できること,2)具体的な資料に基づいて科学的な思考ができることが必要であると考える。具体的資料をどう解釈し,どう論理を組み立てていくと誰もが納得できる説明ができるのか,これができることが「歴史を理解する」という事になる。今回の授業構成案では,具体的な事象の分析を元に情報を入手し,「必然の論理」のモデルを学ぶことができる授業を提示することを目指した。
著者
大江 和彦
出版者
広島大学附属福山中・高等学校
雑誌
中等教育研究紀要 /広島大学附属福山中・高等学校 (ISSN:09167919)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.103-110, 2007-03-20

いわゆる「忠臣蔵」の話は,1701年の3月14日の江戸城松の廊下における刃傷事件に端を発し,1702年12月14日,江戸本所の吉良邸に赤穂浪士が討ち入り,吉良上野介義央の首を取ったという現実に起こった一連の事件を題材とした創作脚本である。戦乱という戦乱のない当時の社会では,まさに世を揺るがす大事件であった。当時より現在に至るまで,さまざまに脚色されながら,浄瑠璃・歌舞伎・映画・テレビドラマなどによって,多くの人々が見聞きした事件であり,過去から現在にかけて,民衆に大人気の脚本となった。まさに水戸黄門に勝るとも劣らない典型的な勧善懲悪のストーリーとなっている。しかし,この事件の時代背景や武士としての生き方を考慮に入れて別の面からこの事件を捉え直してみると,歴史理解における非常に重要な論理に気づくことができる。本論文では,将軍に真っ向から勝負を挑んだ赤穂浪士の死を主題とし,文治政治の時代における為政者としての武士のあり方を論理的に解明する。
著者
大江 和彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.203-212, 2010 (Released:2010-07-01)
被引用文献数
2 2

国のIT戦略のひとつとして医療情報における標準化が推進されてきた。医療において病名情報は重要であり,病名情報をITにより正確に取り扱うためには,同じ病名にはただひとつの用語を割り当てるという標準化とともに,コンピュータで確実に処理できるように一つのユニークなコードを割り当て流通させる必要がある。標準病名マスターはこの目的で開発されたものである。用語の標準化は日本医学会の用語管理委員会で行われており,コードの割り当ては著者らの委員会が作業を行い,社会保険診療報酬支払基金と医療情報システム開発センターとからマスターコード表として2002年6月からリリースされている。メインテナンスは年に4回実施され,要望にもとづき追加,修正が行われており,用語総数は約22,000語,修飾語が約2,000語となっている。臨床で必要とされる病名情報には,医薬品適応症のようなレセプト請求時に必要となるものもあり,これらを網羅したマスターを作成することは技術的にも困難である。今後は,専門領域の概念の関係データベースであるオントロジーを構築し,それを活用した新しい枠組みが必要になるであろう。
著者
井上 大輝 木村 仁星 中山 浩太郎 作花 健也 Rahman Abdul 中島 愛 Patrick Radkohl 岩井 聡 河添 悦昌 大江 和彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1H3J1302, 2019 (Released:2019-06-01)

深層学習を活用した胸部 X 線写真の自動診断は現在盛んに研究されている.診断精度を改善するためには,異常と疑われる局所画像を抽出し,深層学習ネットワークの入力とするかが重要である.そこで本研究では,「診断時に医師が凝視している領域を異常と疑われる局所画像として抽出できるのではないか」 という仮説を立てた上で,視線データを基に抽出された局所画像を入力とする深層学習モデルを構築した.その結果,視線データを使用しない場合,または医師訓練を受けていない被験者の視線データを使用した場合に比べて,医師の視線データを使用した場合により高い精度が認められ,視線データの有用性を示した.
著者
三谷 知広 土井 俊祐 横田 慎一郎 今井 健 大江 和彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2N3J1303, 2019 (Released:2019-06-01)

誤った患者からの採血は再検査や誤診などの原因となり,提出された検体の0.1%〜0.3%に発生すると言われている.検体検査結果のチェック機構としては、各項目が前回値とどの程度変化したかを比較するデルタチェックと呼ばれる手法が広く用いられているが,その精度は十分とは言えない.当院における実際の採血結果から人工的な取り違えデータを作成し,主に前回値との差を特徴量として機械学習モデルによる取り違えの検出システムを構築した.デルタチェックによるROC AUCは0.9408であったのに対し,XGBoostによる最終モデルにおけるROC AUCは0.9986であった.
著者
渡部 恵 杉浦 宗敏 清野 敏一 光永 義治 中村 均 山田 安彦 土屋 文人 大江 和彦 伊賀 立二
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 = Journal of the Pharmaceutical Society of Japan (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.10, pp.841-847, 2002-10-01
参考文献数
4
被引用文献数
4 4

In the computerized prescription order entry system, it has been pointed out that a physician's input mischoice for medicine is one of the causes of medication errors. We therefore investigated the input mischoices by physicians at the time of writing prescriptions. Subsequently, the number of input characters in a prescription order was changed to three characters from two characters. Furthermore, 105 items of high-alert medications, which are likely to result in injury if errors occur, were established. A warning screen display system that requests reconfirmation of the effect, name, usage, and dosage of those medicines was also built. It was found that 70% of input mistakes were caused by choosing the medicine displayed immediately above or below the desired drug. By changing the number of input characters of a prescription order to three characters from two characters, the rate of specification of a trademark improved sharply from 36% to 85%. Consequently, the rate of choice of a drug with another trademark decreased significantly from 0.028% to 0.0047%. In 5% of cases when the warning screen was displayed for a high-alert medicine, the prescription was stopped, and 25% were changed to other medicines. The above results show that the system that requires the input of three or more characters for the physician order entry and displays a warning screen for high-alert medicines is useful in preventing mischoices at the time of prescription input.<br>
著者
大江 和彦
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.277-283, 2016

<p>医療で発生する多種多様なデータをこれからの医療に生かすためには,まず医療データベース(DB)を構築し,次にそれを多角的に解析して,そこから得られる新しい医学的知見を医療に展開していくことが求められる。ビッグデータからの類似症例の病状探索やAIへのデータ活用,多施設医療ビッグデータの構築のためには,SS-MIX2標準化ストレージのような医療データの標準化されたデータ収集基盤の導入と,医療DBにおける匿名化手法の共通化が必要である。こうした基盤のうえに,PMDAのMID-NETデータベース事業が実施されている。また,学会などが主体となって疾患別の臨床症例登録DBも複数構築されつつあり,共通DBシステムとして多目的臨床症例登録データベースMCDRSが筆者らにより開発され活用されている。今後は生活圏データや個人ゲノムデータも情報源になり,さらに課題が複雑化するため,共通の基盤を整備していくことで効率化,質の高度化を図っていく必要がある。</p>
著者
山縣 友紀 古崎 晃司 今井 健 大江 和彦 溝口 理一郎
出版者
The Japanese Society for Artificial Intelligence
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
2016

Linked Data is a promising technology for knowledge integration on the web. Many research groups have developed ontologies and terminologies, and recently, they have published a wide variety of Linked Data in the biomedical domain. We have systematized an ontology of abnormal states in the definition of diseases. For effective use of existing biomedical data, one of the difficulties is a conceptual discrepancy rather than a superficial one since data are heterogeneous. This article focuses on knowledge integration with Linked Data in terms of abnormal states. First, we discuss ontological issues of reusing and integrating knowledge of abnormal states in existing biomedical resources. Next, we introduce our ontology of abnormal states. By using our ontology and making explicit the meaning of each concept, we show a solution for the integration. Then, applying a Linked Data technology, we introduce a prototype system to link our ontology as a hub of existing resources across species. In cooperation with disease ontology, we demonstrate finding commonality of causal relationships of abnormal states between diseases across clinical departments. Our approach will bring benefits to fill the gap between basic research and clinical medicine, and contribute to disease knowledge integration of good practice.