- 著者
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康永 秀生
井出 博生
今村 知明
大江 和彦
- 出版者
- 日本公衆衛生学会
- 雑誌
- 日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.1, pp.40-50, 2006 (Released:2014-07-08)
- 参考文献数
- 55
- 被引用文献数
-
14
アンケート調査の方法として,従来から郵送調査法・面接調査法などが汎用されている。インターネット調査法の医学研究への適用は,その有用性や妥当性についていまだ評価が確立していない。今回,2005年 4 月現在までに報告された,インターネット・アンケートを利用した邦文医学研究論文36編をレビューした。インターネット調査法を用いた原著論文の絶対数は,近年若干の増加傾向を認めるものの依然として少ない。アレルギー疾患(アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎,蕁麻疹など)など,青壮年層の患者数が多い疾患を対象とした研究が比較的多い。従来法と比較して,インターネット調査法の利点として,(1)調査者・回答者双方の利便性が高い,(2)データ回収が迅速である,点が挙げられる。欠点として,(1)利用者の年齢層が偏っている,(2)モニター登録という有意抽出法が採用されるため,無作為抽出法と比較して標本誤差が発生しうる,点が挙げられる。しかしながら,近年のインターネットの爆発的な普及拡大によって,利用者の年齢層の偏りは解消されていくことが期待される。高齢者層にもアンケート対象が拡大すれば,より多くの疾病について研究が可能となる。インターネット調査法の利点を考慮すれば,今後は社会医学・臨床医学研究における有力なツールのひとつになりうると考えられる。