著者
縄田 浩志
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.228-228, 2008

1993年5月、シルック王国の首都ファショダを訪問し、新王クウォンゴ・ダク・パディエトとの対話がかなった。本発表の重要な目的とは、私また日本人そして世界の人びとに発せられたシルック王のメッセージを伝えることにある。
著者
青木 恵理子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

2015年7月5日に「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産として登録された。この遺産には、三井三池炭鉱、三菱端島炭鉱、三菱高島炭鉱など多くの炭鉱遺構が含まれている。本発表は、立て坑や繰り込み所など巨大施設に焦点をあてた世界遺産版のヘゲモニックな物語に、石炭人形など小さなモノたちに熱い望郷の念を託した「私たち」の物語が仕掛ける闘いとせめぎ合いを、集合的記憶という観点から考察する。
著者
児玉 香菜子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.233-233, 2008

「生態移民」は環境保全を目的とした中国政府による環境政策である。また、同時に脱貧困という目的も掲げられている。それにもかかわらず、「生態移民」には、政策の目的とは逆に、環境悪化と貧困化の危険性がある。中国黒河下流域に位置する内モンゴル自治区アラシャー盟エゼネ(額済納)旗を事例に「生態移民」の現状とそれによるモンゴル牧畜民の社会的・文化的変容を明らかにする。
著者
徐 玉子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.68-68, 2012

本発表は在韓米軍基地村の米兵専用のクラブで「エンターテイナー」として働くフィリピン移住女性たちの生活に密着した参与観察とインタビューに基づいて、よく国際人身売買の犠牲者として表象される彼女たちが移住先の性産業で遂行する労働をミクロなレベルで考察する。それによって、これまであまり議論されなかったセックスワークにおける感情労働について論ずると同時に、労働過程で発現されるエイジェンシーを浮き彫りにする。
著者
小林 宏至
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

中国では改革開放政策が打ち出され、それが広く人々に浸透していく1990年代まで、「聖地」の多くは「革命聖地」を意味していた。つまり共産党の愛国教育基地でもあった。だが近年、中国社会のなかで「聖地」の「再開発」が進んでいる。本発表で対象とするのは客家というエスニックグループの聖地である。行政主導により、少数民族でも宗教団体でもない客家というエスニックグループの「聖地」がつくられる意義を議論する。
著者
新本 万里子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.115-115, 2011

報告では、パプアニューギニア、アベラム社会の婚資の支払いと初潮儀礼における贈り物慣行を分析する。それにより、婚姻後の女性と兄弟との紐帯が弱まり、相対的に女性の位置は夫方親族の方へ引きつけられていると考えられることを示す。あわせて、姻族間の贈り物慣行によって妻方親族へ賠償されるべき身体構成要素(substance)が夫方親族へ留まる傾向が生じていることを示す。
著者
箭内 匡
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

原発被災とイメージの問題に関して、本発表では二つの作業を行う。第一の作業は、関連する様々なドキュメント(文字あるいは写真や動画映像によるもの)を検討しつつ、〈可視的なもの〉と〈不可視のもの〉の関係を、イメージ概念を軸にして考察することである。第二の作業は、本分科会の発表者の一人である武田直樹がつくば市で行ってきた、福島避難者支援のネットワークに関する映像記録資料について考察することである。
著者
上水流 久彦
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.248-248, 2008

現在、台湾東部と沖縄県の先島諸島の間は距離的には近いが、国境が存在するため、その往来はかなり不便である。だが近年、両地域間では交流が盛んに行われるようになってきており、チャーター便を利用した直行便もすでに飛んでいる。その基盤には国境を越えた同一生活圏像という発想が存在する。国境をまたぐ形での同一生活圏像の生成には、植民地時代の国境がなかった時の交易などの移動経験が深く関係している。
著者
山北 輝裕
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.48-48, 2011

現代日本の路上に留まる野宿者の包摂を見据えつつ、戦後「都市下層」の多様な現れを検討する。失対事業の労務管理員、70年代日雇労働者運動の活動家、現代野宿者支援・NPOなど都市下層と向き合ってきた他者に注目し、<アサイラム化>との共振と間隙を明らかにし、都市下層と他者の関係性の位相の変化を浮き彫りにする。
著者
内藤 直樹
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.45-45, 2011

本分科会の目的は、グローバリゼーションと社会的排除/包摂をめぐる諸問題の検討を通じて、これまでの国民国家が再編されるなかでの私たちの生のあり方の可能性を模索することである。そのために、社会的排除/包摂にかかわる諸実践が展開される様々な場がもつ空間性の位相を捉える枠組みとして、<アサイラム/アジール空間>という概念を提出する。
著者
相原 健志
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

本発表は、ブラジルの人類学者E. ヴィヴェイロス・デ・カストロの多自然主義に含まれる身体の存在論の含意と射程を析出することを試みる。その記述を辿ると、多自然主義の機制における存在者間の食人的関係は、スピノザ哲学に由来するコナトゥス概念において捉えられる。そしてコナトゥスは、食人のみならず、「翻訳」といった人類学者の実践をも、つまり他者と人類学者のあいだの差異を横断する力として思考されている。