- 著者
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劉 振業
- 出版者
- 日本文化人類学会
- 雑誌
- 日本文化人類学会研究大会発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.2018, 2018
本発表では、中国における麻雀の役割を考察する。具体的には調査地である中国広州市のX社区の星光老年の家での麻雀を詳細に描写することによって、賭博や互酬性による新たな社交の可能性を提示したいと考える。麻雀は遊びの一種として、中国においてはさまざまな場面で目にする。しかし、麻雀は常に賭博をはじめ、その中毒性による家族関係の悪化や社会生活の撹乱など、多様な負のイメージが認められる。発表者は、星光老年の家にて調査を続けてきたが、その中で観察される麻雀が、異なる形でプレイされていたのである。星光老年の家とは、中国民政部が2001年に高齢化の加速のために実施した星光計画によって、老人のためにサービスを提供する場として建てられたものである。元々実力と偶然を両方が勝利に必要な麻雀というゲームを、運という偶然の部分を強化して不確実性を好む傾向を強調する一方、ゲーム後に認められる不完全な互酬性によって不確実性がもたらす勝敗の不平等的な関係を短期間で修正し、調和関係に向かわせるという複雑な仕組みが、本発表の事例には見いだせる。