著者
福本 辰己 皆川 鉄雄 濱根 大輔
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2010年年会
巻号頁・発行日
pp.237, 2010 (Released:2011-04-06)

ブラウン鉱鉱床の脈石として、また、赤色石英片岩の主要構成鉱物として産する緑簾石族鉱物は紅簾石,紅簾石-Sr,マンガニ紅簾石-Sr,マンガニ紅簾石,緑簾石-Sr,緑簾石などを端成分とする複雑な固溶体を形成していると考えられる。本研究では四国三波川帯、秩父帯に分布するブラウン鉱鉱床、赤色石英片岩(いわゆる紅簾片岩)中に主要鉱物として産する緑簾石族鉱物の同定を目的に行った。
著者
宮島 宏 松原 聰 宮脇 律郎
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2010年年会
巻号頁・発行日
pp.74, 2010 (Released:2011-04-06)

新潟県糸魚川産のヒスイ輝石岩の研究の過程で,上記とは異なる産状のストロンチアン石が発見されたので報告する. ストロチアン石を含む岩石は青海川で転石として発見された.肉眼的には白色緻密半透明で,当初は細粒のヒスイ輝石岩と思われたが,ほとんどソーダ珪灰石からなる岩石であった.偏光顕微鏡と走査型電子顕微鏡では,ストロチアン石は最大長0.5mmの半自形~自形の長柱状~針状結晶の集合体で,集合体の形は不規則であり,母岩中に偏在している.結晶の伸長方向も一定ではなく,母岩の塊状のソーダ珪灰石に見られる脈の方向とも一致しない.また, ストロンチアン石は晶洞中や脈として産することが多いが,糸魚川産ストロンチアン石はそのいずれでもない. 試料が微細であるためガンドルフィカメラを用いてX線粉末回折データを得たところ,ストロンチアン石によく一致した. EDSによる化学分析の結果を,カチオン数が1となるように計算して得られた実験式は(Sr86.3 Ca13.4 Ba0.3)CO3となり,皆川(1995)の報告したものに近い組成を持つ.なお,母岩の大半を構成するソーダ珪灰石からはストロンチウムは検出されなかった. 糸魚川地方では,ヒスイ輝石岩,曹長岩,ロディン岩,コランダム岩などから多種多様なストロンチウム鉱物が発見されているが,ストロンチアン石のように一般に低圧で生成すると考えられているストロンチウム鉱物が発見されたのは初めてである.
著者
土谷 成輝 平島 崇男
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2010年年会
巻号頁・発行日
pp.171, 2010 (Released:2011-04-06)

三波川帯徳島県高越地域の藍閃石エクロジャイト(KT23)から三種類の組成累帯構造を示すザクロ石を見出した.タイプ1は細粒(直径約100μm)自形結晶で,Mn成分は釣鐘型組成累帯構造を示す.中心部にチリ状の包有物を多く含む.タイプ2は比較的粗粒(直径約1,000μm)自形結晶で,Mn成分は釣鐘型組成累帯構造を示す.Mnに富む中心部の包有物は主として石英であり,外縁部にのみオンファス輝石包有物が見られる.タイプ3は比較的粗粒(直径約1,000μm)他形結晶で,組成累帯構造はほとんど示さない.その組成はタイプ1及び2の外縁部とほぼ一致し,結晶全体にオンファス輝石包有物を含む.タイプ1と2は粒径が異なるにも関わらず組成累帯構造が相似型を示す.母岩は赤褐色層と濃緑色層の互層からなり,タイプ1は赤褐色層に,タイプ2と3は濃緑色層に存在する.上記のことから,藍閃石エクロジャイト(KT23)が累進変成作用を受ける過程で,比較的低温の時にタイプ1と2のザクロ石のMnに富む中心部が核形成し,エクロジャイト相の最盛期まで結晶成長が続いたが,タイプ3のザクロ石はエクロジャイト相の最盛期に核形成と結晶成長が起こったと考えられる.
著者
坂下 風子 古川 真理江 牧野 州明 中野 聡志 石橋 隆
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2010年年会
巻号頁・発行日
pp.239, 2010 (Released:2011-04-06)

長野県木曽郡南木曽町周辺に分布する苗木-上松花崗岩にはアルカリ長石のひとつである微斜長石の変種であるアマゾナイトが産出する(日本希元素鉱物,長島,1960).本研究では同地区およびアメリカコロラド州に産出するアマゾナイト試料として用い,アマゾナイトの不均質な着色の原因を明らかにすることを目的とした. 研究手法は,顕微分光光度計,偏光顕微鏡および電子顕微鏡観察,X線回折,化学組成分析,赤外線吸収スペクトル法によって苗木花崗岩ペグマタイト中のアマゾナイトの組織と化学成分,カラーリングとの関係を試料の不均質性に対応させて報告する.
著者
村尾 玲子 杉山 和正
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2010年年会
巻号頁・発行日
pp.73, 2010 (Released:2011-04-06)

コンゴ産クリソコラおよび水溶液からのアルカリ沈殿により合成したCu(OH)2 微結晶の構造をX線異常散乱法を用いて解析した。Cu周囲の環境動径分布関数(RDF)におけるCu-O相関は歪8面体6配位構造のうち近い4つの酸素に相当する。クリソコラのCu-KEXAFSスペクトルはCu(OH)2 微結晶と非常に近いが、環境RDFにおいて3.3Å近傍のCu-Cu相関は異なる傾向を示す。この結果はクリソコラはSiO4およびCu(O,OH))6局所構造単位から成る独自の構造をとっていることを示唆している。
著者
宮島 宏 百瀬 孝仁 大塚 勉 那須野 雅好 遠藤 公洋 赤羽 久忠 松原 聰 宮脇 律郎
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2010年年会
巻号頁・発行日
pp.88, 2010 (Released:2011-04-06)

中房温泉のこれまで『明礬』とされていた噴気生成物の大部分は,タマルガル石Tamarugite NaAl (SO4)2・H2Oであることがわかったので報告する.本鉱物はチリのTamarugalパンパスから発見されたもので,国内産出例として大分県別府明礬温泉(皆川, 1994),埼玉県吉見丘陵の吉見百穴洞窟内壁面(堀口ら, 2000)がある. 中房川の右岸の噴気帯から白色と黄褐色の2種類の噴気生成物が認められた.量的には前者が卓越する.EDXによる化学分析とXRDによるX線粉末回折データから黄褐色昇華物はソーダ鉄明礬石と鉄を含む明礬石であったが,白色昇華物は明礬石ではなくタマルガル石であった.また,かつて林間学校の宿泊用に使われていた木造の建物内の床面に,タマルガル石と少量のアルノーゲン,明礬石からなる厚さ5cmに達する噴気生成物が発見された.タマルガル石は薄い板状結晶(最大長30μm,厚さ2~3μm)である.Fe-poor でNa, Kが存在しているときにはタマルガル石と明礬石が生成し,Fe-richであるとタマルガル石とソーダ鉄明礬石が生成し,共にソーダ明礬石は生成しない.
著者
松原 聰 宮脇 律郎 横山 一己 重岡 昌子 原田 明 山田 隆 川島 和子 清水 孝一 宮島 浩
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2010年年会
巻号頁・発行日
pp.77, 2010 (Released:2011-04-06)

長野県茅野市向谷鉱山の熱水脈からヘドレイ鉱、ピルゼン鉱、都茂鉱、Bi3Te2のようなBi - Te系鉱物が産する。鉱脈は三波川変成岩に属する石英ー白雲母ー滑石片岩中に見られる。Bi - Te系鉱物はゲルスドルフ鉱、硫砒鉄鉱、磁硫鉄鉱、黄銅鉱を伴う。ヘドレイ鉱、ピルゼン鉱、都茂鉱は、直径2 mm以下の六角板状結晶として見られる。
著者
松原 聰 宮脇 律郎 重岡 昌子 杉山 和正 毛利 孝明 中原 理栄 岡井 隆
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2010年年会
巻号頁・発行日
pp.76, 2010 (Released:2011-04-06)

山口県長門市川尻付近に産するアルカリ玄武岩中からオフレ沸石が産する。この沸石は、直径0.5 mm以下の短六角柱状あるいは板状結晶をしている。9個の平均化学組成は、SiO2 51.25, Al2O3 20.74, MgO 2.90, CaO 2.28, BaO 1.02, Na2O 2.74, K2O 3.77, 計 84.71 %である。
著者
柴田 知之 三好 雅也
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2010年年会
巻号頁・発行日
pp.7, 2010 (Released:2011-04-06)

国東半島中心部に位置する両子山火山の主要元素・微量元素組成とSr・Nd・Pb同位体組成の分析を行った。その結果,両子山の初生的なマグマは,沈み込むスラブが部分溶融してできた珪長質なマグマであと考えることが可能であることが分かった。