- 著者
-
小林 潤平
新堀 英二
川嶋 稔夫
- 出版者
- 一般社団法人 映像情報メディア学会
- 雑誌
- 映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.10, pp.J241-J246, 2017 (Released:2017-09-25)
- 参考文献数
- 23
- 被引用文献数
-
1
文章を読み進める目の動きを効率化することで,読み心地や理解度を維持したまま読み速度の向上を図るための,電子リーダー上での日本語表示方式を提案する.読者が読みやすいと感じる一行の長さは20~29文字程度であるが,既存方式では行長が短いほど読み速度は低下するため,最大速度で読むためには一行40文字程度の行長が必要という課題があった.そこで本研究では,文節にもとづく改行位置の調整および文字ベースラインを文節単位で階段状に下げていく既存手法に加えて,新たに「隔行単位の背景着色」「行間隔の拡張」「階段状の行頭インデント」「行頭文節の微振動」の4手法を組合せた表示方式を考案し,その効果を読み速度や眼球運動の点から検証した.その結果,提案方式では,読者が読みやすいと感じる一行20~29文字の行長でも,一行40文字の場合と同等の最大速度で読めることがわかった.また,読み速度の向上は,停留数の減少に起因していることがわかった.