著者
加藤 一希 西増 弘志
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.107-109, 2023 (Released:2023-05-25)
参考文献数
3

Cas7-11はガイドRNA依存的に特定のRNAを分解する酵素である.筆者らは,クライオ電子顕微鏡を用いてCas7-11の立体構造を決定し,さらに構造情報をもとにCas7-11の小型化に成功した.小型Cas7-11はコンビニエントで使いやすい,RNAノックダウンツールとしての応用が期待される.
著者
飯田 龍也 篠田 肇 渡邉 力也
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.115-118, 2023 (Released:2023-05-25)
参考文献数
10

感染症診断に汎用される抗原検査やPCR検査には感度や時間にトレードオフが存在する.著者らは,これらを両立する新たな核酸診断技術:SATORI法を開発した.CRISPR-Casと1分子定量法を組合せ,~9分の短時間で6.5 aMの高感度を実現した.社会実装を目指した技術/装置開発の現状や展望を紹介する.
著者
瀧口 金吾 作田 浩輝 林 真人 和泉 達幸 湊元 幹太 吉川 研一
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.5-11, 2023 (Released:2023-03-25)
参考文献数
30

液液相分離は,ある分子が他の分子よりも高濃度で存在する領域が溶液中に現れる現象である.相分離が生じている溶液中での蛋白質や核酸の動態を再現する実験系は,細胞や生命の起源を担った分子機構を推測し理解するための挑戦的な研究手法である.本解説では近年の我々の成果の紹介を通じ,その現状と課題について述べる.
著者
寿野 良二 清水(小林) 拓也
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.16-20, 2023 (Released:2023-03-25)
参考文献数
11

脂質メディエーターであるプロスタグランジン(PG)はその受容体を介したシグナル伝達によって,生体内の様々な作用を示す.PG受容体の構造生物学によるシグナル伝達の分子機構の解明は創薬にも貢献する.
著者
郷 通子
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.283-288, 1992-11-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
27

Soluble proteins consist of one to several globular functional domains. A globular domain is decomposed into several modules. Module is a sub-structure within a globular domain and it has a compact conformation consisting of a contiguous sequence of 10 to 40 amino acid residues. Close correlation of module boundaries with intron positions implies that a gene encoding a globular functional domain was created by joining exons in early evolution. Some introns seem to be deleted on different lineages in evolutionary time scale.
著者
酒井 佳寿美 山下 高廣
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.351-353, 2022 (Released:2023-01-25)
参考文献数
7

脊椎動物の視覚を担うロドプシンは光で活性状態を生成する.しかし,この状態から光でも熱でも直接元の不活性状態に戻ることができない.本稿では,ロドプシンが「光活性化」に特化したメカニズムに迫るため,活性状態から光でも熱でも元の不活性状態に戻る変異体を1アミノ酸置換で作製したので紹介する.
著者
藤澤 知績 海野 雅司
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.331-333, 2022 (Released:2023-01-25)
参考文献数
9

左右円偏光の光をキラル分子に入射して得られるラマン散乱光の強度には微差が生じる.これはラマン光学活性と呼ばれて,溶液中の分子のコンフォメーションを鋭敏に反映した分光スペクトルを示す.本稿では,ラマン光学活性を利用したプロテオロドプシン(バクテリアの光駆動型H+ポンプ)の活性部位の構造解析を紹介する.
著者
岡本 紘幸 濡木 理
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.341-344, 2022 (Released:2023-01-25)
参考文献数
10

メラトニン受容体は睡眠障害の治療標的として注目を集めるGタンパク質共役型受容体だが,詳細な活性化機構は不明であった.本稿では,クライオ電子顕微鏡による解析で得られた立体構造情報から解明された,睡眠障害の治療薬によってメラトニン受容体が活性化し,下流のGタンパク質と共役する詳細な構造基盤を紹介する.