著者
森 紀和子
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-7, 2022 (Released:2022-03-30)
参考文献数
38

近年,近視人口が増加しており,それに伴って失明につながりうる様々な眼疾患を起こす強度近視が問題となっている。近視は環境,遺伝の複合因子により発症,進行するとされ,早期からの積極的介入が強度近視への進展の予防として重要である。近視進行予防法としては,これまで光学的,薬学的,環境的な角度から介入が試みられており,複数の研究によりいずれもが一定の効果を示している。本稿では各々の近視予防法についてそのメカニズムや成績など,最新の知見を詳述し解説する。
著者
二宮 さゆり
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.80-85, 2021 (Released:2021-12-27)
参考文献数
5

近年,ソフトコンタクトレンズ(以下,SCL)は素材と光学デザインの両面において目覚ましく進化している。世界的な傾向としてシリコーンハイドロゲル素材SCL,1日使い捨てタイプSCLの割合が増えており,世界第二位の市場規模である日本でも同様の傾向がみられている。しかし種類別にみると,日本では処方の大半が単焦点SCLであり,乱視用SCLや老視用SCLの処方は世界平均にも満たない処方状況となっている。多様化してゆくSCLの特徴をしっかり理解し,目的に合わせて適切に処方する必要がある。
著者
玉田 靖明
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.5-10, 2017 (Released:2017-04-14)
参考文献数
23
被引用文献数
1
著者
五十嵐 章史
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.6-8, 2020 (Released:2020-03-27)

本日は山王病院アイセンターセンター長の清水公也先生にインタビューをさせていただきたいと思います。私は母校である北里大学医学部の学生実習のときに清水先生と初めて出会い,その卓越した美しい手術に憧れて眼科に入局しました。その後は現在に至るまで16年に渡りご指導いただき,近年ではプライベートや人生についてもご指導いただくことが多く実の父親よりも父親のような存在になっています。今回インタビュワーの機会をいただきましたので先生のこれまで輝かしい経歴など色々お聞かせいただきたいと思います。
著者
四倉 絵里沙
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.114-116, 2019 (Released:2019-12-25)
参考文献数
8
著者
栗木 一郎
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.107-113, 2008 (Released:2019-11-08)
参考文献数
17
著者
長谷部 聡
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.3-9, 2013 (Released:2019-11-22)
参考文献数
5

両眼視の働きについて病理学的な視点から考えるため,両眼視の異常を来す眼疾患やその診断法や治療法について解説した。斜視や眼球運動制限が起こると複視が生じ,両眼視差に基づく奥行感覚が得られなくなる。抑制や網膜対応異常などの感覚的適応力によって複視は時間とともに解消するが,その場合も両眼視は回復しない。斜視手術により眼位ずれを矯正することで,両眼視の回復が期待できる。しかし,立体視発達の臨界期である乳児期を両眼視の経験なしに過ごした先天性斜視症例では,後日眼位ずれが矯正されても,高いレベルの立体視の回復は困難である。
著者
大家 義則
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.18-20, 2009 (Released:2019-11-08)
参考文献数
4
著者
宮前 博
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.133-137, 2012 (Released:2019-11-22)
参考文献数
1
被引用文献数
1

眼内レンズ(IOL)への応用が近年著しい回折レンズの原理について解説する。回折型のIOLは,通常の屈折レンズの片面に多数の同心円状の薄い微小プリズムからなる回折面を張り付けたものである。回折面に入射した光線は,射出するときには入射光線と同じ方向に進む光線とほんのわずかに屈折する光線に分かれる。そのため回折レンズ全体は二つの焦点位置が近い二焦点レンズとなる。このとき,隣り合う微小プリズムを射出する光の位相差を制御する必要がある。また,波長によって2本の射出光線へのエネルギーの分配が変わるが,これは微小プリズム材の屈折率の分散と回折現象そのものの分散が異なることによる。
著者
山本 真也 魚里 博 川守田 拓志 中山 奈々美 中谷 勝己 恩田 健
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.134-139, 2010 (Released:2019-11-08)
参考文献数
16

目的:乱視眼において瞳孔径は最小錯乱円サイズ(直径)を変化させるため,同じ乱視度数でも瞳孔径により網膜像への寄与が異なることが考えられる。そこで,乱視と瞳孔,視機能との関係を調査したので報告する。方法:対象は11名11眼(平均年齢21.9±1.4歳)である。測定にはコントラスト視力装置に電子瞳孔計を内蔵した改良型CAT-2000(Menicon社)を用いた。また,実瞳孔径のコントロールができないため,本実験は人工瞳孔を使用した。視力測定はシクロペントラート塩酸塩(サイプレジン®)点眼後,人工瞳孔2.0~5.0 mm(0.5mm単位)と乱視0~3.0 D(0.5 D単位)を組み合わせ,昼間視コントラスト100%にて行った。結果:乱視が1.0 D以上では,瞳孔径が大きくなると視力は有意に低下した。乱視が強くなるほど瞳孔径拡大に伴い視力がより低下する傾向が認められた。結論:乱視眼では,瞳孔径が大きいと最小錯乱円サイズ拡大による網膜像の質の劣化を導き,その結果,視機能に影響を与えている可能性が示唆された。
著者
川守田 拓志
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.70-74, 2018 (Released:2018-10-05)

この度,金沢医科大学眼科主任教授の佐々木洋先生にお話しをお伺いする機会をいただきました。ARVO 2018に参加し,ハワイの青空の下,心地よくインタビューさせていただきました。私に降り注いでいた紫外線に対処することの重要性を強く認識し,それ以上に佐々木先生の白内障と水晶体研究への情熱を強く感じる機会となりました。話の豊富さと奥深さに惹き込まれ,あっという間に多くの時間が過ぎました。基礎から臨床,原因と予防,そして未来まで,ためになるお話を皆様と共有できればと思います。
著者
小島 隆司 市川 一夫
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.3-7, 2012 (Released:2019-11-22)
参考文献数
19

Implantable Collamer Lens(ICL)は後房型有水晶体眼内レンズで,球面矯正のみのものと乱視矯正可能なレンズの2種類が厚生労働省の認可を受けている。手術成績に関しては有効性,予測性,安全性に優れることが本邦および海外にて報告されている。手術にあたっては健常な眼に対する治療であるために,適応を十分考慮し術前の検査を入念に行って安全に施行することが必要である。適応を決める際にはとくに前房深度が十分に確保されていることに注意する必要がある。術前検査で最も注意する点は,正確な屈折を得ることとレンズサイズの決定である。手術においては,外傷性白内障,角膜内皮障害を起こさないように注意してレンズを挿入していく必要がある。手術方法そのものはシンプルであるが,内眼手術に熟練した術者が行うべき手術である。術後早期は瞳孔ブロックが起きていないか,レンズサイズが適切かを調べ,安定したら水晶体混濁の有無について長期の経過観察が必要である。
著者
宮前 博
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.8-13, 2012 (Released:2019-11-22)
参考文献数
4

ゼルニケ多項式による波面収差の展開とその正規直交化プロセスについて述べる。ゼルニケ多項式を用いると任意の波面収差について展開係数を求めることが容易であり,例えば各収差成分が波面収差のRMS(root mean square)値にどれほど寄与しているかが即座にわかる。また二次元平面ベクトルとのアナロジーを用いて,ゼルニケ多項式を用いるメリットを説明する。ゼルニケ多項式にはフリンジオーダーという並べ方があり,低次項がそのままザイデル収差に対応するなど応用上便利である。
著者
柴田 隆史
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.79-84, 2019 (Released:2019-12-25)
参考文献数
26
被引用文献数
1

学校教育ではICT活用が推進され,子どもたちが教室でタブレット端末を利用する機会が増えている。しかしその一方で,子どもの視力低下や視覚疲労などの健康面への影響が懸念されている。実際に,学校保健統計調査によると,小学生の裸眼視力における1.0未満の割合は毎年増加している。本稿では,学校教育における情報化の状況や,児童のタブレット端末利用による身体疲労,学校でデジタル機器を安全安心に用いるために検討されている指針について解説した。