著者
井野 隆光 上田 伸夫
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.23, no.256, pp.593-597, 1966-08-25 (Released:2010-10-14)
参考文献数
16
被引用文献数
1

モル分率を0.1の割合で変えたエチレングリコールテレフタレートジエチレングリコールテレフタレート共重合体 [PET/(DEG) T] 11種についてο-クロルフェノール溶液からフィルムを作成し, 赤外吸収スペクトルによる組成分析を行なった。また, ポリエチレングリコール (PEG), PETに関するこれまでの研究をもとにしてP (DEG) Tの赤外吸収スペクトルの経験的な振動帰属を行なった。a) D2880cm-1/D2960cm-1から共重合体組成が決まる。b) P (DEG) Tに特徴的なバンドは2955, 2880, 1378, 1365, 1247, 944, 710cm-1である。c) P (DEG) Tの伸長試料の1725cm-1の吸収が平行二色性を示すことは特有な挙動として注目される。
著者
淵野 桂六 温品 恭彦 岡田 晃
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.8, no.77, pp.291, 1951

固態の變形を力學的に取り扱う場合縦断性係數と剛性率とは重要な恒数である。今日迄新しい織維が出現すれば其強伸度, ヤング率が第一に問題視されることは繊維の評價として最も重要な性質であるからである。しかし繊維の摩擦に對する抵抗性や結節強度になると簡單に強度や伸度との關連のみにおいては論じられない別な因子が存在する。本報告はかゝる因子の一つとして剛性率に關して行つた研究の一部である。
著者
古谷 進
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.13, no.138, pp.420-424, 1956

ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂が熔融状態にあるとき, シリコン油によって膨潤するかどうかを検討した。膨潤そのものを測定することは難しいので, シリコン油の吸収星を測定した。測定には3種の樹脂を用い203ないし298℃の間で, 30分間シリコン油に浸した後の重量増加を秤量した。油の吸収量は0.8重量%まで大体温度とともに直線的に増加する。Freyらの実験結果に対する考察より, シリコン油による膨潤に際しては, 容積の加算性が存在することを推定した。
著者
西岡 篤夫 安藤 勲 井上 義夫
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.30, no.335, pp.139-143, 1973
被引用文献数
2

ポリアクリロニトリルのモデル化合物メソおよびラセミ2, 4-ジシアノペンタンのプロトンデカップリングを行なったパルスフーリエ変換<SUP>13</SUP>C NMRスペクトルを室温で25.15MHzで測定した。各炭素原子の化学シフトの順序は低磁場からCN, CH<SUB>2</SUB>, CH, CH<SUB>3</SUB>の順で, またCN炭素の場合メソはラセミより低磁場に現われるが, CH炭素の場合メソはラセミより高磁場に現われた。この結果はポリアクリロニトリルの場合低磁場からCN, CH<SUB>2</SUB>, CHの順に現われ, またトリアッド (I, H, S) につきCNはIがSより低磁場に現われるのに対し, CHはその逆になることと一致する。このモデル化合物の<SUP>13</SUP>C化学シフトの理論的計算をPopleの理論に基づきCNDO/2法で行ない, 実験値と比較した。
著者
岡村 誠三 坂口 康義 近藤 二夫
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.116-127, 1945-04-01 (Released:2010-10-14)

ヂェチルペンゾールの脱水素に依りヂヴィニルペンゾールを, またアクリル酸メチル及メタクリル酸メチルとエチレングリコールとの反應に依り夫々エチレングリコール, ヂアクリル酸エステル及ヂメタクリル酸エステルを合成し此等のヂヴィニル化合物とスチロールとの共重合に就て重合率, 溶劑への重合物の溶解性及熱に依る軟化性等を調べた。
著者
長野 隆治 小熊 信
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.14, no.148, pp.397-401, 1957-08-25 (Released:2010-10-14)
参考文献数
14
被引用文献数
1

毛細管粘度計における運動エネルギー補正項 (粘度計係数) の信頼できる値を求めることは、従来用いられている計算法では困難であった。筆者は水を用いて測定温度を多数変え (5~80℃間, 5℃ごとに) 流下時間を実測した結果, この係数をほぼ正確に求めえたのみならず, 係数および粘度計定数も流下時間とともに変化することが一応明らかになり, この結果正確な測定には上記のごとく測定点を多数とって係数を求める必要があると考えられる。
著者
渡邊 正元
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.6, no.56, pp.241-243, 1949

スベリン酸は從來コルク, ひまし油或はその他各種の油脂類を硝酸酸化して造つたが, 同時に生成する二監基酸との分離が困難であつた。ところがReppe により究究された方法によるとアセチレンから好收率でスベリン酸が出來るから, このものはポリアミドの原料として工業的に使用し得る可能性がある。そこで著者はアヂピン酸より次の方法でスベリン酸とオクタメチレンヂアミンを合成して, その重合物を造り紡糸したところ6.6ナイロンに劣らぬ強度をもち, 熱的にはより安定性の高い優れた繊維となることを見出した。<BR>次に以上の順に實驗の大要を述べる。
著者
松沢 秀二 井本 友三久 岡崎 正樹
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.25, no.273, pp.25-30, 1968-01-25 (Released:2010-10-14)
参考文献数
16
被引用文献数
3

PVA 3%, ホルムアルデヒド5%および塩酸0.5Nの水溶液をつくり, PVAをホルマール化し, ホルマール化度の異なるホルマール化PVA (PVFW) を作製した。このさい, すでに知られているように, ホルマール化度30mol%を越えるとPVFWは沈殿してくる。PVFWの残存水酸基をピリジンを触媒に用いて酢化した。それら酢化物のうち, ホルマール化度45mol%以上のものは, クロロホルムに部分的に可溶であるか, 完全に不溶であった。また部分ケン化PVAcのケン化と同時ホルマール化を酢酸水溶液中で行ない (反応は終始均一系で進んだ) 得られたホルマール化PVA (PVFS) は, 酢化後ホルマール化度80mol%のものまでクロロホルムに可溶であった。ホルマール化22mol%以上の酢化PVFWの極限粘度数の原料PVAcのそれに対する増加量は, 同一ホルマール化度の酢化PVASのそれより大であった。またそれらの試料の数平均分子量を浸透圧法により求めた。ホルマール化度22mol%以上のPVFWの数平均分子量は線状ポリマーとして計算した値より大であった。PVFSの場合それはすべて計算値よりやや小であった。以上から, 水溶液より出発するホルマール化反応のさい橋かけが生ずると結論した。
著者
村上 恭平
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.7, no.65, pp.193-203, 1950

第1報に於て正プタノール及びPOCl<SUB>3</SUB>よリトリ・プチル・ホスフエートの合成條件を確立したがこの合成方法によつ硬にメタノール, エタノール・イソ・アミルアルコール・エチレングライコールのメチル, エチル, 正プチル, フェニル, クレジル, 及びオルソ・クロロフェニル・モノエーテル並びにエチシングロロヒドリンを使用して, 知の單獨乃至混合燐酸エステル28種を合成した。しかして新に合成した可塑劑の繊維素誘導體に封する親和力は, 繊維素誘導體のこれ等可塑劑に溶解する状態或はマードル數によつて測定した。この測定に使用した繊維棄誘導體は一般可塑物製造用のものである。<BR>硝酸繊維素-窒素量11.20%(ルンゲ法による), アーべル耐熱度7mm28sec<BR>發火點183.5℃<BR>醋酸繊維素-醋化度54.44%(エス氏蒸溜法による);アセトン溶解度99.95%アセトン溶液比粘度71.1c, p., 熔融點242.5℃<BR>ベンジル繊維素-ベンジル基2.25モル<BR>9: 1 volベンゼン: アルコール溶液の溶解度99.1%,<BR>5: 1 volベンゼン: アルコール溶液比粘度32.6c. p. 溶解状態の測定-繊維棄誘導短0.19を試験管に探り可検可塑剤5c.c. を加え常温 (24~26℃) にて昨々振盗しながら15hrs放置後その溶解状態を目測した。<BR>マードル數-繊維素誘導髄0.5gを可検可塑劑20c.c. に完溶させ更に恒温槽中に24hrs放置後恒温にて繊維素誘導體非溶劑のトルエン叉はエーテルを滴加し, 永久白濁を生ずるまでに滴加せる各非溶劑の數にて表す。
著者
柚口 貞夫 渡辺 正元
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.18, no.192, pp.273-278, 1961
被引用文献数
13

過マンガン酸カリーシュウ酸を酸化還元触媒に用い, アクリロニトリル (以下ANと略) の水系沈殿重合を行ない, 触媒濃度, 体単量初濃度および重合温度を変えて, その重合速度と数平均重合度との関係を求めた。その結果<BR>1.重合速度はシュウ酸を過マンガン酸カリの2.5倍モル以上用いた場合に次式で示される。<BR>2.重合温度を10-30℃ に変えてその活性化エネルギーを求めたところ<I>E</I>=9.3kcal/molなる値を得た。<BR>3.数平均重合度は触媒濃度が大きくなるほど低く, 単量体濃度が大きくなるほど高くなる。<BR>また重合温度が高くなるほど低くなる。以上の事実は, ANの重合体が重合系に溶解せず, 生長中のラジカルが重合体中に埋め込まれ1分子的に停止する反応 (burial reaction) を考えに入れると説明することができる。得られた結果について考察を加えた。
著者
山下 雄也 石井 義郎
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.9, no.87, pp.205-210, 1952

塩化ビニール樹脂の可塑剤を得る目的でDOPとは逆の分子構造を有するエステル即ち芳香族二価アルコールと脂肪族一塩基酸とのエステルを合成しその可塑剤としての性質を検討した。このためにベンゼントルエン, キシレンをホルマリンと塩酸によりジクロロメチレン化し, これを加水分解してグリコールにしてカルボン酸とエステル化させるか, あるいはジクロロメチレン化物のままでカルボン酸ナトリウム塩と反応させてエステルを得る条件につき報告した。用いたカルボン酸は酪酸, カプロン酸, カプリル酸, カプリン酸及びレビユリン酸である。得られたエステルは一般に無色透明の液体でカプリル酸以上の高級酸エステルの場合を除き比重は1以上である。沸点は同一分子量のフタル酸エステルに比較して幾分低い。これらのエステルの可塑剤としての性能は第2報において報告する。
著者
田上 早苗 麻生 忠二
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.27, no.308, pp.922-928, 1970-12-25 (Released:2010-09-28)
参考文献数
12
被引用文献数
2 5

11種の置換ベンズアルデヒド (M2) とスチレン (M1) とのカチオン共重合を, 主としてトルエンを溶媒とし, BF3OEt2を触媒として0℃で行なった。 置換ベンズアルデヒドとしては, オルト置換ベンズアルデヒド (置換基: メトキシ基, クロル基, ニトロ基, ヒドロキシ基) ・メタ置換ベンズアルデヒド (置換基: ニトロ基, ホルミル基) ・パラ置換ベンズアルデヒド (置換基: メトキシ基, メチル基, クロル基, ニトロ基, ホルミル基) を用いた。 これらの共重合では, すべて50mol%以下のアルデヒド単位が含まれるポリエーテルが生成した。 たとえば, p-メトキシベンズアルデヒドおよびp-クロルベンズアルデヒドとスチレンとの共重合での, Mayo-Lewisの微分交点法によって決めた単量体反応性比MRRは, 次のようである。スチレンーp-メトキシベンズアルデヒド:r1=0.10±0.002, r2=0±0.01スチレンーp-クロルベンズアルデヒド:r1=0.45±0.08, r2=0±0.02また, これらの共重合条件下での, 置換ベンズアルデヒドの単独重合は困難であるので, この方法によらずr2=0と仮定して, 新たな方法で, それぞれの共重合の値を算出した。 パラ置換ベンズアルデヒドのスチリルカチオン (M1+) への相対反応性 (1/r1) は, 置換基の電気的効果あるいは, カルボニル酸素の塩基性に依存することが明らかになった, オルト置換ベンズアルデヒドにおいても, r1値は相当するパラ異性体とほぼ同じであり, メトキシ基, クロル基, ニトロ基などの置換基の立体障害によるr1値への影響は, それほど重要でなく, 主として置換基の電気的効果によって, 反応性が定まることが明らかになった。
著者
祖父江 寛 中村 茂夫 村上 謙吉 梶浦 淳資
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.19, no.206, pp.365-369, 1962-06-25 (Released:2010-10-14)
参考文献数
5
被引用文献数
1

分子量分布の多分散性を示すために一般に用いられているパラメーターMw/Mnの分子量依存性を一般的な分布関数f (M)について検討した。その結果分布の形が全く同一でもMw/Mnの値は分子量が大きくなると単調に1に近づき, 分子量依存性を示すことがわかった。またこのような現象を具体的に示すものとして若干の簡単な分子量分布模型についても検討を加えた。