- 著者
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小川 巌
- 出版者
- 日本鳥学会
- 雑誌
- 鳥 (ISSN:00409480)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.2, pp.63-75, 1977
- 被引用文献数
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採取したペリットからモズの食性を明らかにする目的で,静岡県磐田市を中心に1972年3月,4月および同年10月から翌年4月までの8カ月間(1972年11月は未採集)調査を行なった。合計151個のペリット中には1,470個体分の食餌が含まれていた。明らかになった結果は次の通りである。<br>1.ペリットの大きさは,長さの平均が18.3mm(10~30mm),太さの平均が9.1mm(7~11mm)であった。<br>2.全体では8目38科57属の昆虫をはじめ,クモ,ワラジムシ,ムカデなどの無脊椎動物および鳥,ネズミ,カエルなどのほか,マサキとネズミモチの種子も含まれていた。<br>3.昆虫では鞘翅目がもっとも多く575%を占めた。とりわけゴミムン類の割合が高く(40.8%),非繁殖期よりも繁殖期の方が高率を示す傾向がうかがえた。次いでホシカメムン科(フタモンホンカメムン),スズメバチ科(フタモンアンナガバチ,クロスズメバチなど)が比較的多く含まれていたが,その他はわずかずつであった。植物の種子は10月に最高に達した(48.2%)ものの,その他の月では皆無かごく少数に過ぎなかった。<br>4.秋から春にかけての季節変化は,種または科ごとに特徴がみられた。スズメバチ科の各種,ケラ,ハムシ,トノサマバッタなどは春に向って次第に減少したのに対し,ゴミムシ科,ワラジムシなどは逆に増加した。<br>5.ペリット分析によるモズの食性が,胃内容分析,ハヤニエの記録およびオオモズなどの食性と異なっている点,ならびにゴミムシ類の比率がきわめて高いことを,モズに特徴的な採餌生態との関連から考察した。