著者
松下 茂
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.421-424, 2011-10-01 (Released:2017-04-20)
参考文献数
16

国内における企業向けのドキュメントデリバリーの件数は,近年大きく減少している。その理由は,米国サブプライムローン破綻に端を発したグローバルな金融危機とリセッションの影響による研究施設の予算削減が大きい。また企業における電子ジャーナルの利用もドキュメントデリバリーサービスに影響を与えている。一方,グローバルなドキュメントデリバリーサービスはインターネットを通じて文献を提供するe-DDS(electronic Document Delivery Service)へと変化してきているが,ドキュメントデリバリーサービスの市場を拡大していない。むしろプレイヤーの寡占化が進み,市場に参入する新たなプレイヤーは見られない。e-DDSは,出版者が提供するPay Per Viewサービスと競合しており苦戦を強いられている。長期的に見れば,論文単位での流通はe-Articleの流通として拡大していくと予想されるが,その流通の担い手は,利用者の要望をよく理解して柔軟に対応することが可能で,Pay Per Viewやe-DDSをも統合した単一のプラットフォームによるサービスを実現できるプレイヤーに主権が移っていくであろう。
著者
林 和弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.12, pp.449, 2022-12-01 (Released:2022-12-01)

本年度で19回目となる,INFOPRO2022にご参加,ご登壇いただいた皆様,誠にありがとうございました。ご協力,ご協賛いただいた皆様にも厚く御礼申し上げます。COVID-19の影響化で行われるINFOPROはオンラインで3回目の開催となりました。昨年の振り返りで「何事も物事は3度目,3年目,あるいは3作目が大事とも言われます。INFOPRO2022に向けて,過去2回のオンライン開催から,さまざまな課題も浮き彫りになってきました。」と申し上げた通り,3回目は2回目とはまた違った開催方式となりました。まず,2回目で思い切って導入したオンライン集会プラットフォームMorressierの利用は主に費用の面から今回は断念しました。費用の面以外でも,残念ながら,今の開催状況ではオーバースペックと言わざるを得ず,むしろ,Morressierを使うくらいにINFOPROの規模と内容を拡大することが先決だろうと考えています。続いて,オンライン参加は無料にして,予稿集を有料にするというビジネスモデルにしました。地方の方々や将来会員になっていただける方々が参加しやすい形を狙ったのですが,これは想定通りに進み,事業としても成立したようです。最後に,今回ご縁が重なりURAの活動を多数発表することができました。URAの発表は多岐にわたり,また,その多くがインフォプロの活動としても興味深いものであったことは一つの発見でした。本年も,本号の他の記事にてINFOPROの開催の様子を紹介しております。ご覧いただくとお分かりいただけるのですが,今回も実行委員,事務局他のみなさまのチームワークで,開催から記事執筆までこぎつけました。この場を借りて関係の皆様に熱く御礼申し上げます。多少私事となりますが,本年7月よりINFOSTAの副会長も仰せつかりました。INFOPROのみならずINFOSTAの事業運営の改善にも取り組むことになったことになり,なかなかに大変な状況でもあります。INFOPROの運営においても,いかに山﨑前会長を筆頭とするINFOSTA前三役,理事の方々のご支援があったかを痛感する毎日です。その一方,INFOPROでインフォプロの在り方を模索することは,INFOSTAの今後を模索することとほぼ同義ですので,淡々とそれを追求していくことになるのかもしれません。そして,みなさまのご賛同とご協力なくしては前に進まないものでもあります。次回は第20回の節目となります。引き続きみなさまのご支援ご協力を賜りますよう,どうぞよろしくお願い申し上げます。(INFOPRO2022 実行委員会委員長 林 和弘)INFOPRO2022 実行委員会 委員長:林 和弘(科学技術・学術政策研究所),副委員長:川越康司(ジー・サーチ),委員:矢口 学(科学技術振興機構),川本敦子(東芝),北川道成(三菱ケミカルリサーチ),長谷川幸代(跡見学園女子大学),小山信弥(関東学院大学),鷹野芳樹(クラリベイト),寺脇一寿(医学中央雑誌),木村光宏(㈱アドスリー),担当理事(正):増田 豊,担当理事(副):棚橋佳子

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著者
上田 修一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.636-638, 1986-12-01 (Released:2017-09-08)
被引用文献数
1
著者
渡邉 幸佑
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.435-438, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)

坂口安吾の作品について,先行研究では文体の平易化が指摘されているが,直感にもとづく論考であり,特定の言語表現について計量的に分析したものでない。本稿では,坂口安吾の作品についてテキストコーパスマイニングツールMTMineR(エム・ティ・マイナー)を用いて,漢字比率及び平均文長という観点から文体の平易化を計量的に検証した。その結果,漢字比率の減少傾向が確認された。平均文長については,1942年以降はそれ以前より平均文長が小さい。齋藤(2006)で指摘されてきた文体の平易化について,漢字比率及び平均文長という観点から計量的に裏付けた。
著者
井上 彰
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.429-434, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)

一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)は,公正・中立な情報機関として,医薬品及び医療機器等に関する国内外の安全性及び有効性を中心とした情報提供を通じ,国民の健康,医療の向上に寄与することを目的に活動している。本センターでは,データベースの作成・提供を行う事業と,外部データベースの代行検索を行う事業の,提供者と利用者の両面を持つ。本センターのデータベース関連事業を紹介し,本センターにおける検索技術者検定の利活用の事例や取得者の声,検定試験により業務の変化などを紹介する。
著者
石川 賀一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.423-428, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)

本稿では駿河台大学メディア情報学部のカリキュラムの特徴と検定受験料助成制度をふまえて,本学部の検索技術者検定(3級)取得支援と筆者が考える検定取得支援のポイントを紹介した。検定取得支援のポイントは,学生に主体性を促し検定取得に臨ませること,要点を整理し学習プロセスを明確にすること,授業以外でも検定取得に興味を持たせる工夫をすることの3点をあげた。検定取得支援の効果として,成功体験による主体性の向上と目的にあわせたプロセス構築を実践的に学習できる点を指摘した。
著者
原田 智子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.417-422, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)

検索技術者検定の目的,想定する受検対象者,3級,2級,1級で求められる能力についてキャリアパスの観点から考察した。その上で,インフォプロのスタートである2級合格から1級合格までの年数について,1級に合格した全員376名について調査した。その結果,翌年の合格が最も多いが,全体としては数年の間に合格している人が多かった。また,2012年度~2021年度の合格者の寄稿文49本について受検の動機と今後の抱負について調べ,合格者のキャリアパスに対する考えを読み取ることを試みた。キャリアパスの観点から,1級合格者では,1級合格がゴールではなくスタートである,あるいはマイルストーンに過ぎないと考えている人もいた。