著者
望月 聖子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.412-416, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)

通称サーチャー試験は1985年にスタートし,サーチャーに必要とされる知識・技能を客観的に認定するとともに,その能力に対する社会的認識を高めることを目的としてきた。開始から30年,その間に検索技術は進化し,数回の制度変更があったが,試験の目的とするところは現在も変わっていない。歴史を振り返りながら,現在の検索技術者検定の試験内容と求められる知識や能力,勉強方法などについて考えてみた。
著者
青野 正太
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.411, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)

今月号は「検索技術者検定」を取り上げます。検索技術者検定(検索検定)は,情報科学技術協会(INFOSTA)の実施する認定試験です。検索検定は,公式HPによれば“企業,大学,組織等において,研究開発やマーケティング,企画等のビジネスで必要とされる信頼性の高い情報を入手して活用できる専門家を育成することを企図して実施”されています1)。コンピューターやインターネットの一般家庭への普及,さらにはスマートフォンの登場により,一般の人々も当たり前に検索エンジン等の利用により情報検索を行う時代となりました。そのため旧来の「サーチャー」2)と「エンドユーザー」の区別はなくなりつつあると考えられます。一方,誰でも検索ができるからこそ,情報の海から必要な情報を適切に引き出し,利用できるようにするための情報検索の知識・能力が重要となると考えます。本検定は知識・能力の証明に,また合格に向けた学習による知識・能力の養成に役立つのではないでしょうか。そこでこの特集では本検定について解説し,試験の合格,つまり情報検索の知識・能力を持つインフォプロに求められる能力を明らかにするとともに,大学や企業での活用事例を取り上げ,本検定の意義や果たしうる役割を明らかにする一助としたいと思います。まず,三井化学株式会社研究開発企画管理部であり,情報科学技術協会試験実施委員会に長く携わられた望月聖子様には,検索検定3級・2級・1級それぞれの試験内容と求められる知識・能力について,丁寧に解説していただきました。鶴見大学名誉教授であり,検索検定3級・2級公式テキスト3)4)の編著者でもある原田智子様には,検索検定におけるキャリアパスを解説した上で,2級合格から1級合格までの時間的傾向と合格者の寄稿文から,検定合格者のキャリアパスを分析していただきました。駿河台大学メディア情報学部の石川賀一様には,所属大学における検索検定の取得支援の取組について,学生の検索スキルを養成する意義を踏まえて解説していただきました。日本医薬情報センター(JAPIC)事業部門医薬文献情報担当の井上彰様には,検索検定のJAPICでの活用と検定取得者の声について,JAPICでの事業や本協会の活動への参画を含め解説していただきました。読者の皆様におかれましては,本特集記事を通して本検定の内容や活用方法について知っていただき,情報検索における知識・能力の向上について考える一助にしていただければ幸いです。(会誌編集担当委員:青野正太(主査),今満亨崇,海老澤直美,野村紀匡,長谷川智史)1) “検索検定(正式名称:検索技術者検定)”.情報科学技術協会.https://www.infosta.or.jp/examination/, (参照 2022-10-09).2) 以下の資料には,サーチャーは“情報を求め,それを実際に利用する人(エンドユーザー)に代わって,必要とされる情報を,適切なデータベースから検索する人で,通常,そのための専門的な技術を持っていることが要件とされる”とされています。“サーチャー”.日本図書館情報学会用語辞典編集委員会編.図書館情報学用語辞典 第5版.丸善出版,2020,p.853) 原田智子編著,情報科学技術協会監修,吉井隆明;森美由紀著.検索スキルをみがく:検索技術者検定3級公式テキスト 第2版.樹村房,2020,147p.4) 原田智子編著.情報科学技術協会監修,小河邦雄[ほか]著.プロの検索テクニック:検索技術者検定2級公式推奨参考書 第2版.樹村房,2020,181p.
著者
都築 泉
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.326-332, 2010-08-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
4
被引用文献数
1

有料で提供されている特許分析ツールについて,その主な機能により,統計処理型,テキストマイニング型,データベース付随型,独自指標型に分け,それぞれ3〜4種類,合計13種類を取り上げ,(1)提供機関・連絡先,(2)分析対象データ,(3)概要・特徴,(4)処理件数(処理データ量)の上限,(5)利用料金,を紹介する。特許情報分析を行う際には,分析の目的と情報源となるデータの質・信頼性が重要である。対象となる特許データの収集に利用するデータベースに分析機能が付随している場合には,利用条件等が許せば適宜利用し,また,それとは別個に,CSVデータや複数種類のデータベースの検索結果を扱える,汎用性のあるツールも備えておくと大いに有用である。
著者
鈴木 理加
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.219-223, 2006-05-01 (Released:2017-05-19)
参考文献数
6

文献情報をインターネット上で無料で検索できるデータベースが増えてきている。その中から,Google Scholar,Scirus,CrossRef Search,IngentaConnect,CiNiiについて,データベースの概要と検索例を紹介する。これらのデータベースは,検索エンジン,収録対象誌,検索対象範囲などが異なり,単純に比較することはできないが,各々の特徴を知れば,原文が入手できる場合もあり,有効に活用できるデータベースと考えられる。
著者
伊庭 淳一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.25, no.12, pp.507-511, 1975-12-01 (Released:2017-10-20)
被引用文献数
1

企業内で情報処理のシステム化を推進し,情報の有効活用をはかるためには,社内の情報処理体制の整備拡充が必要である。つぎに情報量の増加に対処して迅速に情報を処理し活用するために,コンピュータとマイクロ写真による検索手法が有効である。また技術の蓄積と重複研究をなくすために自社開発の技術を資料化し,これを相互に活用する技術資料管理のシステム化が必要である。本報は,これらの点を中心にやや抽象的であるが,当社の情報処理システムの概要について説明した。
著者
水門 善之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.390-396, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)

昨今,経済分析において,従来の経済統計を補完する形で,様々なデータを活用する流れが進んでいる。これらはオルタナティブデータと呼ばれ,高頻度の売上データや物流データ,携帯電話のGPSデータやクレジットカードの決済データ,更にはインターネット上のテキストデータや経済活動を物理的に観測した画像等のような非構造化データまで多岐にわたるオルタナティブデータを使用するメリットは,その情報の豊富さに加え,速報性の高さも挙げられる。本稿では,日本経済を対象として,これまで著者らが行ってきた,製造業の生産活動や家計部門の消費行動に関する各種オルタナティブデータを用いた研究を紹介する。
著者
伊藤 伸介
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.383-389, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)

本稿は,世帯の社会人口的属性だけでなく,家計の消費,所得,資産といった経済的属性の捕捉を指向した,わが国の代表的な公的統計調査である家計調査と全国家計構造調査(旧全国消費実態調査)を例に,家計消費の十大費目の実態を明らかにしている。本稿では,第1に,近年における十大費目の変化の動向,さらには貯蓄現在高や年間収入との関連性を明らかにした。第2に,全国消費実態調査のミクロデータの特性を生かしつつ,世帯類型と配偶者の就業選択の違いが世帯の消費の構成に与える影響についての実証分析に関する成果について述べた。
著者
海老澤 直美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.369, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)

2022年10月号の特集は,「統計データの活用」と題してお届けします。世の中の変化を知り,今後の展開を予測するためにまず参照すべきデータとして公的統計データがあり,国内においては総務省の「国勢調査」や同省と経済産業省がまとめる「経済センサス」がよく知られています。これらのデータは公的統計の「総合窓口e-Stat」等で検索できるようになっており,ビジネス,行政政策,研究等の様々な分野で役立つ情報です。データの偏りが比較的少なく,継続性もある重要な情報源です。その一方で,従来の公的統計データは集計・公表に時間がかかり即時性が必要とされる政策,例えば今起こっている新型コロナウイルス禍への対応等には適さないことが明らかとなっています。この即時性の観点から注目されているのがオルタナティブデータとも言われる民間データです。カード決済履歴やスマートフォン位置情報等のリアルタイムの民間ビッグデータが政策現場等に急速に普及しています。本特集では統計データを用いた調査・研究や,レファレンス事例等に触れ,統計データの種類やアクセス先等をご案内するとともに,公的統計データ,民間データ両者の長所・短所と,統計データのより良い活用方法等をご紹介いたします。まず山澤成康氏(跡見学園女子大学)から総論として,公的統計の概要とそれを活用するための統計学をご説明いただくと共に,新型コロナウイルス感染拡大以降,重要になっているオルタナティブデータ(民間データ)についてもご解説いただきました。つづいて倉家洋介氏(国立国会図書館)からは,公的統計のみではなく民間統計等の検索窓口としても活用できる,国立国会図書館が提供している「リサーチ・ナビ」を利用した統計データの調べ方をご解説いただきました。さらに公的統計データ,オルタナティブデータの活用事例と海外統計データの調べ方について3名の方々にご解説いただきました。伊藤伸介氏(中央大学)からは,公的統計データの利用方法やそれらを活用した調査研究の成果についてご解説いただきました。水門善之氏(野村證券株式会社)からは,オルタナティブデータを用いた経済活動分析についてご解説いただきました。最後に上野佳恵氏(有限会社インフォナビ)からは,海外統計データの効率的な調べ方についてご説明いただきました。本特集が情報やデータを扱うインフォプロの業務の参考になれば幸いです。(会誌編集担当委員:海老澤直美(主査),安達修介,今満亨崇,野村紀匡)
著者
細川 聖二 平田 義郎 齊藤 泰雄 内藤 裕美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.442-447, 2008-09-01 (Released:2017-04-28)
参考文献数
12

国立情報学研究所では,目録所在情報サービス(NACSIS-CAT/ILL)の今後の在り方について,中長期的な視点で検討することを使命として,「学術コンテンツ運営・連携本部図書館連携作業部会」の下に「次世代目録ワーキンググループ」を設置した。ワーキンググループでの検討結果を「次世代目録所在情報サービスの在り方について(中間報告)」として取りまとめ,2008年3月末に公開した。本稿では,「中間報告」に至る検討の経緯および「中間報告」についてその概要を紹介する。
著者
佐藤 康之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.167-171, 1998-03-01 (Released:2017-05-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

丸善はZ39.50 Origin機能を採用した書誌調達・簡易目録作成サービス「MARUZEN Z39.50 Gateway-CAT」を開発し運用を開始した。このサービスではZ39.50の書誌情報交換機能に着目し, 書誌ユーティリティを資源としたコピーカタロギングへの応用をはかった。Z39.50は様々な書誌ユーティリティを利用する環境においてその検索手法を統一化するとともに, 高品質のMARCレコードの転送を可能とした。Z39.50のOrigin機能と目録作成システムを統合する事により効率の良い目録作成環境を構築できる。このサービスの機能を紹介すると共にZ39.50の機能がどのように利用されるかを解説する。
著者
ティムソン ジョウナス
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.207-212, 2014-06-01 (Released:2017-04-13)

2010年に文部科学省から出された『大学図書館の整備について(審議のまとめ)-変革する大学にあって求められる図書館像-』では,大学の教育機能に対する社会的要請が急速に高まっている中で,図書館員による教育支援がこれまで以上に期待されていること,そして効果的な教育支援を実現するための専門性が図書館員に求められていることが記されている。本稿では,これから大学図書館員として働こうとしている人を対象として,大学図書館の実際の業務の内容と,それらの業務を最大限に展開するための要素を踏まえながら,教育に関わる図書館員として活躍していくために必要な知識や専門性について述べた。
著者
野村 紀匡
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.327, 2022-09-01 (Released:2022-09-01)

今月号の特集は,「ウェルビーイングとインフォプロ」と題してお届けします。新型コロナ感染症の拡大により,テレワークにシフトする等,働き方が大きく変わった方も多いのではないでしょうか。テレワークには,通勤時間が減る,オフィスよりも仕事に集中しやすい等の利点があります。一方で,同僚とのコミュニケーション不足や働き過ぎ等の欠点もあり,テレワーク中にメンタルの不調を感じた方もいるでしょう。また,コロナ禍でライフワークバランスや,自分にとっての幸せについて見つめ直す機会を持たれた方もいるかもしれません。社会が大きく変化する昨今,“ウェルビーイング”という言葉を目にする機会が増えてきました。本特集では,このウェルビーイングについて,様々な観点から紹介します。まず前野隆司氏(慶應義塾大学)に,ウェルビーイングとは何かについて,「幸せ」の研究者の立場から概説いただきました。渡邊淳司氏(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)らには,“アジャイル”というソフトウェア開発の方法論を用いて,ウェルビーイングを支援する技術について述べていただきました。齋藤敦子氏(コクヨ株式会社)には,職場環境をデザインするという観点から,ウェルビーイング・オフィス,望ましいワークプレイスの設計について事例を交えて解説いただきました。小林由佳氏(法政大学)には,メンタルヘルスの悪化を防ぎ,ウェルビーイングである状態にするためのワークエンゲージメントの高め方や,セルフケアについて論じていただきました。駒田陽子氏(東京工業大学)には,ウェルビーイングのために重要なスリープマネジメントについて,睡眠負債や生体リズム,社会的ジェットラグ等のトピックを交えながら,良い睡眠を確保するためのポイントについて説明いただきました。本特集で,ウェルビーイングについての理解が深まり,読者の皆様がご自分にとってのウェルビーイングについて考える契機となれば幸いです。(会誌編集担当委員:野村紀匡(主査),青野正太,池田貴儀)