著者
宮原 俊之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.55-60, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

オンライン授業が多くの大学で行われるようになり,動画の教育利用は大きく取り上げられることになったが,単に動画を使うことだけでは学習効果が得られるかはわからない。動画をあくまで教育手段の一つと捉え,動画を含めた授業コンテンツを独り立ちさせることによって,オンライン授業における学習効果は期待できる。誌面の関係もあり,本稿では,オンライン授業の「動画」を作成する際に考えたいこと留意したいことを中心に,授業設計の手順から動画作成のポイントまでを順にまとめたほか,運用に際しては組織的な支援が求められることについても触れている。
著者
永田 正樹
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.49-54, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

静岡大学では2013年より動画配信ポータルサイト「静岡大学テレビジョン(SUTV)」を運用している。静岡大学テレビジョンの目的は,学部や研究,大学行事,サークル活動などを,動画を用いて配信し,大学の広報力を向上することである。昨今,動画は広報媒体として重要かつ効果の高い手段である。本稿では,静岡大学テレビジョン運用によるこれまでの研究を概説し,動画を用いた大学広報に対して効果的な知見や手法を紹介する。
著者
辻 泰明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.38-43, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

インターネット動画が興隆し,テレビに代わって映像メディアの首座に就きつつある。動画が有する特性の根幹は双方向性にある。この特性は,個人による全世界への映像コンテンツ発信を可能にし,ビデオブログ,ゲーム実況など,新たなジャンルを産み出した。また,映像による日常のコミュニケーションが促進される一方,決定的瞬間をとらえた動画が容易に拡散されるようになり,社会にさまざまな影響を与えている。動画は,送り手にとっても受け手の情報を得られるという利点をもたらす。視聴者データの分析による内容の改善,役割に応じたコンテンツの作り分けと配置などといった編成の工夫により,動画の特性を十全に発揮した活用が可能である。
著者
今満 亨崇
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.37, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

情報伝達媒体としての動画を考えてみると,文字情報に比べて大量の情報を一度に伝えることができたり,編集による表現の幅が広いため,発信者のメッセージをより効果的に受け手に伝えることができます。その特性から,娯楽や広告での利用はもちろんのこと,業務研修や講義配信なども行われてきました。大学では,従来より広報のために動画が利用されてきたほか,特にCovid-19の流行以降は講義を動画で配信するなど,動画活用の動きは加速しています。そこで今月号では,動画を活用する上で必要な基礎知識から,実際の利活用事例を紹介し,動画の活用を促すための特集を企画しました。まずは辻泰明氏(筑波大学)に動画の特性や普及状況を整理した上で,社会に与える影響や活用の方向性について広く論じていただきました。その後,斎賀和彦氏(駿河台大学)に動画を作成する上での基礎知識を整理していただきました。実際の動画作成フローを元に,各ステップで非常に実用的なアドバイスをいただいております。これらを基礎的な知識としてインプットした上で,より理解を深めていくため,永田正樹氏(静岡大学)及び宮原俊之氏(帝京大学)に,特に大学での動画作成の目的となる広報と教育の観点から,どのような動画が良いと考えられるか,ご執筆いただきました。最後に,動画の効率的な管理方法について考えるため,三浦和己氏(国立映画アーカイブ)に国立映画アーカイブが動画管理に用いているデータベースについて,どのようにデータを管理しているのかを中心にご紹介いただきました。本特集を,皆様の所属機関での動画作成にお役立て頂けますと大変嬉しく存じます。(会誌編集担当委員:今満亨崇(主査),池田貴儀,中川紗央里,長谷川智史)
著者
武邑 光裕
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.440-446, 2004
参考文献数
13
被引用文献数
1

「記憶」がデジタル環境に記録され,デジタル・アーカイブは未来の記憶に資する可能性を提示する。言語を記述,印刷し,書籍という重量媒体を最終形とした情報資産の意味は変容し,テクストの深層にあるコードそれ自体が,デジタル情報の原資と認識される。累積と離散性,この二つの概念が合流するデジタル・アーカイブの概念を考えると,それはデジタル情報財の普遍的な格納を目指すと同時に,情報の流動化や創造性を促す装置でもあるといえる。累積・固定性と離散・創造性を前提に,近年のデジタル・アーカイブやレポジトリの概念を整理し,多様なデジタル情報資源をめぐる保存と利活用にかかわる新たなコモンズの役割を,個人のアーカイブ環境と次世代の知識創造という観点から概説する。
著者
林 和弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.549, 2019

<p>「インフォプロの未来を考える ~INFOPRO 新たな出発!~」のテーマで開催された第16回情報プロフェショナルシンポジウム(INFOPRO2019)にお越しいただき,あるいは,ご発表,ご登壇頂いたみなさま,誠にありがとうございました。タイトなスケジュールの中,スポンサーとなっていただいた企業様にも厚く御礼申し上げます。INFOPROは開催時期を秋から夏に移すために,一日開催となった昨年の移行期間を経て,2年ぶりの2日開催となりました。移行のためとはいえ,一旦縮小したイベントの規模を戻すことができるのだろうかという不安もありましたが,結果として一昨年と変わらず多くのご参加と発表をいただいたことで文字通り安堵いたしました。とはいえ,新米委員長にとっては,勝手がわからない中の運営であり,文字通り"番頭さん"として動いてくれた川越副委員長を始めとする実行委員はもちろんのこと,会長を筆頭とする三役や担当理事のみなさま,さらには,JSTさん他,関係のみなさまの全面的なバックアップにより無事開催することができました。この場を借りて御礼申し上げます。</p><p>さて,今回のテーマの副題は"INFOPRO新たな出発!"ということで,いくつかのチャレンジをしてみました。中でも一番大きなものは,プロダクトレビューのプレゼンテーションに投票を取り入れたことです。これは製品や企業の優劣をつけるのではなく,そのプレゼンをしている方を褒めるのはどうか,ということで試行的に行ってみたものです。その目的や意義自体にも賛成・反対のご意見をいただいた中,ある程度のリスクを覚悟で行ってみると,投票のためにプロダクトレビューの枠の間,最後まで参加者が留まってくださり,また,後半,製品の特徴や違いをはっきりさせるディスカッションができたなど,これまでのプロダクトレビューでは実現できなかった濃度の高い場が提供できたように思います。一方,プレゼンの評価にどのくらいの意味があったかは,みなさんにご意見を伺ってみたいところです。</p><p>また,特別講演の代わりにJST CRDS(研究開発戦略センター)の全面的なご協力のもと,科学技術俯瞰報告書の最新の内容を網羅的にご紹介いただきました。これも,企業と繋がりたいCRDSさんと,意外に俯瞰報告書自体を認識していなかったインフォプロという具合で,一見近いようで実はそれほど交流がなかったことがわかり,今後に繋がりそうな話となりました。(そして3iの裏番組だったために,参加ができなかった方々にはお詫び申し上げます。)他にも,OUGのコマを設けてガイダンスを行ったり,ポスターをよりオープンにしてミニ発表の時間を設けたりもしました。ポスターと展示会場が賑わっているのは,やっぱりいいですね。懇親会は昨年の低コスト手弁当スタイルを踏襲し,食事や飲み物の質よりもコミュニケーション促進を重視することで,狙い通り,コストパフォーマンス良く活発な交流を促すことができたと思います。そして,最近はワークショップ形式で行うトーク&トークでは,副題に正面から向き合い,インフォプロの将来像を探るべく,清水さん(IMIC),森長さん(NEC),黒沢さん(医中誌)さんをロールモデルに議論を行いました。各参加者が自分ごととして,その立ち位置を確認しながら将来を模索する姿を見て,このような対話の場を提供するのがINFOPROの大事な役目だと改めて確認した次第です。</p><p>このようにして,INFOPRO2019は,リニューアル初回としては致命的なトラブルもなく,成功裏に終わったと言えると思います。この経験,知見を生かして,来年のINFOPRO2020に向けて,実行委員会一同ほぼ同じメンバーで臨みます。インフォプロの新たな出発をより確実かつ魅力的なものにできるようみなさまのご賛同とご協力を改めてお願いする次第です。まずは,INFOPRO2019の記事をご覧いただき,奇譚のないご意見や今後に向けた示唆を賜ればと思います。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。</p><p>(INFOPRO2019 実行委員会委員長 林 和弘)</p><p>INFOPRO2019 実行委員会 委員長:林 和弘(科学技術・学術政策研究所),副委員長:川越康司(㈱富士通総研),委員:高杉秀隆,矢口 学(科学技術振興機構),小山信弥(関東学院大学),矢田俊文(クラリベイト・アナリティクス),山中とも子(㈱ファンケル),担当理事:吉野敬子(日本医療研究開発機構),副担当理事:増田 豊(ユサコ㈱)</p>
著者
江里口 将夫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.480-489, 1978

JOIS-Iシステムは情報を最終的に必要とする企業,研究所,大学の研究員,開発担当者,情報担当者を対象として開発されたため,利用法は非常に簡単になっている。サービスしているデータベースの種類,ファイルの構成,検索機能,使用料,利用状況およびJOISの今後の課題について述べる。
著者
作山 宗久
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.94-99, 1997
参考文献数
22

環境保護に関する意識の高まりは一陣の風となってビジネス経営活動におけるISO 14000諸規格の重要l性を強調している。ビジネス諸活動において,体系的な文書管理は環境マネジメント・システムにかかわる誓約を成し遂げようとする企業努力の不可欠な要素である。文書管理者はその誓約に参加すべきである。
著者
齋藤 泰則
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.18-23, 2022-01-01 (Released:2022-01-01)

ヴァーチャルレファレンスのコミュニケーション方式には,電子メールをはじめ,チャット,テキスティング,さらにはビデオ通話方式がある。本稿では,こうした方式の違いが利用者に多様なレファレンス質問の提示機会を提供することから,今後,チャット方式,さらにはビデオ通話方式の導入が必要であることを示す。また,チャット方式の今後の展開として,チャットボットの導入など,ヴァーチャルレファレンスの自動化の試みについて取り上げる。自動化にあたっては,レファレンスサービスを担当する図書館員の専門知識の組み込みが必要であることから,プロダクションルールによる専門知識の形式化について考察する。
著者
松野 南紗恵
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.7-11, 2022-01-01 (Released:2022-01-01)

本稿では,電子メールやチャットによって質問を受け付けるヴァーチャルレファレンスサービスについて,2020年以降に国際図書館連盟やアメリカ図書館協会,ラトガース大学の研究者および図書館員が実施した合計6つの調査から,コロナ禍における海外の動向について報告した。各調査の結果からヴァーチャルレファレンスサービスに関する内容を抜粋し整理したところ,ヴァーチャルレファレンスサービスの導入状況や受付方法の多様さ,質問件数が増加傾向にあること,また,大学図書館のチャットレファレンスにおいては質問内容の変化についても明らかになった。
著者
小田 光宏
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.2-6, 2022-01-01 (Released:2022-01-01)

本稿は,デジタルレファレンスサービスの今後の発展を見据えることを目的として,アナログ形態のレファレンスサービス(アナログレファレンスサービス)からデジタルレファレンスサービスへの転換あるいは接続の様相を整理している。そのために,情報通信技術の特性となる,コミュニケーション機能,インフォメーション機能,ネットワーク機能に沿って,デジタルレファレンスサービスとしてこれまで現れてきた事象を取り上げ,アナログレファレンスサービスとの関係を考察している。また,デジタルレファレンスサービスへの転換あるいは接続を検討する上での留意点として,定義と活動の範囲,統合的視点の必要性を指摘している。
著者
長谷川 幸代
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.1, 2022-01-01 (Released:2022-01-01)

2022年1月号の特集は「デジタルレファレンスサービスの未来」です。デジタルレファレンスサービスは,電子メール,チャット,ウェブ等を利用して行われるレファレンスサービスで,様々な形態のものがあります。本誌では,2006年3月に「特集:デジタル・レファレンス・サービス」と題して記事をお届けしました。以前と今回の大きく異なる点としては,新型コロナウィルス感染症の流行による社会状況の変化があります。社会のあらゆる活動において「対面」で実施する機会が減少し,その代替手段としてインターネットを介した「オンライン」のシステムが利用されるようになりました。対面で直接コミュニケーションを図ることができず,困難が生じることもある反面,時間や距離による問題が解消され,便利になった点も多くあります。そして,対面の活動が再開されてもなお,オンラインの活動を継続する風潮も見られます。図書館のサービスにおいてはどうでしょうか。来館型のサービスを一時休止した図書館が多くあり,利用者からサービスの再開を待ち望む声もあがりました。そこで,どのようにサービスを継続するかが検討され,オンラインを活用した新たなサービスを実施するケースも見られています。特に図書館における「レファレンスサービス」では,対面でのレファレンスインタビューが重要である一方,デジタルレファレンスサービスの利用によって,来館に困難があってもサービスの利用機会が得られ,サービス提供の拡張につながることが期待されます。また,頻度が高く即答可能な質問に自動応答することで,効率化も進むものと考えられます。本特集では,まず小田光宏氏から総論としてデジタルレファレンスサービスの今後を見据える目的で,アナログからデジタルへの転換,接続に関する情報を整理する論考を提供していただきました。小田氏には,2006年の特集の際にも執筆いただいており,その流れを汲みながら現在と未来を考察する内容となっております。次に,海外でのデジタルレファレンスサービスの事例として,松野南紗恵氏からコロナ禍におけるヴァーチャルレファレンスサービスの動向を,調査結果の事例を交えて解説いただきました。また,渡邊由紀子氏からは大学図書館の事例として,九州大学附属図書館での非来館型のサービスの拡張について解説していただきました。最後に,齋藤泰則氏からはヴァーチャルレファレンスの展望について,自動化に関する解説と展望を述べていただきました。デジタルレファレンスサービスは,ある程度の歴史がありこれまでも利用されてきましたが,今回の特集が歴史的流れと今までにないコロナ禍の状況におけるデジタルレファレンスサービスの現状を概観し,さらに今後の展開を考える契機となれば幸いです。(会誌編集担当委員:長谷川幸代(主査),青野正太,海老澤直美,南雲修司)
著者
藤田 肇
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.360-365, 2017

<p>「人工知能」は,次世代の情報処理技術として現在多くの注目を集め,様々な従来産業の形態を大きく替えようとしています。本稿では,FRONTEOが独自開発した人工知能エンジン「KIBIT」の特徴とその搭載製品を紹介します。また,KIBITが特許調査の実務において専門家をサポートする特許調査・分析システム「KIBIT Patent Explorer」と当社の取り組みを説明し,AIが変える未来の特許実務を紹介します。</p>
著者
松邑 勝治 黒沢 努 関根 基樹 植松 利晃 大倉 克美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.63-67, 2008

イノベーションの創出においては、異分野や異業種にわたる知の連携が重要である。独立行政法人科学技術振興機構(JST)では、これまで文献、特許(技術シーズ)、研究者、研究機関、研究課題、化学物質など、科学技術に関する様々な情報の収集と提供を行ってきた。そのノウハウや利用者の方々の貴重なご意見等を踏まえ、現在JSTではインターネット上の様々な科学技術情報を横断的に&rdquo;つなぎ&rdquo;、知の連携を促進するための新しいサービスとして、「科学技術総合リンクセンター(J-GLOBAL)」の構築に取り組んでいる。その取り組みの状況と今後の展望について、研究開発支援総合ディレクトリ(ReaD)を例とした既存サービスの分析とともに紹介する。