- 著者
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中村 好則
- 出版者
- 一般社団法人 数学教育学会
- 雑誌
- 数学教育学会誌 (ISSN:13497332)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.3-4, pp.109-118, 2014 (Released:2020-04-21)
小中学校の通常学級に発達障害等の児童生徒が約6.5%在籍している。しかし,実際には6.5%
には入らないが学習面等に困難をもつ児童生徒がその周辺にも存在し,算数学習においても彼らへの指導の在り方は喫緊の検討課題である。そこで,本研究では,算数学習におけるつまずきに関する先行研究をもとにつまずきとその支援を分析・整理し,算数学習につまずきのある児童への指導の在り方を検討するための基礎的な資料を得る。分析の結果,算数学習におけるつまずきを,①学習活動に関するつまずきと②学習内容に関するつまずき,③その他のつまずきに整理した。また,数学教育研究でのつまずきは学習内容に関するものが多く,学習活動に関するものが採り上げられていない。一方,特別支援教育研究でのつまずきは学習活動に関するものを含んでおり,学習内容に関するつまずきも数学教育研究のものとは異なるものが少なくない。これらのつまずきの関連を考慮して算数学習におけるつまずきを捉え直して,算数学習につまずきのある児童に対する指導を検討してくことが必要であることが示唆された。