著者
鈴木 正敏
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.460-472, 2014 (Released:2015-06-25)
参考文献数
25

幼児教育・保育については、対投資効果の点でその重要性が世界各国で認識されている。本稿では、各国での優れた実践とその評価方法に着目した。その上で、1)幼児教育・保育が投資するに値する重要なものとして社会全体が認知すること、2)幼児教育・保育の質の改善のためのシステムを新たに構築すること、3)その効果を立証するために、保育学と教育学が恊働して長期にわたる縦断的研究を行う必要があること、が示唆された。
著者
林 明子
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.13-24, 2012-03-30 (Released:2017-11-28)
被引用文献数
2

本稿の目的は、経済的に不利な状況におかれている家庭の子どもたちが日常生活と進路選択をどのように経験しているのかを解明し、なぜ彼/彼女らが相対的に低位の進路にたどり着くのかに迫ることにある。ライフストーリーに着目し分析をおこなったところ、子どもたちは家庭の困難により学校では周辺的な位置におかれる一方で、家庭がよりどころとなり「家庭への準拠」を強めていた。その帰結として、子どもたちは低位の進路を選択することになったのである。
著者
村上 祐介
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.398-410, 2011-12-29 (Released:2018-12-26)
被引用文献数
1

少数または単一の事例を分析する定性的研究には、個性記述的・差異化志向と、法則定立的・一般化志向の2つのタイプがある。現在の教育学は理論化志向の弱さや、量的研究対質的研究の二分法的枠組みが強いため、一般化志向の事例研究が少ない。それゆえ、個別の事例研究が体系的な理論構築に結びついていない。本論では社会科学方法論の知見から、抽象(理論)と具体(経験)の循環という基本に立ち返った事例研究の方法論を提示する。