著者
堀内 蓮太郎 手塚 和佳奈 三井 一希 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.72-77, 2021-07-03 (Released:2021-07-05)

本研究では1人1台端末の活用が,児童生徒の端末利用に対する意識に与える影響を調査することを目的として,公立小学校及び公立中学校に通う児童生徒を対象に,端末利用やクラウド学習ツールの扱いに関する質問紙調査を行った.調査の結果,日頃から1人1台端末を利用している児童生徒の方が,学校での学習のためや,関連資料を見るためにインターネットを閲覧していること,E-mailを使って学校での学習について他の児童生徒とより頻繁に連絡をとっているなど,授業外で端末を学習のために利用していることが示された.
著者
安田 晶子 小方 博之
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.419-429, 2021-03-20 (Released:2021-03-25)
参考文献数
30

大学等の高等教育機関におけるe-learning の機会は急速に増加している.それに伴い,単位認定などを目的としたハイステイクスな試験もオンラインで実施する必要が生じてきている.しかしながら実際には,オンラインでのハイステイクスな試験は十分に普及していない.これは,現状では,オンライン試験において替え玉受験などの不正行為を検出し防止する技術が確立されていないためである.そこで本研究では,オンライン試験受験時に使用される可能性の高いタブレット型端末に着目し,端末のタッチスクリーンを操作する際に得られる手形状の特徴を用いて,替え玉受験を検出・防止する手法を提案した.本研究で提案した手法では,タッチスクリーン操作時の受験者の手形状画像を記録し,機械学習によって受験者本人であるか替え玉かを判別した.実験を行い提案手法の有効性を検証した結果,提案手法によって替え玉を検出できる可能性が示された.
著者
竹中 喜一 中井 俊樹
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.53-58, 2021-07-03 (Released:2021-07-05)

2017年4月以降,大学では知識・技能の習得ならびに能力・資質向上をさせるための研修(スタッフ・ディベロップメント: SD)が義務化されている.組織が研修を行う目的は,職場での行動変容や業績向上である.こうした研修転移を促すためのSD担当者養成研修を設計し,その実践について研修から約3ヶ月後に実施した質問紙調査により評価した.その結果,研修中に取り組んだ組織の人材育成ビジョンやSDの企画案作成が行動変容や業績向上を促している可能性が示唆された.一方で,職場の組織文化や受講者の担当業務といった課題が研修転移の阻害要因となっていることも明らかになった.
著者
江木 啓訓 横山 裕紀 今村 瑠一郎 則常 一輝
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.135-145, 2021-06-10 (Released:2021-06-18)
参考文献数
27

本研究では,視野映像を用いてTA(Teaching Assistant)が自らの学習支援行動を振り返るための行動記録システムを提案する.学習者に対して臨機応変に支援を行うために,TA には自ら考えて行動する主体性が求められる.視野映像を記録する方法で自らの行動を振り返ることにより,主体性を伸ばすための気づきを喚起することが期待できる.しかし,TA が従事する全ての時間の視野映像を確認することは負担が大きい.この問題に対して,TA が身につけた加速度センサのデータから行動を推定し,振り返り時の手掛かりとして提示する行動記録システムを開発した.複数のTA が本システムを用いた振り返りを行った実験の結果から,加速度センサでTAの学習支援行動を識別することが可能であった.また,手掛かりの提示によって,いずれのTAも振り返りのための視野映像の確認時間が短くなった.本システムを用いることで,TA が学習支援行動を効率的に振り返ることの可能性が示唆された.