著者
雨越 康子 森下 正修
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.339-350, 2020-03-20 (Released:2020-03-30)
参考文献数
44

本研究では,集団での絵本の読み聞かせ方法を工夫し長期間(約100日)実施することで,幼児の語彙力やワーキングメモリ(WM)等の認知能力に向上が見られるか否かを検討した.実験群では,保育園で子どもたちに同一絵本を3,4日反復して読み聞かせし(文中の言葉の記銘,想起を求める群と求めない群があった),統制群では保育園で通常通り毎日異なる絵本を読み聞かせした.読み聞かせの前後で言語性・視空間性WM,短期記憶,語彙力を測定し2群の変化を比較した結果,同一絵本を反復読み聞かせした2つの実験群は統制群よりも語彙力が有意に上昇していた.また,家庭での読み聞かせ頻度は,読み聞かせによる言語性WM や語彙力の伸びやす さに関連する可能性が示唆された.
著者
亀岡 恭昂 喜多 恒介
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45019, (Released:2021-11-15)
参考文献数
15

労働市場の流動性が高まる現代社会では、柔軟性と一貫性を兼備した「ナラティブ・アイデンティティ」の構成が重要である。そこで、人生に一貫した意味を与える視点となる「キャリアテーマの構成」と変化に適応し続けるための「キャリア適応性の育成」を教育目標とし、キャリア構成理論やACT、社会的学習理論を踏まえたデザイン原則に則り、2泊3日のワークショップをデザインし、大学生や大学院生などを対象に実践した。自由記述の分析からは参加者のキャリアテーマ探索・構成に寄与したことが示唆された。また、キャリア適応性を特性的自己効力感尺度によって測定したところ、有意な向上が見られ、効果量は中程度であった。
著者
池田 めぐみ 池尻 良平 鈴木 智之 城戸 楓 土屋 裕介 今井 良 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.44067, (Released:2020-08-28)
参考文献数
28

本研究の目的は,上司による業務プロセスへのフィードバックとジョブ・クラフティング,若年労働者の職場における能力向上の関連を明らかにすることである.そのために,インターネット調査を行い取得したデータをもとに,構造方程式モデリングを用い,仮説の検証を行った.分析の結果,第1に,上司による業務プロセスへのフィードバックがジョブ・クラフティングの全ての因子及び職場における能力向上の全ての因子に正の影響を与えること,第2に,ジョブ・クラフティングの次元によって,影響を与える能力に違いがあることが確認された.以上より,若年労働者の職場における能力向上および,ジョブ・クラフティングを促す上で,上司による業務プロセスへのフィードバックが有効である可能性が示唆された.
著者
保田 幸子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.44078, (Released:2021-02-22)
参考文献数
43

研究成果を報告する科学論文では,「IやWeの使用は避ける」,「曖昧で冗長な表現は避ける」といったディスコースが推奨され,現在もアカデミック・ライティング授業や論文作成ガイドの中で指導されることがある.しかし,このアカデミック・ディスコースはいつどのように誕生したものなのか.なぜ特定の語られ方に権威が与えられるようになったのか.この権威は21世紀現在も変わらず固定的なものなのか.これらの問いについては国内では十分な検証が行われていない.本研究は,こうした通説を再考すべく,科学論文において客観性が求められるようになった歴史的背景とその後のパラダイムシフトを明らかにするとともに,21世紀型の科学論文において書き手がどのように読み手を導いているか,その主観性の表明技法を明らかにすることを目指す.得られた成果を元に,科学論文執筆に迫られた学習者層に対する21世紀型の高年次英語教育支援のあり方について提案する.
著者
児玉 佳一
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45106, (Released:2021-07-16)
参考文献数
12

本研究は,学校教育を受ける日本人の協同作業認識が2010年以降にどのように変化したかを,長濱ほか(2009)の協同作業認識尺度における各因子の尺度得点の平均値に対する時間横断的メタ分析により検討した.2010年以降に調査された文献のうち,65研究(総サンプルサイズは5,189名)を分析の対象とした.重回帰分析の結果,掲載誌や件法,年齢段階を統制したとしても「個人志向」の平均値と調査年が関連していることが示された.具体的には,「個人志向」は最近の調査であるほど直線的に平均値が上昇していた.
著者
堀尾 姫那
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.195-211, 2021

<p>小学校学習指導要領(平成29年告示)の「総合的な学習の時間」に対応するために,同指導要領が指示している「獲得すべき資質・能力」を考慮し,児童らが,児童らの周囲の人物や事物とのネットワークの変化とともに成長していくと仮定して,以下の条件で単元を設計した:(a)学級全体で1つのプロジェクトに取り組むこと,(b)児童らが自ら課題を設定するプロセスを必ず入れること,(c)学校を取り巻く地域にある独自の事物を活動のテーマとすること.受け持った教室での1年間の実践で,この単元設計の効果を検証した.子どもたちの変容過程を評価するために,主に児童らが作成したポートフォリオデータを用い,アクターネットワーク分析,テキストマイニング分析,数量化分析を行った.その結果,児童の成長と,学級全体や地域社会とのネットワークの拡大・深化が共進化していることがわかり,上記の仮定の妥当性と,条件(a),(b),(c)から単元を設計することの重要性が示された.</p>
著者
小泉 遥香 若月 陸央 三井 一希 浅井 公太 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.100-105, 2021-07-03 (Released:2021-07-05)

本研究は,1人1台端末環境の学級がGoogle Classroomを半年間使用した際の,教科別の使用用途の傾向を調査することを目的に,半年間の投稿を対象とし,①投稿文の内容,②各ツールを使用している活動の内容の傾向について分析を行った.調査の結果,①教科に関する投稿は手順やルーブリック,学級の運営に関する投稿は連絡事項等を示していること,②同じツールの使用でも教科によって活動内容が異なることが確認された.
著者
手塚 和佳奈 佐藤 和紀 大久保 紀一朗 久保田 善彦 堀田 龍也 谷塚 光典
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.3, pp.9-16, 2021-10-29 (Released:2021-10-29)

本研究は,メディアや情報に対して大学生がもつステレオタイプやバイアスに関する実態調査を実施した.質問紙は,【メディアへの接触頻度】,【画像情報のステレオタイプ的解釈】,【メディアを介した情報の流通が人々の行動に与える影響】,【バイアスとメディアの関係が人々の行動に与える影響】に関する質問で構成した.大学生51名からの回答を分析した結果,①背景情報を手がかりに画像情報をステレオタイプ的に解釈する人は1割程度,②メディアを介した情報の流通が人々の行動に与える影響に言及できる人は3割程度,③バイアスとメディアの関係が人々の行動に与える影響に言及できる人は1割程度であった.
著者
古田 貴久
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.231-239, 2008-10-20 (Released:2016-08-05)
参考文献数
12
被引用文献数
2

大学入試と企業等の就職試験向け受験参考書における小論文の評定構造と,これらの試験の狙いとを比較・検討した.参考書に掲載された,講評が書き添えられた小論文342本を対象に,講評の内容を10通りに分け,講評の内容の出現頻度について因子分析を行い評価の因子を抽出し,それらの因子によって各小論文の評価(A〜D)を説明する重回帰分析を行い,因子の説明力を検討した.その結果,就職小論文の評価では,「アイデアとその現実性」および「内容の論理構成」の2因子が有意であった.この結果は,就職試験の狙いとされることと整合的である.一方で,大学入試での評価では「題意を踏まえた意見の論理的展開」という,論作文能力をトータルに見る因子の決定係数が0.7であり,小論文の受験指導と,大学が小論文試験の狙いとすることとの一致は部分的であった.
著者
岩﨑 千晶 川面 きよ 遠海 友紀 村上 正行
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45095, (Released:2021-10-21)
参考文献数
9

本稿では日本の4年制大学のラーニングコモンズ(LC)を対象に調査を行い,LC での学習支援の現状に関して分析をした.研究目的は,①LC で提供する学習支援の内容,②授業に関わる学習支援の内容,効果と課題を明示することである.調査の結果,図書館に関連する学習支援に加えて,ライティングやIT といったアカデミックスキルや外国語を扱う学習支援が実施されていることが示された.また授業に関わる学習支援により,学習者の能力向上やLC 利用者の増加につながる効果が見受けられたが,対応できる学生数に限りがあるという課題も示された.大学によっては授業に関する学習支援の拡充を控える傾向もあり,過渡期にあることがわかった.
著者
石井 志昂 山田 剛史 中原 敬広 村井 潤一郎 杉澤 武俊 寺尾 敦
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45033, (Released:2021-09-27)
参考文献数
1

本研究は,ベイズ統計学に基づくデータ分析を学習可能な,統計ソフトR を用いた心理統計の自習用Web 教材の試作,及び評価を行った.教材評価は,(1)学習者の教材学習状況,(2)R,及びベイズ統計学に対するイメージの変化,(3)学習後のインタビュー調査から行った.結果より,本研究で試作したWeb 教材の学習によりR を身近に感じるようになるとともに,コードを書きながら学習可能な点に対し肯定的な意見が得られた.一方,学習を行った参加者の約半数が教材の最後まで学習を終えることができず,教材の導入部分や章ごとの問題量について課題が示唆された.
著者
小川 修史 藤井 祐次 掛川 淳一 高野 美由紀 森広 浩一郎
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Suppl., pp.217-220, 2012-12-20 (Released:2016-08-09)
参考文献数
2

筆者らはこれまでに行動要因の分析を目的としたケース会議支援システムを提案している.システムを経験の浅い教師に適用したところ,行動要因に関連した気づきが議論を通して発生する一方で,議論する事前に実施される個別作業の際に,行動要因を客観的に分析することが難しく,これらを支援することでより効率的に気づきが発生すると考えた.そこで,行動要因とストレスの対応関係に注目し,アノテーションをストレスの観点で分析させることで,個別の作業であっても行動要因の客観的な分析が可能となると考えた.この仮説に基づき実装したストレス可視化機能を用いて予備調査を実施した結果,仮説が有効である可能性が示唆された.
著者
荒木 淳子 高橋 薫 佐藤 朝美
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45054, (Released:2021-09-09)
参考文献数
16

本研究は山陽地方にある普通科の県立A高校における地域と連携した課題探究型の学習プログラムについて,「複数の場面における学習を架橋する」ラーニング・ブリッジング(LB)(河井 2012)に着目し,地域課題探究型の学習プログラムでの学びと高校での授業や学習にはどのようなLBが見られるのか,LBはどのような要因によって促進されるのか,分析を行った.A校の1年生,2年生228名に行った質問紙調査と8名へのインタビュー調査の結果,生徒達にはプロジェクトにおける活動と学習や他の授業,これまでの学習とのLBが見られること,教員・地域の大人との関わりや積極的な取り組み姿勢がLBを促すことが示された.
著者
堀尾 姫那
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.44131, (Released:2021-07-06)
参考文献数
15

小学校学習指導要領(平成29年告示)の「総合的な学習の時間」に対応するために,同指導要領が指示している「獲得すべき資質・能力」を考慮し,児童らが,児童らの周囲の人物や事物とのネットワークの変化とともに成長していくと仮定して,以下の条件で単元を設計した:(a)学級全体で1つのプロジェクトに取り組むこと,(b)児童らが自ら課題を設定するプロセスを必ず入れること,(c)学校を取り巻く地域にある独自の事物を活動のテーマとすること.受け持った教室での1年間の実践で,この単元設計の効果を検証した.子どもたちの変容過程を評価するために,主に児童らが作成したポートフォリオデータを用い,アクターネットワーク分析,テキストマイニング分析,数量化分析を行った.その結果,児童の成長と,学級全体や地域社会とのネットワークの拡大・深化が共進化していることがわかり,上記の仮定の妥当性と,条件(a),(b),(c)から単元を設計することの重要性が示された.
著者
安里 基子 佐藤 正寿 高橋 純 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45064, (Released:2021-09-07)
参考文献数
8

本研究では,算数科におけるグラフの学習と国語科・社会科・理科(以下,他教科)におけるグラフを活用した学習の関連を明らかにするために,小学校の教科書で用いられているグラフの表現形式と想定される学習時期による分類を行った.その結果,教科の内容としてグラフの読み取り方等を学習する算数科よりも,グラフを活用して教科の内容を学習する他教科の方が特定の表現形式のグラフの学習時期が早くに想定されている場合や,算数科と他教科における,特定の現形式のグラフの学習時期が離れている場合がみられた.また,社会科や理科の教科書においては,算数科における学習の機会が少ない,もしくはない表現形式のグラフがみられた.
著者
炭村 紀子 藤村 裕一
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.112-119, 2021-07-03 (Released:2021-07-05)

GIGAスクール構想が始まり,学校現場でのICT活用支援の重要性は高まっている.支援人材として,ICT支援員,GIGAスクールサポーターなどの役割の違いは明確であるが,現場では理解されておらず,多様な支援を求めている.実際に教職員が求める具体的支援に関する研究は不十分である.そこでICT支援の実態調査と実証研究を通じ,その問題点やあり方を検討した結果,授業支援を中心とした「ICT活用教育支援員」への制度変更の必要性が示唆された.
著者
小島 一生 村松 浩幸 室岡 聡也 小松 裕貴
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.Suppl., pp.169-172, 2011-12-20 (Released:2016-08-08)
参考文献数
7
被引用文献数
3

中学生にネットトラブルに関して保護者への相談を意識させるために,ゴールベースシナリオ(GBS)理論に基づいたシナリオゲーム教材を開発することを目的とした.教材は,主人公を女子中学生とし,母親と関わりながら「不当な請求」,「個人情報」,「著作権」,「掲示板トラブル」の各内容に関する情報を収集し,その対応法を選択する構成とした.開発は,Flashによるゲーム制作ツールでおこなった.1年生64名を対象にした授業実践での評価から,1)中学校の授業で使用可能なこと,2)シナリオゲーム型や親子の設定により,本実践の範囲内において保護者への相談の意識が一定程度向上したこと,が確認できた.
著者
齋藤 玲 和田 裕一
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Suppl., pp.185-188, 2017-01-15 (Released:2017-03-06)
参考文献数
6

インターネット技術の発展に伴う情報機器やその関連コンテンツの普及が人間の認知や行動を変えているという見方がある.しかしながら,その見方を議論するまでの知見の蓄積は不十分である.そこで本稿では,この見方を,個人のインターネットを含めた各種メディアの利用傾向とテキストの読みとの関係から検討した.具体的には,メディア利用傾向がテキストの課題成績や読み時間に及ぼす影響について,相関分析と重回帰分析から検討した.その結果,日常的なSNSの接触頻度が高いほど,テキストの課題成績が低くなることが見出された.この結果は,インターネットの利用傾向の違いがテキストの読みのあり方に影響を及ぼしている可能性を示唆した.
著者
朱 睿 雪田 恵子 西森 年寿
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.Suppl., pp.33-36, 2021-02-20 (Released:2021-03-08)
参考文献数
7

本研究では,背後に配置したロボットによって社会的促進・抑制が生じるかを検討する.学生47名を単独で課題を行う群(単独群),他者として人間がいる群(人間群)とロボットがいる群(ロボット群)に振り分け,単純課題と複雑課題に取り組ませた.この結果,単純課題では社会的促進が認められた.複雑課題では,ロボット群の課題遂行量は単独群と人間群より多くなった.
著者
網岡 敬之 森 裕生 江木 啓訓 尾澤 重知
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.245-253, 2018-01-31 (Released:2018-02-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1

学生の多角的な評価および支援方法を実現する一環として,受講生が主として授業終了時に毎回記入する手書きワークシートを定量化し,学習成果との関係を検討した.定量化指標としては,ワークシートをデジタル化した際のファイルサイズを用いた.(1)各学生の学期を通した平均ファイルサイズによるグループ分けと(2)ファイルサイズの増減の推移によるクラスタ分けを行った後,授業で身についた力や授業への有用性の自己評価,学期末レポートの得点といった学習成果との関係を分析した.その結果,ファイルサイズが相対的に大きいグループは,平均的なグループや小さいグループに比べて学習成果が高い傾向にあった.一方,ファイルサイズが小さいグループと平均的なグループの間には,授業への有用性や獲得した力の評価に大きな差がみられなかった.ファイルサイズというシンプルな指標を用いた場合でも,学習成果を評価することが可能であり,多角的な評価や支援に応用することが可能であると考えられる.