著者
三井 一希 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46056, (Released:2022-09-02)
参考文献数
7

児童のICT 操作スキルに関して,教師が行った支援方法とその期間を,認知的徒弟制モデルのうち,熟達化を促すための方法に着目して調査し,実態を把握することを目的とした.小学校教師12名の回答を分析した結果,Web サイトの作成スキルのように,教師の手本を観察させて学ばせる期間が長くなるものがある一方で,地図アプリの操作スキルのように,支援を少なくしてすぐに自立の段階に移行できるものがあること等が示された.また,認知的徒弟制モデルに沿った順番どおりの支援が最適とは限らない可能性が示唆された.
著者
稲木 健太郎 泰山 裕 大久保 紀一朗 三井 一希 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S47055, (Released:2023-09-04)
参考文献数
8

本研究は,思考ツールの選択に関するメタ認知にクラウドで共有した他者の振り返りの参照が与える影響を検討することを目的とした.小学校第4学年児童を対象に,思考ツールの選択に関する振り返りをクラウドで学級内へ共有し,参照させ,改めて自覚したことがある場合は振り返りを追記させた.参照前の振り返りにおいてメタ認知に該当する記述数の多かった群を高群,少なかった群を低群とし,記述の分析とインタビューにより参照の影響を検討した.結果,参照が高群と低群のメタ認知を促すこと,参照により,低群では特に自覚が困難だった経験が,高群では特に無自覚になっていた経験が想起され,メタ認知につながったことが示唆された.
著者
内田 佳途 三井 一希 浅井 公太 棚橋 俊介 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45063, (Released:2021-08-25)
参考文献数
10

小学校での1人1台端末を活用する場面において必要になる学習規律を分類・分析するため,小学校教師2名を対象に導入後2か月間で指導した学習規律に関する調査を実施した.結果,11項目の学習規律が指導され,学習規律を一覧表にまとめた書籍を参考に分類したところ,指導場面が一致する「学習上のルール」,一致しない「端末を扱う上でのルール」の2つに大別された.「学習上のルール」は1週間で定着が図られたことから,これまでの学習規律と同様の指導により定着が図られることが考えられるのに対して,「端末を扱う上でのルール」は定着に2週間以上時間を要すること,ICT スキルを伴う指導が必要となることから,これまでの学習規律と指導方法が大きく異なることが示唆された.
著者
渡邉 光浩 三井 一希 佐藤 和紀 中野 生子 小出 泰久 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.84-89, 2021-06-01 (Released:2021-12-01)

本研究では,1人1台情報端末の環境で初めて学習する児童の情報端末や周辺機器等を操作するスキル(以下,ICT操作スキル)の習得状況を明らかにするため,1)キーボードによる日本語入力の速度と2)基本的な操作やアプリの操作の習得に関する意識を調査した。キーボードによる日本語入力は,活用開始から2か月,3か月,4か月と入力速度が有意に速くなり,文章を見たままに入力する視写入力の方が,文章を読んで考えたことなどを入力する思考入力より速いが,4か月でその差が縮まった。また,基本的な操作やアプリの操作は,活用の多い基本操作や授業支援,プレゼンテーションのアプリから身に付き始め,4カ月で多くの学習ツールなどのアプリの操作が身に付く一方,4か月を経過しても難しい操作や活用の少ないものの操作はまだ身に付かないことが明らかになった。
著者
佐藤 和紀 小田 晴菜 三井 一希 久川 慶貴 森下 孟 谷塚 光典
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45061, (Released:2021-11-02)
参考文献数
6

小学校高学年児童がクラウドサービスの相互参照を用いて,他者の文章を参照して意見文を作成する実践を行った.意見文の評価と意識調査の結果,他者の意見文を参照したグループ児童の意見文の評価は有意に高く,他者の意見文を参照していないグループの児童よりも読み手にどう伝わるか気をつけて書く,自分の考え以外の視点でも書く,主語と述語のつながりを注意して書く,形式的なミスを少なくする,ことを意識していた.
著者
佐藤 和紀 三井 一希 手塚 和佳奈 若月 陸央 高橋 純 中川 哲 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.353-364, 2021-12-20 (Released:2022-03-18)
参考文献数
24
被引用文献数
2

GIGA スクール構想の標準仕様にしたがってICT 環境が整備され,1人1台の端末を活用している学級へのICT 活用に関する児童と教師への調査から,導入初期の児童によるICT 活用と教師の指導の特徴を検討した.その結果,児童は1人1台の情報端末を日々の活動の中で,さまざまなアプリケーションを組み合わせて活用しながらクラウド上でコミュニケーションを取っていたこと,教師は学校内の情報端末の活用については指導できるが,家庭学習については自治体のルールや情報モラルの観点から指導できていないことが特徴として挙げられた.
著者
荒川 詠美 三井 一希 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45066, (Released:2021-11-15)
参考文献数
10

本研究は,小学校高学年を対象に,複数の情報の読み取りが必要な調査問題を作成し,(1)正答率(2)問題や資料等を読む順序(3)新聞やフィクションを含む読書頻度について調査を行い,正答率と読む順序の関係性と,正答率と読書頻度の関係性の検討を行なった.その結果,(1)正答率と手順の比較では,正答の児童と誤答の児童の読む手順に大きな差はみられないこと,(2)出題した3問全てで正答の児童の方がフィクションを月に数回程度読んでおり,誤答の児童よりも読書頻度が有意に高かったことが示唆された.正誤による読む順序に大きな違いはないがフィクションの読書頻度が異なり,読み方に特徴があると示唆された.
著者
稲木 健太郎 泰山 裕 三井 一希 大久保 紀一朗 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46058, (Released:2022-07-26)
参考文献数
7

本研究は,児童が学習方法を自己選択する授業の経験と学習方法のメタ認知の関係を調査し,学力の高低ごとに検討することを目的とした.調査対象の授業を週15コマ程行った学級を高頻度群,週3コマ程行った学級を低頻度群とし,学習方法のメタ認知に関する振り返りの記述数と学力との関係を分析した.結果,経験頻度と学力の二要因が,学習方法のメタ認知的活動に関係する可能性が示唆された.一方,学習方法のメタ認知的活動を適切に行うには,学習方法を自己選択する経験だけでなく,学習方法に合わせたメタ認知的活動を適切に行うための支援や,学力下位群への支援が必要となる可能性が示唆された.
著者
手塚 和佳奈 佐藤 和紀 三井 一希 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45067, (Released:2021-10-21)
参考文献数
8

本研究は,GIGA スクール構想の標準仕様にしたがってICT 環境が整備された学校で1人1台の端末を活用した実践を先行実施していた小学校教師の情報モラル指導に対する負担感・困難さを検討することを目的に,半構造化インタビューを実施した.その結果,【A 情報モラル指導のタイミングの難しさ】【B 情報モラルの指導形態に関する迷い】【C 端末の活用場面に即した指導だけでは補えない指導内容】【D 情報モラル指導に対する教員間の考え方や進度の調整】【E 情報モラルに関する個別指導】【F 児童間のオンラインでのやりとりの観察】の6種類が確認できた.
著者
佐藤 和紀 三井 一希 手塚 和佳奈 若月 陸央 高橋 純 中川 哲 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45019, (Released:2021-09-14)
参考文献数
24

GIGA スクール構想の標準仕様にしたがってICT 環境が整備され,1人1台の端末を活用している学級へのICT 活用に関する児童と教師への調査から,導入初期の児童によるICT 活用と教師の指導の特徴を検討した.その結果,児童は1人1台の情報端末を日々の活動の中で,さまざまなアプリケーションを組み合わせて活用しながらクラウド上でコミュニケーションを取っていたこと,教師は学校内の情報端末の活用については指導できるが,家庭学習については自治体のルールや情報モラルの観点から指導できていないことが特徴として挙げられた.
著者
三井 一希 佐藤 和紀 渡邉 光浩 中野 生子 小出 泰久 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45052, (Released:2021-09-07)
参考文献数
5

本研究は,児童同士の交流に着目したプログラミングの学習の場を,休み時間等の授業時間外に設定した実践を行い,その有効性と交流の実態を調査した.結果,提示した課題を教師が介入することなく,児童だけで達成することが概ね可能であることが示唆された.また,教師が指導する学習形態よりも児童だけで学ぶ学習形態を好む児童が有意に多いことが示された.さらに,児童同士の交流の実態を調査したところ,児童は事前のプログラミング技能の差に関わらずに他者と交流を行い,課題を達成している可能性が示唆された.
著者
三井 一希 藤森 啓太 戸田 真志
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S47037, (Released:2023-11-24)
参考文献数
7

小学生を対象に,AI(Artificial Intelligence)による画像認識機能の体験を組み込んだ水産業に関する授業を開発し,授業実践を通じた評価を行った.質問紙やインタビュー調査の結果から,開発した授業は児童や教師に概ね好意的に受け止められること,児童が水産業への興味や関心を高めたりすることに寄与する可能性が示された.また,自分にとって身近な問題として児童が学習に取り組める可能性が示唆された.
著者
佐藤 和紀 小田 晴菜 三井 一希 久川 慶貴 森下 孟 谷塚 光典
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.Suppl., pp.117-120, 2021-12-20 (Released:2022-02-02)
参考文献数
6

小学校高学年児童がクラウドサービスの相互参照を用いて,他者の文章を参照して意見文を作成する実践を行った.意見文の評価と意識調査の結果,他者の意見文を参照したグループ児童の意見文の評価は有意に高く,他者の意見文を参照していないグループの児童よりも読み手にどう伝わるか気をつけて書く,自分の考え以外の視点でも書く,主語と述語のつながりを注意して書く,形式的なミスを少なくする,ことを意識していた.
著者
恩田 真衣 大久保 紀一朗 板垣 翔大 泰山 裕 三井 一希 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46026, (Released:2022-10-13)
参考文献数
9

本研究では,小学校第4学年理科「物のあたたまり方」の単元で日常生活や社会との関連を図るアニメーション教材を開発し,その効果を検証した.その結果,開発したアニメーション教材を使用すると,学習内容と日常生活や社会との関連に気づき,理科学習に対しての興味が高まること,アニメーション教材に,児童が選択したり,繰り返し試行したりできるような機能をつけることで,思考を深めようとする理科学習に対しての興味が高まること,正しい概念形成が促されることが示唆された.
著者
板垣 翔大 浅水 智也 佐藤 和紀 中川 哲 三井 一希 泰山 裕 安藤 明伸 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.58-63, 2021-12-01 (Released:2022-06-02)

本研究では,中学校技術・家庭科技術分野におけるAIを活用したプログラミングを取り入れた授業を実施し,生徒のAIに対する意識の変容から授業を評価した。授業は3単位時間で行い,ビジュアル言語に,AIによる画像認識を組み合わせることができるツールを用いて,身近な問題解決の活動に取り組ませた。授業前後のAIに対する意識を比較したところ,AIの進歩に対する不安の軽減やAIを活用して身近な問題を解決できる自信の高まりなどが確認された。
著者
三井 一希 佐藤 和紀 渡邉 光浩 中野 生子 小出 泰久 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.78-83, 2021-06-01 (Released:2021-12-01)

本研究では,1人1台の情報端末を活用した児童の発表場面に,モバイルディスプレイを導入することの効果を検討した。その結果,モバイルディスプレイの導入前は,情報端末の画面サイズや画面の提示方法に困り感を持つ児童が一定数いたが,モバイルディスプレイの導入によってこれらの困り感が軽減され,グループ発表の場面にモバイルディスプレイが有効に作用する可能性が示唆された。また,モバイルディスプレイの活用を経験すると,多くの児童が必要感を持つことが示された。
著者
久川 慶貴 佐藤 和紀 三井 一希 高橋 純 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.Suppl., pp.141-144, 2021-12-20 (Released:2022-02-02)
参考文献数
4

本研究は,小学校高学年児童の学校生活におけるグループでのチャットの活用の特徴を明らかにすることを目的とする.公立小学校の第6学年における,グループでのチャット(チャットルーム)の活用状況を調査した.その結果,児童がチャットルームを開設する目的は,「学校行事」「学年行事」「有志活動」であった.開設された目的によって,活用の頻度に差が見られること,同じ目的で開設されたものであっても,具体的な活用のされ方は異なることが示唆された.また,情報共有の手段の一つとしてチャットルームを活用している可能性が示唆された.
著者
三井 一希 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.Suppl., pp.9-12, 2021-02-20 (Released:2021-03-08)
参考文献数
4

本研究は,教職員用情報共有システムを導入した学校の1年間の書き込みの実態を把握し,今後導入を予定している学校の参考となる知見を提供することを目指している.ある学校で活用されている教職員用情報共有システムへの1年間の書き込み内容について調査したところ,1回の書き込みの平均文字数は200字程度であること,学校行事やイベントが多い月は情報量が多くなること,校内で指導的な立場にある者は投稿数が多くなること,「予定の確認・変更」,「施設・設備・備品」等が書き込みの内容として多いことなどが明らかとなった.