著者
服部 剛
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.387-393, 2010-09-20 (Released:2010-12-20)
参考文献数
9
被引用文献数
3 4

カーボンナノチューブやフラレーンの発見以降,炭素はこの20年間で最も研究された材料であり,ナノテクノロジーを牽引してきた。これらの研究に端を発してカーボンブラックにおいても新規表面モデルの提唱や生成メカニズムの解析が進んだ。一方で,カーボンブラックは本質的にナノ構造をもった炭素そのものであり,そのことが認知される遙か昔から使われてきた。そのため,その歴史の中で市場の要求に合わせて無意識のうちにナノ構造を制御することで各用途に適応してきた。これらの成果は,ゴム,塗料,印刷インキ等の各分野の協会誌や専門書で確認することができる。ここでは,これらを踏まえ,カーボンブラックの製造方法,物理的&化学的特性,用途について解説した。また,できるだけカーボンブラック選択の指針についても加えた。このわずかな内容でカーボンブラックのすべてを紹介できるとは思ってもいないが,少しでも理解の一助となれば幸いである。
著者
近藤 行成
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.59-63, 2016-02-20 (Released:2016-05-20)
参考文献数
4
被引用文献数
1

界面活性剤の定義,基本的なはたらきおよび表面張力について概説する。また,界面活性剤の分類に基づき,アニオン,カチオン,非イオンならびに両性界面活性剤の特徴について紹介する。
著者
森田 忠夫
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.7, pp.297-302, 2012-07-20 (Released:2012-10-20)
参考文献数
1

静電粉体塗装は通常の溶剤塗装と比較した場合,厚塗りしやすいため,塗装膜耐久性の向上が計れる。また塗着しなかった粉体塗料を95%以上回収再利用できるため,ランニングコスト面においても大きなメリットがある。この静電粉体塗装装置は,スチール家具,冷蔵庫やエアコンなどの家電製品,ワイパーやアルミホイールなどの自動車部品,蛍光灯の反射板,自動販売機の筐体など,多種多様な金属製品の塗装に使用されている。以下に静電粉体塗装機器の基礎知識について述べる。

1 0 0 0 OA 光から色彩へ

著者
坂田 勝亮
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.11, pp.395-400, 2015-11-20 (Released:2016-02-20)
参考文献数
12

色は物質の性質でも電磁波の光学現象でもなく,人間の感覚という心理現象である。このため光と色は異なることがあるが,これは決して視覚が曖昧なのではなく,むしろ的確な光学情報の処理により最適な情報として利用できるよう知的ともいえる働きをしている。ここでは色覚処理の初期段階である網膜上に起因する現象であると考えられる順応から,記憶や言語認識などの高次過程と考えられるレベルにまで色知覚のメカニズムが機能していることを例示しながら,色にまつわる人間の情報処理の心理メカニズムが複雑で多様性に富む働きをしていることを紹介する。そして色彩という不思議で素晴らしい現象が,われわれの高度に発達した中枢神経系によってもたらされていることをご理解いただくとともに,色彩という領域が心を扱う心理学と脳の働きを扱う脳科学との境界領域として,目覚ましい発展を遂げてきたことをご理解いただければ幸いである。
著者
大郷 保治
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.722-728, 1983-11-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
24
著者
兵野 篤 米澤 徹
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.468-474, 2009-10-20 (Released:2010-01-20)
参考文献数
31

金属ナノ粒子は,そのサイズに依存して発現する局在表面プラズモン共鳴や触媒特性などの特徴によって,近年新規な工業材料として注目されている。そして単分散性に優れ,分散安定な粒子を生成するさまざまな方法が開発されている。とくに湿式法ではサイズ・形状の制御が可能である。金・銀・銅粒子は局在表面プラズモン共鳴によって可視光での発色性を有し,色材へ応用されている。サイズによる色調の変化や表面増強ラマン散乱などの特性は迅速・高感度なセンシングへ応用されている。また,特異な触媒活性はグリーンケミストリーへの応用展開が期待されている。
著者
出射 美喜男 武井 昇 吉田 豊彦
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.364-373, 1983-06-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
3

着色顔料と白色顔料または他の着色顔料とを混合したとき, その色度図上での混色の色度値の軌跡は曲ったり, ループを描いたりすることがある。この事実は古くから知られているが, なぜそうなるかは知られていない。われわれは, 着色顔料のK (吸収係数) とS (散乱係数) の波長依存性の違いによって, 同じ分光反射率分布をもつ顔料でも, 異なった軌跡を描くことを明らかにし, またモデル化したK, S分布をもつ顔料の混合物のシミュレーションによって, 軌跡の形とK, Sの関係を明らかにすることができたので報告する。
著者
西川 貴志
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.446-450, 2004-10-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
7
著者
今井 丈夫
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.713-723, 1980-12-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1
著者
大倉 研
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.687-698, 1996-10-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1
著者
舘 和幸
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.9-16, 2021

<p>エア霧化塗装,回転霧化静電塗装について,被塗装面の近傍領域における塗料粒子の状態(径,比電荷,速度)と塗料粒子の飛行空間の状態(エア速度,電界強度など)を二次元でモデル化し,塗着効率が全塗料粒子の単なる軌道の問題としてシミュレーションで求められることを示した。さらに,その結果に基づき,実用面において塗着効率を向上させるためには,塗料の微粒化の最適化,比電荷や電界強度の増大,さらに必要に応じてパターンの狭小化が有効なことを説明した。また,塗着効率100%の塗装技術として期待されるインクジェット塗装は,生産性(時間当たりの塗装面積)が飛躍的に向上しない限り,自動車ボデーの塗装工程での採用は難しいことを示した。</p>
著者
松下 祥子 河井 妙保 橋本 麻希
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.7-11, 2011-01-20
参考文献数
25

現在の世界的な問題の一つとして,科学・技術による使用エネルギー量増加の問題が挙げられる。多くの諸国が先進国並みの技術を獲得し,場合によっては先進国を凌駕し,多くの利便性を得るとともに多くのエネルギーを消費している。本問題の解決策として注目を集めているのが自己集積・自己組織化プロセスである。本稿では,固体表面に形成される溶液の薄膜を利用して微粒子を自己集積的に二次元に配列させる手法の一つ,移流集積法について,温度・湿度ならびに物理的・化学的界面特性変化による配列の違いを紹介する。また,その配列体(二次元コロイド結晶,二次元微粒子アレイ,二次元自己集積体,粒子膜などと呼ばれている)と応用についても,ごく簡単に紹介する。
著者
澤田 彩音 佐野 百香 野々村 美宗
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.93, no.10, pp.309-314, 2020-10-20 (Released:2020-10-27)
参考文献数
12

筆はさまざまなメイクアッププロセスで使用される。しかし,メイクがなされる際の動きや力の入れ具合について定量的な解析はほとんどされておらず,メイクのしやすさや仕上がりの上手下手を支配する因子についてはほとんどわかっていない。われわれは,サンプル台に置かれたネイルチップに筆で線を描くプロセスを高速カメラで観察しながら,チップに加わる垂直力と摩擦力をセンシングするシステムを開発した。さらに,このシステムを用いて20名の被験者がチップ上に市販のネイルエナメルを用いて1本の線を描いたときの運動と仕上がりの関係を解析した。その結果,塗布開始直後に垂直力を徐々に強めながら,目的に合った線を引くための力の入れ具合や筆の角度の調整が行われると,幅が均一で真っ直ぐな線を引くことが可能になることが示唆された。本研究の成果は,メイクの仕上がりの支配因子を明らかにするうえで有用である。