- 著者
-
服部 剛
- 出版者
- 一般社団法人 色材協会
- 雑誌
- 色材協会誌 (ISSN:0010180X)
- 巻号頁・発行日
- vol.83, no.9, pp.387-393, 2010-09-20 (Released:2010-12-20)
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
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4
カーボンナノチューブやフラレーンの発見以降,炭素はこの20年間で最も研究された材料であり,ナノテクノロジーを牽引してきた。これらの研究に端を発してカーボンブラックにおいても新規表面モデルの提唱や生成メカニズムの解析が進んだ。一方で,カーボンブラックは本質的にナノ構造をもった炭素そのものであり,そのことが認知される遙か昔から使われてきた。そのため,その歴史の中で市場の要求に合わせて無意識のうちにナノ構造を制御することで各用途に適応してきた。これらの成果は,ゴム,塗料,印刷インキ等の各分野の協会誌や専門書で確認することができる。ここでは,これらを踏まえ,カーボンブラックの製造方法,物理的&化学的特性,用途について解説した。また,できるだけカーボンブラック選択の指針についても加えた。このわずかな内容でカーボンブラックのすべてを紹介できるとは思ってもいないが,少しでも理解の一助となれば幸いである。