著者
三村 秀善 吉岡 恒雄 藤部 静男 柏樹 力 柳田 光庸 角谷 龍治 牧野 大
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, 1991-08-01

卵巣腫瘍の術前診断にはUS・CTあるいは血液データも含めた総合的な診断が要求されることは言うまでもありません。中でもその存在診断という点では被爆のないUSの有用性は高く評価されています。今回の検討からもスクリーニングにはUSを、次の検査の選択としてCTを行うことにより患者にとって有益であることが確認されました。今回まとめるにあたり、当院検査科の高橋智子さんをはじめとした検査技師の方々や、当院産婦人科の坂本先生、放射線科の伊藤先生・水尾先生には多くの助力・助言をいただきここに感謝の意を表して終わります。
著者
玖島 利男
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.1938-1940, 1990-12-01

(1)メッシュ状アクアプラストのシェルは, 加工が簡単で皮膚との密着の確認が容易な患者固定材料で, 固定性と再現性はいずれも良好であった.表面線量も臨床的な許容範囲内と考えられ, 皮膚マークをなくせる可能性が示唆された.(2)移動量監視モニタを使用することで, 照射中の患者の動きがリアルタイムに分かり, 固定法の評価にも有用であった.今後, 種々の固定法での照射中の動きを比較検討し, 患者ごとに個別化した固定法も考えたい.
著者
小林 敬典 山下 肇 吉川 東 鈴木 敦 小口 真一 船木 新壽
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, 1992-08-01

DSAの撮影条件を設計する簡便な手段としてHowlett chartを利用し, その測定法, 有用性について検討した.その結果, 測定者の視覚特性を把握するためにdata収拾する前に, 数回の練習を行うことが必要であった.sample数については20imageでも濃度変化による測定誤差は少なかった.また本法は種々の撮影条件の組合せを同一尺度でplotできるため, 複数の画質評価に有効であった.以上のことから本測定法は, DSAの画像評価に有用であった.
著者
藤田 修 平石 久美子 藤埜 三千代 杉信 義人 竹内 正保 楢林 勇 長谷川 秀夫
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.1709-1715, 1994-10-01
被引用文献数
2

1)MRI用経口造影剤として具備しなければならない条件は第一にT_1強調画像, T_2強調画像双方に対し適正な信号強度の造影効果を有し, しかもその効果が安定して得られる事, 第二に異なる静磁場強度のMR装置に対して適正な造影効果が得られる事, 第三に経口毒性がなく安全で飲みやすい事などが揚げられるが, B・Jは本研究の範囲内においてこれらの条件をすべて満たしていた.2)T_1強調画像で理想的な陽性造影効果を示し, T_2強調画像で濃度の選択によっては, 陽性造影効果から陰性造影効果までの巾広い造影効果が得られる事が確認された.3)B・Jは天然果汁を用いているため美味しく, 香りもあり飲みやすく, 食品を用いたこれまでにない全く新しいタイプの造影剤として有用であると思われた.
著者
横藤田 誠
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.1045-1049, 2004-08-20
被引用文献数
1

人が社会生活を営むうえで,道徳(倫理)・宗教・慣習・法などいろいろな約束事(社会規範)が存在する.そのなかで,法だけが権力によって遵守を強制されるという特質を持っている.近年,医療に対する法規制が質量ともに拡張する傾向がみられるが,法の介入は主として患者の権利を守るためになされており,それによって患者の権利状況が改善されたという事実を否定することはできない.しかし,法は悪しき医療を抑制することはできても,より良き医療を保証するものではない.医療者は,ヒポクラテスの誓いにみられるように,自ら律するために誓いを定め,それに近づく医療者となるように努めてきた.医療者が高い倫理性を持ち,患者や社会からの信頼感を高めることができれば,結果として,法規制の必要性を縮減するであろう.
著者
辺見 秀一
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.983-992, 2004-07-20
被引用文献数
2

胸部CT(computed tomography)画像のアキシャル(横断像)表示は,肺野,胸郭・縦隔,ならびに2種類の背景(スキャンエリア内,スキャンエリア外)で構成され,同一スライス像において(1)肺野優先表示,(2)胸郭・縦隔優先表示,(3)肺野,胸郭・縦隔同時表示の3種類の表示方法が考案されている.このなかで読影診断学的には,通常,(1),(2)の2種類の画像の提供が必要である.この3種類の表示方法を視覚心理学的に「図と地の分節」^<a),2〜4)>の観点から検証すると,(1)肺野優先表示の場合,観察対象である灰色の肺野を白い胸郭・縦隔で囲み,その周囲を灰色(スキャンエリア内)と黒(スキャンエリア外)の2種類の背景で囲んだ図柄を呈している.この場合,肺野と胸郭・縦隔との間で図と地の分節がおこり,肺野は図として認知されるのに対し,胸郭・縦隔は図というよりはむしろ地として認知されるので,その部分は面色に近づき,図である灰色の肺野のみが定位のはっきりした物体色として知覚される.画像表示条件を変える(ウインド値を上げウインド幅を広げる)と,それまで認識されていなかった白い胸郭・縦隔の部分がうっすらと描写されるが,このとき,徐々に地が図と認知されるようになるであろう.(2)胸郭・縦隔優先表示の場合,観察対象である胸郭・縦隔の内部に黒い肺野があり,胸郭の周囲を黒い1種類の背景で囲んだ図柄を呈している.(3)肺野,胸郭・縦隔同時表示の場合,灰色の肺野をオリジナル画像の胸郭・縦隔で囲み,その周囲を黒い1種類の背景で囲んだ図柄〔実用化されていないのでパーソナルコンピュータ(以下,パソコン)で作成した仮想画像を想定〕を呈している.この場合,肺野と胸郭・縦隔との間で図と地の分節がおこらず,その両者がともに図となり,定位のはっきりした物体色として認知される.このように,胸部CT画像は,肺野を観察する場合と胸郭・縦隔を観察する場合とでは,写真濃度を観察している条件が視覚心理学的に異なっているといえる.さて,頭部CT画像における脳実質写真濃度は物理的写真濃度と心理的写真濃度の二つの側面を持ち,頭蓋骨や背景,図柄の違い(疾患の違い)等の影響で,同化,対比,枠の効果といった錯視現象が生じる^<2〜13)>ために,物理的には同一写真濃度であっても心理的には異なった知覚がなされている^<14,15)>ことが知られている.そこで今回,胸部CT画像の明るさ知覚に関する視覚特性を解明するために,肺野および胸郭・縦隔の写真濃度の見え方(視覚的印象)をシェッフェの一対比較^<16)>の中屋変法^<17)>を用いた視覚的主観評価によって検証し,「枠の効果」^<10)>,「図と地の分節」^<2〜4)>,「グループ化の法則」^<b),8)>といった視覚特性を踏まえたうえで,錯視現象の一つである写真濃度の見え方(視覚的印象)について視覚心理学的見地より考察したので報告する.